僕は[漢字]片岡 綾都[/漢字][ふりがな]かたおか あやと[/ふりがな]。高校二年生だ。
勉強も運動もそこそこ、何か異能があるわけでもない。
ただ一つだけ、ちょっとだけ他の人と違うところがあるとするなら…
「ねぇねぇあやー、今日のお弁当何入ってるのー？」
隣の席に天才ちゃんがいるってことだ。

天才ちゃんは、一年生の時から話題だった。
クラスは違ったが、男子が「あいつかわいいよな」と言っていたのを覚えている。
そんな彼女の名前は[漢字]青井 佐奈[/漢字][ふりがな]あおい さな[/ふりがな]。
佐奈は今のクラスでは女子にいじめられている。
「あ、まだ学校来てたんだー？」
今は昼休み。わざわざクラスの女子は佐奈の隣まで来てからかっている。なんて悪いやつなんだ…
だけど、佐奈はこんな調子…
「ねぇー、あやー」
そう、まったくいじめが効いていないのだ。
あやは僕のあだ名だ。佐奈は僕を呼んでいる。
「なに？」
「お弁当の中何入ってるー？」
お弁当の具材を聞いてきた。
「別に、いつもと同じだよ」
そう言って僕がお弁当を見せると、佐奈の目はキラキラ輝いた。
「おいしそー！ねぇねぇ、一口ちょーだい？なんでもいいからー」
「いいよ、じゃあこの唐揚げね」
「わーい！」
無邪気に笑っている。右隣でぽかんとしている女子には気づかずに…