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⚠この物語に登場する人物、団体、国、グループ名等は、現実世界と関係ありません。また、一部の民族を虐めたり、差別する、思想を賛美or軽蔑する意図はありません。

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白銀の月~white silver full moon~

#3

第二話 桑港(サンフランシスコ)

今日は8月15日、世の中では戦勝記念日だぞ何だぞ騒いでいるが、私は正直どうでも良い。今日はお出かけで[小文字][小文字]※1[/小文字][/小文字]桑港に来ているが、市庁舎前の盛り上がりはまるでどっかの音楽フェスの様だった。屋台があちこちに出店しており、所狭しと選挙カーが演説を行っている。

戦争が終わって80年以上経つからか、教科書で見る立派なビルは、建て替えられていた。その代わりに、天高く伸びるビルは、どんな時間でも輝いていた。日本では地震の問題上、ここまでのビルは建てられないらしく、その代わりに地平線の彼方まで町を広げるらしい。

いつしか桑港は、旅客船や[漢字]日本[/漢字][ふりがな]本土[/ふりがな]からの飛行機を受け止め、商業都市の様な盛り上がりを見せていた。それでも、軍事都市桑港の威厳を示さんとばかりに、桑港港の入口に[漢字]聳[/漢字][ふりがな]そび[/ふりがな]える金門橋は軍艦や旅客船を受け入れてきた。

しかし、桑港の町は、時々物騒な一幕もある。

ポッテピアでチーズバーガーを注文する時、後ろの方に並んでいた人が、「ちょっと」と声を掛けられていた。興味本位でちらりと振り向くと、そこにはガタイのいい男が2人いた。まるで警察官のような服装をしていた。警察かな…と思っていたが、彼らは私のそんな些細な予想を一瞬で裏切った。

目に入った『保安』という腕章の文字…[小文字][小文字]※2[/小文字][/小文字]NSPだわ‼‼

ジャキッ、と銃を構えるような音がした。その後「ひっ…」という男の声、そして、憲兵の一人がこう言った。

「Robert St. Marshall, a member of the Pacific Federation Army, you are suspected of aiding defection from East America and smuggling classified information from the War Department. Please accompany me.(ロバート・セント・マーシャル、貴方に東アメリカからの亡命幇助及び陸軍省からの機密情報持ち出しの疑いがある。同行しろ。)」
彼の頭には、拳銃が突き付けられていた。その拳銃は、教科書の『大東亜戦争の武器一覧』で紹介されていた『十四年式拳銃』だった。

周りは騒然としていたが、彼は紛れもなく裏切り者だった。スパイとして指名手配もされている。東側からスパイをこの国に入国させただけでなく、陸軍という地位を利用して機密情報に不正アクセスし、それを東へ流した…おそらく彼は、15時になる前に射殺されるだろう。

そんな感じで親と別行動を取っていたら、気づけばもう午後5時だった。

「あすか~羅府行きの電車に乗り遅れるぞ~」

父に呼ばれた。父は羅府市警に勤めており、特に長期休暇の空港などを警備する為、予定が合わないが、父は貯めまくった有給休暇を、娘の為に使った。[打消し]それが今日の桑港旅行ってわけ。[/打消し]

新幹線も飛行機もあるけど、父が浪漫を味わいたいからと、夜行列車の旅を勧めてきた。けど、夜行列車って言っても、去年デビューしたてじゃん‼

父曰く、その夜行列車は「Night Star」というらしい。

前売り券を特急改札にかざし、ホームに入った。

兎に角今日は、物騒なものを見てしまった。

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※1…サンフランシスコの日本語名。
※2…国家保安警察。太平洋合衆国版の憲兵。

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2024/05/16 20:30

AS@関東の民 ID:≫0tS.Wi/U8jY6Y
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