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荊時計は狂わない

#1

朝のニュースが、いつも通りの、退屈な日々の始まりを告げる。
つまらないニュースと特集が、[漢字]永遠[/漢字][ふりがな]とわ[/ふりがな]に続く川のように流され続けている。
『なにか、面白いことはないのか』
そう思いながら、朝食代わりのアイスを食べる。これは朝食が用意できなかったからではなく、今日はたまたまアイスが食べたかった、というだけだ。決して、昨日買い物を忘れて、今日食べる飯が無いわけではない。
「…ここで速報です」
ニュースが、二週間ぶりの速報をお伝えしようとしている。
「またか、今度は一体どんなニュースなのだ」
独り言を意味もなく呟く。
半信半疑、と言ってみたら少し違うが、ニュースをじっくり見てみる。
「学者のグラシア・エヴァンスにより、[漢字]荊時計[/漢字][ふりがな]いばらどけい[/ふりがな]がこの世に存在する、という論文が発表されました。荊時計は、この世のどこかに一つだけある、という内容の論文が、日本時刻、午前5時20分に、科学誌グランザから発表されました」
目を見開き、テレビの音量を上げる。
どうせまたくだらないニュースだろうと思っていたが、実際は、全くそうではなかった。
あの荊時計が、この世にまだ実在したというのか。
ニュースに魅入っていたら、持っていたアイスは溶けていた。
だが、今の私は、それすら気にならなかった。気にすることが、できなかった。

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作者メッセージ

言葉の意味(説明が必要な話でのみ書きます)

荊時計→死者蘇生の儀にて必要な時計。死者蘇生の儀は、儀式を行う事で、死者を一人だけ蘇らせることができる。一つの材料がもうこの世にはないため、もう作ることができない。
グラシア・エヴァンス→学者。荊時計に関する研究を細々と続けており、今回の論文で注目を浴びている。
科学誌グランザ→有名な科学誌。科学誌としての歴史はかなり浅く、まだ刊行から30年ほどしか経っていないが、学術的価値のある論文がかなり発表されており、高く評価されている。


こちら、結構温めてた作品なのですが、どうでしょうか。
最近はもっぱら二次創作書いてばっかりなのですが、これからは、オリジナルを書くペースも、徐々に増やしていきます。よろしくお願いします。

2024/05/13 23:51

水野志恩 ID:≫7tLEh4qnMjetA
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