二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
相も変わらず、世界は白に満ちていた。雪を踏む独特な音が何度も何度も静かに響き渡る。小さな足跡と何かを引き摺る跡が、一つの廃神社へと向かって行く。雪と一体化するような和服に、それと対比するような黒い髪。赤い椿は黒の上で枯れずに咲き誇っている。
「………会いに来てくれたのかい。私に! 暇だったからありがたいよ。」
肉食獣のように鋭い歯を見せにこりと笑って見せる。そのわざとらしく組んだ腕は、真っ黒に肥大化していた。
・・・
「お、着いたっすね。」
レノがゆっくりと階段を上る。雪が軋み、その白い絨毯には彼らの不揃いな足跡が残っていく。彼らが見たのは想像以上に禍々しい廃神社だった。叩きつけるような吹雪が、その不気味さを加速させていく。
「うーん、変哲も何もないが…どこかに潜んでいるんだろうね。」
さっさっ、と灯篭の上に積もった雪を払ってやる。手袋についてしまった雪を落としながらノアは辺りをぐるりと見渡した。
「潜んでいたところで、ノア様に敵うわけがありません! それにノア様に危害が加えられるようならばボクが…。」
クイはアップを始める。あまりにも一連の動作は完成されすぎており、清流の水かのように穢れや濁りがなかった。
「ありがとう。でもわたしじゃあなくてカノをお願いしたいね。」
足音に気が付いたのかノアは階段を一瞥する。と、大人しくも轟く足音がやってきた。それを発している者ははぁはぁと息を切らしており今にも倒れてしまいそうである。
「…足が痛い…使いすぎてしまったようだ…。」
カノは三人が視界に入ると、ゆっくりと地面に腰を下ろした。彼は事故による怪我で足が上手く動かなくなってしまっているのだ。走る事すらままならず、歩く事でさえ苦痛を感じてしまう身体では長時間の移動など身体への害でしかない。すると、そんなカノを見たクイがすぐさま駆け寄ってきた。
「カノ様ァァァァアアアアアアア!! ボクが貴方様を置いて行くなど言語道断ッ!! 今すぐ………!!」
もはやお家芸となってしまっているが、彼はマチェーテを自身の首へと宛てる。動揺さえもうせず「大丈夫だよ。」とカノが宥めた。そうやって言ってやるとクイは落ち着くのだ。正直なところ、情緒不安定にしか見えないと他三人の間では有名である。
「はっ、ありがたきお言葉。」
「心配してくれるのはありがたいんだが…正直なところ、ワタシは同行しない方がよかったかもしれないね。恐らく一番最初に襲われるのは誰でもないワタシさ。」
むう、と警戒するように辺りを見回す。やはり未だ怪しい動きをする何かはないが上からも襲われてしまうような危険性を加味すれば動けないカノなど標的でしかないだろう。
「大丈夫です、カノ様。ボクがノア様もカノ様もお守りいたします。」
『僕は?』とでも言いたげなレノだが、信頼されていると思う事で何とかふざけた事を言いそうになってしまう事を抑えた。
「…どうしようか。…おい待てッきさまら! 何か…[漢字]来る[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]ッ!」
その物陰からやってきた人物は、軽快に微笑んでおりまるでサーカスの舞台の上に立つピエロのようである。逃げるのでもなく、襲うのでもない。ただただそれはそこにいるだけ。それが非常に不気味であり、人間らしさを感じさせない風貌も相まって彼の恐ろしさを加速させていた。
「やァ初めまして! 少々挨拶が遅れたね。名前、というものは性質からしてないのだが……適当に二人称で呼んでおくれ。」
「…小さいね。」
あまりにも拍子抜けであり、せめて平均的な身長をした人間と同じぐらいの身長だと思い込んでいた四人はその小さな異形をぼんやりと見つめる事しか出来なかった。彼の言動に反応する者など誰一人としておらず、独特な雰囲気を山の中に漂わせている。
「…少し思っていた反応と違うなァ~…まあいい。それで…何をしに来たのかな? 観光とか…肝試しとか?」
こてん、と小首を傾げるとクイが即座に間合いを詰めてきた。
「てめー、ノア様とカノ様にそのきたねェ手で触んなよォ? マジに触ってみろ。祠ごとてめーを吹き飛ばしてやらァ。」
彼の首にクイのマチェーテが宛てられる。雪よりもひやりとした感覚が、異形を襲った。
「…ふうん、君はその…ノア様とカノ様? に傅くのが趣味なのかい。成程…随分と珍しい人だね。」
「あァ?」
「いやいや、褒めているよ! ただ単に…君のように狂信的な敬愛を持った者は珍しいというだけさ。どこもかしこも、皆その地位だけに目を向け本物を見る輩はいなかったからね。」
随分と分かった気でいるような考えを持つ輩だな、とクイは考えた。実際そうなのだから反対の言葉を述べる事は出来ない。だが、彼は当たり前だろうとふんぞり返って嘲笑する。上から目線の傲慢な態度だ。
「そりゃァな。どれだけ偉かろうと、カリスマも魅力もなんもねェ輩にトップなんて務まらねェんだよ。」
そして彼の言葉にはこれが含まれていた。『ノア様とカノ様以外に支配者だなんて務まらない』という意思が。
「へぇ…それほど好きになり、そして尊敬出来る存在なのかい…二人は!」
きゃいきゃいと楽しそうに笑う姿は幼子としか言いようのない仕草であり、小ささのせいで子供のようにも見える。だがその肥大化した夜空のような腕が、彼を通常の人間ではないという事を物語っていた。
「ノア様、カノ様。こいつ…殺してしまっても構わないでしょうか。」
きちんと許可は取る。クイは律儀だ。『もう少し観察したい』というならば殺さず『もう殺していい』というのならばマチェーテでそいつの首を掻っ切る。クイはそういう生き物なのだ。
「うーん……殺すには惜しいからね…飼おうか、施設で。」
彼らが所属しているのは怪異を保管・殺害が目的の組織。ノアとカノが少し、いや大分私情を出して保管している節もある。この人外も、保管する気なのだろう。
「…飼う? 私はペットじゃあないが。」
「そんな事了承している。」とノアは微笑み、ハルバードの持ち手で彼の頭を殴った。強い衝撃は怪異にも効くのか膝から崩れ落ち気絶してしまっている。体格差もあり、
「…肉体自体は人間に近いんだね、腕は除いてだが。」
「あマジっすね。よかった~、頭に鉛玉ぶち込みそうになりましたよ!」
にこやかに言うが、この四名の中で最も武器の威力が高いのがレノである。あまりにも古すぎるとはいえ頭にマスケット銃の弾をぶちこまれれば一発でお陀仏だったであろう。
「これで物に触れると燃えるらしいが…試してみようか。」
カノが立ち上がろうとするが、力を入れいいところまではいったのだが崩れ落ちてしまった。まだ脚の疲労が酷く、まともに立てないらしい。
「僕が取ってきますよ。はい。」
手ごろな大きさの木の枝を見つけると、カノにぽいっとそれを投げた。それをキャッチするとヒノの真っ黒な腕に触れさせてみる。
「おお凄い凄い! 燃えるね!」
雪で湿っていたはずなのだが、まるで綿が火種に触れたように燃え上がる。正に超常現象、人間の手が届かない範囲だ。決して他に燃え移る事はなくそして木が燃えカスになってしまったところで炎も共になくなってしまった。
「…やっぱりこれ面白いねぇ。あ、目覚める前に帰ろうか。」
ノアがひょいと大袈裟な荷物を持ち上げて、先へ先へと階段を下っていく。その後ろ姿をどこか遠い目で見つめていた。
「ワタシ、歩ける気がしないのだが…。」
座り込んでいたカノが言う。あの階段を下るだなんてごめんだ、と表情が声を上げていた。クイは大荷物を前にやるとカノの目線に合わせるようしゃがむ。
「カノ様、ボクがおぶっていきます。」
まるで壊れ物を背負るように優しくカノを持ち上げた。いきなり目線が高くなると少し落ち着かないのかもぞもぞと身動ぎをする。
「あ、僕はこの子の腕に包帯巻いてから行くんで。置いてってください。」
すぅすぅと穏やかな寝息を立てているそれに優しく包帯を巻きつけていく。その言葉を聞いたクイはこくりと頷いてからすたすたと速足で階段を下りて行った。その後、すっかり距離を離されてしまったレノがカノのように息を切らしてやってきたのは言うまでもない。
「………会いに来てくれたのかい。私に! 暇だったからありがたいよ。」
肉食獣のように鋭い歯を見せにこりと笑って見せる。そのわざとらしく組んだ腕は、真っ黒に肥大化していた。
・・・
「お、着いたっすね。」
レノがゆっくりと階段を上る。雪が軋み、その白い絨毯には彼らの不揃いな足跡が残っていく。彼らが見たのは想像以上に禍々しい廃神社だった。叩きつけるような吹雪が、その不気味さを加速させていく。
「うーん、変哲も何もないが…どこかに潜んでいるんだろうね。」
さっさっ、と灯篭の上に積もった雪を払ってやる。手袋についてしまった雪を落としながらノアは辺りをぐるりと見渡した。
「潜んでいたところで、ノア様に敵うわけがありません! それにノア様に危害が加えられるようならばボクが…。」
クイはアップを始める。あまりにも一連の動作は完成されすぎており、清流の水かのように穢れや濁りがなかった。
「ありがとう。でもわたしじゃあなくてカノをお願いしたいね。」
足音に気が付いたのかノアは階段を一瞥する。と、大人しくも轟く足音がやってきた。それを発している者ははぁはぁと息を切らしており今にも倒れてしまいそうである。
「…足が痛い…使いすぎてしまったようだ…。」
カノは三人が視界に入ると、ゆっくりと地面に腰を下ろした。彼は事故による怪我で足が上手く動かなくなってしまっているのだ。走る事すらままならず、歩く事でさえ苦痛を感じてしまう身体では長時間の移動など身体への害でしかない。すると、そんなカノを見たクイがすぐさま駆け寄ってきた。
「カノ様ァァァァアアアアアアア!! ボクが貴方様を置いて行くなど言語道断ッ!! 今すぐ………!!」
もはやお家芸となってしまっているが、彼はマチェーテを自身の首へと宛てる。動揺さえもうせず「大丈夫だよ。」とカノが宥めた。そうやって言ってやるとクイは落ち着くのだ。正直なところ、情緒不安定にしか見えないと他三人の間では有名である。
「はっ、ありがたきお言葉。」
「心配してくれるのはありがたいんだが…正直なところ、ワタシは同行しない方がよかったかもしれないね。恐らく一番最初に襲われるのは誰でもないワタシさ。」
むう、と警戒するように辺りを見回す。やはり未だ怪しい動きをする何かはないが上からも襲われてしまうような危険性を加味すれば動けないカノなど標的でしかないだろう。
「大丈夫です、カノ様。ボクがノア様もカノ様もお守りいたします。」
『僕は?』とでも言いたげなレノだが、信頼されていると思う事で何とかふざけた事を言いそうになってしまう事を抑えた。
「…どうしようか。…おい待てッきさまら! 何か…[漢字]来る[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]ッ!」
その物陰からやってきた人物は、軽快に微笑んでおりまるでサーカスの舞台の上に立つピエロのようである。逃げるのでもなく、襲うのでもない。ただただそれはそこにいるだけ。それが非常に不気味であり、人間らしさを感じさせない風貌も相まって彼の恐ろしさを加速させていた。
「やァ初めまして! 少々挨拶が遅れたね。名前、というものは性質からしてないのだが……適当に二人称で呼んでおくれ。」
「…小さいね。」
あまりにも拍子抜けであり、せめて平均的な身長をした人間と同じぐらいの身長だと思い込んでいた四人はその小さな異形をぼんやりと見つめる事しか出来なかった。彼の言動に反応する者など誰一人としておらず、独特な雰囲気を山の中に漂わせている。
「…少し思っていた反応と違うなァ~…まあいい。それで…何をしに来たのかな? 観光とか…肝試しとか?」
こてん、と小首を傾げるとクイが即座に間合いを詰めてきた。
「てめー、ノア様とカノ様にそのきたねェ手で触んなよォ? マジに触ってみろ。祠ごとてめーを吹き飛ばしてやらァ。」
彼の首にクイのマチェーテが宛てられる。雪よりもひやりとした感覚が、異形を襲った。
「…ふうん、君はその…ノア様とカノ様? に傅くのが趣味なのかい。成程…随分と珍しい人だね。」
「あァ?」
「いやいや、褒めているよ! ただ単に…君のように狂信的な敬愛を持った者は珍しいというだけさ。どこもかしこも、皆その地位だけに目を向け本物を見る輩はいなかったからね。」
随分と分かった気でいるような考えを持つ輩だな、とクイは考えた。実際そうなのだから反対の言葉を述べる事は出来ない。だが、彼は当たり前だろうとふんぞり返って嘲笑する。上から目線の傲慢な態度だ。
「そりゃァな。どれだけ偉かろうと、カリスマも魅力もなんもねェ輩にトップなんて務まらねェんだよ。」
そして彼の言葉にはこれが含まれていた。『ノア様とカノ様以外に支配者だなんて務まらない』という意思が。
「へぇ…それほど好きになり、そして尊敬出来る存在なのかい…二人は!」
きゃいきゃいと楽しそうに笑う姿は幼子としか言いようのない仕草であり、小ささのせいで子供のようにも見える。だがその肥大化した夜空のような腕が、彼を通常の人間ではないという事を物語っていた。
「ノア様、カノ様。こいつ…殺してしまっても構わないでしょうか。」
きちんと許可は取る。クイは律儀だ。『もう少し観察したい』というならば殺さず『もう殺していい』というのならばマチェーテでそいつの首を掻っ切る。クイはそういう生き物なのだ。
「うーん……殺すには惜しいからね…飼おうか、施設で。」
彼らが所属しているのは怪異を保管・殺害が目的の組織。ノアとカノが少し、いや大分私情を出して保管している節もある。この人外も、保管する気なのだろう。
「…飼う? 私はペットじゃあないが。」
「そんな事了承している。」とノアは微笑み、ハルバードの持ち手で彼の頭を殴った。強い衝撃は怪異にも効くのか膝から崩れ落ち気絶してしまっている。体格差もあり、
「…肉体自体は人間に近いんだね、腕は除いてだが。」
「あマジっすね。よかった~、頭に鉛玉ぶち込みそうになりましたよ!」
にこやかに言うが、この四名の中で最も武器の威力が高いのがレノである。あまりにも古すぎるとはいえ頭にマスケット銃の弾をぶちこまれれば一発でお陀仏だったであろう。
「これで物に触れると燃えるらしいが…試してみようか。」
カノが立ち上がろうとするが、力を入れいいところまではいったのだが崩れ落ちてしまった。まだ脚の疲労が酷く、まともに立てないらしい。
「僕が取ってきますよ。はい。」
手ごろな大きさの木の枝を見つけると、カノにぽいっとそれを投げた。それをキャッチするとヒノの真っ黒な腕に触れさせてみる。
「おお凄い凄い! 燃えるね!」
雪で湿っていたはずなのだが、まるで綿が火種に触れたように燃え上がる。正に超常現象、人間の手が届かない範囲だ。決して他に燃え移る事はなくそして木が燃えカスになってしまったところで炎も共になくなってしまった。
「…やっぱりこれ面白いねぇ。あ、目覚める前に帰ろうか。」
ノアがひょいと大袈裟な荷物を持ち上げて、先へ先へと階段を下っていく。その後ろ姿をどこか遠い目で見つめていた。
「ワタシ、歩ける気がしないのだが…。」
座り込んでいたカノが言う。あの階段を下るだなんてごめんだ、と表情が声を上げていた。クイは大荷物を前にやるとカノの目線に合わせるようしゃがむ。
「カノ様、ボクがおぶっていきます。」
まるで壊れ物を背負るように優しくカノを持ち上げた。いきなり目線が高くなると少し落ち着かないのかもぞもぞと身動ぎをする。
「あ、僕はこの子の腕に包帯巻いてから行くんで。置いてってください。」
すぅすぅと穏やかな寝息を立てているそれに優しく包帯を巻きつけていく。その言葉を聞いたクイはこくりと頷いてからすたすたと速足で階段を下りて行った。その後、すっかり距離を離されてしまったレノがカノのように息を切らしてやってきたのは言うまでもない。