二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
一月一日。今日は、恨めしく思えるほどの晴天であった。
「わ、並んでるね。」
神社はすっかり人に溢れている。朝一番からやってきたものの、彼らは随分と待たされてしまうだろう。冬特有の乾いた風が、その場にいた皆の頬を優しく撫でた。
「御神籤どうなるんですかね? 僕、なんやかんやでそういう事好きなんですよね~!」
待っているレノが、わくわくとした様子でそう笑う。手水をしたおかげで手は赤くなっており、少し寒そうに手袋をつけた。
「ンー…そうだね、どうせならば引こうか。新年早々の運試し、ってヤツさ。」
ノアは財布の中にどれぐらいのお金があるか確認しつつ言う。「今時の御神籤も高いからなァ。」と独りごちると、財布の口を閉じた。ちなみにであるが、ノアは現金派である。というより、機械があまり得意ではないのでキャッシュレスが苦手というだけだ。
「何円入れようかな…ご縁がありますようにか、充分ご縁がありますようにか……。」
こんなところまで神経質であるノアは、財布の中にある小銭達と相談しながらまた自分の世界に入り込んだ。ぼんやりしている彼を放っておいて、暇をつぶすための雑談は加速していく。
「みんな何を願うんだい? …と言っても、願う事はなさそうだが。」
カノが諦観したように笑った。ここにいる五人、まず願いを考えてすらいない。願いなんてものはなく、軍人らしく世界平和を願おうとしても逆に戦争を楽しんでいた身であるし言える事は少ない。あと、神に願ったとてどうにでもならないと考えている分、ただ雰囲気を楽しみに来ているだけ、という感覚である。
「カノ様の仰る通りでございます。」
現実主義が仇となったのか、それともただ単に神というものに興味がないのか。彼らはぼんやりと石畳を踏みつけた。
「よし、一人五円だ。」
順番が迫ってきたとき、ノアが一人一人に銅色のそれを手渡した。
「五円玉三枚で充分ご縁がありますように、にしたかったが…五円玉がそもそもそんなにない。だから一人一枚が限界だ。」
そうして駄弁っていると、彼らの目の前には賽銭箱が居座っていた。皆でい二礼・二拍手・一礼を丁寧に行ったのち、各五人心の中で好き勝手に願いを呟く。それはどんな内容だったのか。それを知るのは彼らのみであり、きっと誰にも告げる事はないだろう。
「…ン、じゃあ御神籤を買おうか。今時御神籤も高いねェ……こんな紙切れ一枚に…んぐっ。」
「カノ、黙っていた方がいい。一応神からのありがたいご神託なのだから。」
カノの口を塞ぐ手際の良さは、まるで誘拐犯のようだ。と言っても、実際誘拐などいくらでもしてきたのでまさにその行動と同じである。
「…まあ、いっせーの、で開けようか。」
ノアが号令をかけた時、ぱっと神籤が開かれた。その反応は三者三様で___と言いたいところだったが、ただただ全員無表情である。くじ如きに期待していない、ということだろう。
「わ、今日めちゃくちゃ運悪いっす。凶っすよ凶。」
レノがどう考えているのかすら分からないような表情で言った。別にどうでもいい、と言わんばかりの表情でクイが呟く。
「…大吉。ノア様とカノ様とヒノ様の結果が良くなけりゃァ意味ないってのによォ~…。」
彼は自分が一番になってしまった事に不満を抱いているらしい。
「吉か。…パッとしないね。不満ってわけでもないが……。」
黙々と神籤を読み込みながら、ノアは言う。別にどうでもいいと言っていたがそういうものは気になってしまうのだ。椿の髪飾りをいじりながら、ヒノも同意するように頷いた。
「ああ、私もそうだ。小吉だね。普通…としか言いようがない。」
紙をしめ縄に括り付けると、彼は興味がなさそうに石ころを見つめ始める。平穏とは言い切れないものの、決して殺伐としてはいない空気が流れていた。
「大凶だね。さっきのバチでも当たったのかな?」
楽観的に笑いながらカノはそう言う。だが、彼らを最早神として崇めていた彼_____クイは、一切そんな余裕などなかった。そもそもの話、彼らが冗談であろうと悪く扱われるのを許さない男なのだから。
「……えっ、あっあっ。」
クイはぐるぐると目が回り、すっかり何を考えているのか何が起こっているのかすら分かっていない風貌である。何度も何度も、自分の御神籤の結果である大吉と自分が何であろうと守ると約束した者の大凶という神籤を。
「カノ様…? ええっと、ボクは………?」
恐らくマチェーテを持っていたのならば自死を選んでいただろう彼は、衝動と勢いにその身体を任せた結果、自分の神籤を破りコートのポケットに突っ込んだ。びりびりと軽快な音が子供達の喧騒に消えゆく。
「…これでボクは神に背く事になりました、大凶どころではありません、大々凶です。」
一応これも、彼なりの優しさらしきものである。カノはよく理解していないようだったが、考える事をやめ目の前の状況を真っすぐそのまま受け取る事にした。
「え、あ、うん。そうかい。」
目は明らかに理解していないが、とりあえず頷いておいたのでどうにか場面を凌げたようだ。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。お雑煮作るからね。」
「わーい! 僕白味噌雑煮好きなんすよ!」
きゃいきゃいと戯れながら、レノは軽すぎる足取りで帰路につく。クイはいつの間にか焼き芋を買ってきてしまっていた。
「久しぶりに見つけたので買ってしまいました。美味しいですよ。」
「確かに、そういう移動販売形式の焼き芋はなくなってしまったが…。」と彼の行動力に驚きつつ、一口だけヒノは貰う。優しくしつこくない甘味が広がり、焼き芋独特の優しい舌触りが口内全体に広がった。
「そもそもこんな時期でも売っているんだね。あ、わたしも一口くれないか。」
「あ、僕も!」
「…どうせならばワタシも貰っておこうかな。」
三人にも焼き芋をやっていると、いつの間にか元の体積の半分ほどの体積になっていた。
「ン…まァいいか。」
だが、クイは不満げに思うのでもなく誇らしげにしている。まだ肌寒い季節だというのに、初夏のような温かい空気がその場に広がっていた。
「わ、並んでるね。」
神社はすっかり人に溢れている。朝一番からやってきたものの、彼らは随分と待たされてしまうだろう。冬特有の乾いた風が、その場にいた皆の頬を優しく撫でた。
「御神籤どうなるんですかね? 僕、なんやかんやでそういう事好きなんですよね~!」
待っているレノが、わくわくとした様子でそう笑う。手水をしたおかげで手は赤くなっており、少し寒そうに手袋をつけた。
「ンー…そうだね、どうせならば引こうか。新年早々の運試し、ってヤツさ。」
ノアは財布の中にどれぐらいのお金があるか確認しつつ言う。「今時の御神籤も高いからなァ。」と独りごちると、財布の口を閉じた。ちなみにであるが、ノアは現金派である。というより、機械があまり得意ではないのでキャッシュレスが苦手というだけだ。
「何円入れようかな…ご縁がありますようにか、充分ご縁がありますようにか……。」
こんなところまで神経質であるノアは、財布の中にある小銭達と相談しながらまた自分の世界に入り込んだ。ぼんやりしている彼を放っておいて、暇をつぶすための雑談は加速していく。
「みんな何を願うんだい? …と言っても、願う事はなさそうだが。」
カノが諦観したように笑った。ここにいる五人、まず願いを考えてすらいない。願いなんてものはなく、軍人らしく世界平和を願おうとしても逆に戦争を楽しんでいた身であるし言える事は少ない。あと、神に願ったとてどうにでもならないと考えている分、ただ雰囲気を楽しみに来ているだけ、という感覚である。
「カノ様の仰る通りでございます。」
現実主義が仇となったのか、それともただ単に神というものに興味がないのか。彼らはぼんやりと石畳を踏みつけた。
「よし、一人五円だ。」
順番が迫ってきたとき、ノアが一人一人に銅色のそれを手渡した。
「五円玉三枚で充分ご縁がありますように、にしたかったが…五円玉がそもそもそんなにない。だから一人一枚が限界だ。」
そうして駄弁っていると、彼らの目の前には賽銭箱が居座っていた。皆でい二礼・二拍手・一礼を丁寧に行ったのち、各五人心の中で好き勝手に願いを呟く。それはどんな内容だったのか。それを知るのは彼らのみであり、きっと誰にも告げる事はないだろう。
「…ン、じゃあ御神籤を買おうか。今時御神籤も高いねェ……こんな紙切れ一枚に…んぐっ。」
「カノ、黙っていた方がいい。一応神からのありがたいご神託なのだから。」
カノの口を塞ぐ手際の良さは、まるで誘拐犯のようだ。と言っても、実際誘拐などいくらでもしてきたのでまさにその行動と同じである。
「…まあ、いっせーの、で開けようか。」
ノアが号令をかけた時、ぱっと神籤が開かれた。その反応は三者三様で___と言いたいところだったが、ただただ全員無表情である。くじ如きに期待していない、ということだろう。
「わ、今日めちゃくちゃ運悪いっす。凶っすよ凶。」
レノがどう考えているのかすら分からないような表情で言った。別にどうでもいい、と言わんばかりの表情でクイが呟く。
「…大吉。ノア様とカノ様とヒノ様の結果が良くなけりゃァ意味ないってのによォ~…。」
彼は自分が一番になってしまった事に不満を抱いているらしい。
「吉か。…パッとしないね。不満ってわけでもないが……。」
黙々と神籤を読み込みながら、ノアは言う。別にどうでもいいと言っていたがそういうものは気になってしまうのだ。椿の髪飾りをいじりながら、ヒノも同意するように頷いた。
「ああ、私もそうだ。小吉だね。普通…としか言いようがない。」
紙をしめ縄に括り付けると、彼は興味がなさそうに石ころを見つめ始める。平穏とは言い切れないものの、決して殺伐としてはいない空気が流れていた。
「大凶だね。さっきのバチでも当たったのかな?」
楽観的に笑いながらカノはそう言う。だが、彼らを最早神として崇めていた彼_____クイは、一切そんな余裕などなかった。そもそもの話、彼らが冗談であろうと悪く扱われるのを許さない男なのだから。
「……えっ、あっあっ。」
クイはぐるぐると目が回り、すっかり何を考えているのか何が起こっているのかすら分かっていない風貌である。何度も何度も、自分の御神籤の結果である大吉と自分が何であろうと守ると約束した者の大凶という神籤を。
「カノ様…? ええっと、ボクは………?」
恐らくマチェーテを持っていたのならば自死を選んでいただろう彼は、衝動と勢いにその身体を任せた結果、自分の神籤を破りコートのポケットに突っ込んだ。びりびりと軽快な音が子供達の喧騒に消えゆく。
「…これでボクは神に背く事になりました、大凶どころではありません、大々凶です。」
一応これも、彼なりの優しさらしきものである。カノはよく理解していないようだったが、考える事をやめ目の前の状況を真っすぐそのまま受け取る事にした。
「え、あ、うん。そうかい。」
目は明らかに理解していないが、とりあえず頷いておいたのでどうにか場面を凌げたようだ。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。お雑煮作るからね。」
「わーい! 僕白味噌雑煮好きなんすよ!」
きゃいきゃいと戯れながら、レノは軽すぎる足取りで帰路につく。クイはいつの間にか焼き芋を買ってきてしまっていた。
「久しぶりに見つけたので買ってしまいました。美味しいですよ。」
「確かに、そういう移動販売形式の焼き芋はなくなってしまったが…。」と彼の行動力に驚きつつ、一口だけヒノは貰う。優しくしつこくない甘味が広がり、焼き芋独特の優しい舌触りが口内全体に広がった。
「そもそもこんな時期でも売っているんだね。あ、わたしも一口くれないか。」
「あ、僕も!」
「…どうせならばワタシも貰っておこうかな。」
三人にも焼き芋をやっていると、いつの間にか元の体積の半分ほどの体積になっていた。
「ン…まァいいか。」
だが、クイは不満げに思うのでもなく誇らしげにしている。まだ肌寒い季節だというのに、初夏のような温かい空気がその場に広がっていた。