二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
side クイ
「ただいま~。」
ノア様が声を家中に轟かせる。だが、帰ってくるのは空虚のみだった。ヒノ様は、きっと創作活動に集中されているのだろう。いつもの事だったので、ボク達は気にする事なく買ってきた食材を冷蔵庫へと入れる。
「晩御飯の下拵えしないと。」
「あ、僕も手伝いますよ。」
ノア様とレノは、買ってきた野菜等を冷蔵庫に入れ始める。ボクもそれを手伝おうと手伝ってゆき、カノ様は小説を書こうと自分の部屋へと戻っていく。だが、何かの違和感に気付いたのかカノ様が声を漏らした。
「…あれ。」
カノ様は咄嗟に防御態勢を取る。どうされたのか、とボクはカノ様の元へと駆け寄った。何があったのだ。まさか__________
ボクの嫌な予感は的中する事となる。
「どうされたのですか!? カノ様!!」
ボクは急いでカノ様の傍へと駆け寄った。
「…いや…まずい事になったかもしれない…家に帰る前から第六感が囁いていたのはそういう事か……。」
「くっ。」という軽いうめき声を漏らしカノ様は辺りを見回し始める。どうされたのだろうか。まさか、何かを勘付いたとでもいうのだろうか。
「…なァ、ヒノ兄さん…どこに行ったんだろうね? いつも置いているはずのイーゼルスタンドがないのだが……。」
カノ様が信じられないと言わんばかりの表情でまだリビングを観察している。確かに、カノ様のおっしゃる通りである。ヒノ様やレノが自由に絵を描く為に、いつもスケッチブックとイーゼルスタンドを常備している。だが、今はイーゼルスタンドがどこにも見えない。
「どこかに…お出かけになさったのでしょうか…。」
震え声でボク様は言葉を繋ぐ。それでありたいという願望というだけが混ざった言葉だった。そんな事がないのは分かり切っているのだが、未だボク様はそれを受け入れられずにいる。
「いや…それは違う…なぜ硝子が内側に飛び散っているのかが説明出来ないからね…。」
カノ様に夢中で気付いていなかったが、そういえばカノ様とボク様の足元には硝子の破片が飛び散っている。これは、誰かが家の中に侵入してきたという事でよいのだろうか。
「…誰か…侵入者がヒノ様の事を…?」
「まあ…そうだろうね。」
至って淡々としているカノ様と焦燥感にあふれているボク様はまさに正反対と言ったところだ。いつものポーカーフェイスを崩さず冷静に分析するだなんて、ボク様には到底出来ない。こんな事を考えられている時点で、心の奥底は上から俯瞰しているのだろうが。
「やはり、ボクがヒノ様のお傍についていれば…!」
悔恨だけが脳内に渦巻いている。ノア様とカノ様とヒノ様の平穏を守るのがボクだというのに。ボク様はそれを遂行出来なかった。これが、ノア様とカノ様とヒノ様に使える者として失格という言葉以外に何が合うだろうか。
「どうか、お許しくださいませ………!!」
贖罪として、ボクは自分自身を殺そうと首にマチェーテの刃を当てて見せる。先程までノア様とカノ様の警護の為持ち歩いていたものだ。
「…いや待て。クイ。」
ノア様がボクを止める。ボクは、その声を聴いた瞬間マチェーテを自分の首から離した。
「もしヒノ兄さんが連れ去られたとするのならば、暴れもっと物が壊れているはず。そしてきっとこの辺りには血が大量に出ているだろう。だのに、窓ガラスが割れてしまっている以外は全くと言っていい程この辺りは平穏で何も変わっていない…つまりは…分かるだろう?」
ヒノ様は、ご自分の意志で侵入者についていったという事になるのだろう。そうならば、別に問題はない。ヒノ様がお幸せであられるのならばボクからすればそれでいい。ボク如きが、ヒノ様の邪魔をしてはならない。
「…ええ、もちろんでございます。」
「まぁ…ヒノ兄さんがいいならそれでいいよね。わたし達はただの傍観者。彼は自分の道を選んだだけさ。」
話を遮るようにレノが言葉を紡ぐ。ノア様とカノ様の話を聞こうとしないとはどういうつもりかと考えてしまったが、表情を見るに重要の話のようだ。だが、どちらにせよノア様とカノ様の話を遮った事は許さん。
「あのぅ、ちょっと…。」
レノが恐る恐る手を挙げる。ボク達の様子を窺いながら、口を開いた。
「…ヒノ兄貴は誰かに誑かされた…に近いですよね。」
「誰かが襲撃してきたとするならば、また誰か来るんじゃ…。」
そういえばそうだ。ヒノ様がご無事かそうではないのか心配で心配でしょうがなく、そんなところまで気が配れるような状態ではなかったが、よく考えてみればそうではないか。なぜボクはこんな簡単な事に気が付かなかったのだ。
「あ。」
ノア様とカノ様とボクの情けない声色が家に流れる。ノア様が頭を抱え「そうじゃないか…!」と呟く。
「だから、僕からすればヒノ兄貴取り戻したり襲撃者殺したりするのがいいんじゃないのかなって思ってます…。」
ボク達が鈍感なだけかもしれないが、やはりこのボク様の舎弟レノ。ボクがわざわざ育ててやっただけがある。ボクも、あんな簡単な事に気付かないとは少々まずいかもしれない。ノア様とカノ様、戻ってきたのならばヒノ様の護衛をする為、これからも精進しなくては。
「…フム、それならば次に襲撃してきた際に色々と割り出させるしか手はないんじゃないのか?」
「レノが言う通りだと思われます、ノア様。」
「それじゃあ…まずは『火の大本を消す事』を実行しよう。このまま刺客という名の煙が散ってしまっては敵わんからなァ。」
ノア様がけらけらと[漢字]嘲笑[/漢字][ふりがな]わら[/ふりがな]っている。ボクがノア様のご意見に反対する事などない。ただただ、大切なご命令に従うだけだ。
「了解いたしました。ノア様。」
「ノア様とカノ様の手となり足となり、駒としてせいぜい働かせていただきます。」
服従の証として、ボクは膝をつき深く深く頭を下げる。すると、らんらんとした笑い声がボクの耳に飛び込んできた。この声色は、カノ様のものだ。カノ様は非常に楽しそうな声色で口を動かす。
「うん…いいじゃないか! これを小説にするとなると…フフフ、ああ…最高だよ。」
軽く顔を上げてみるとメモ帳片手に愉悦に浸っているカノ様を横目に、レノも口角を上げた。舎弟が浮かべた笑みは、ふわりとしており赤子にかけるようなものであったが、その瞳には冷徹で心の深海で蠢くような黒がある。まさに、水に濡れた鴉の羽のようにドス黒い。
「僕も…兄貴達に、いけるとこまでついていきます! 地獄の果てとしても…永遠に、お供しますから。」
ヒノ様の声が聞こえないと、少々寂しくなってしまう。だがこれはヒノ様がご自分で選ばれた道だ。ボク如きが口をはさみ手を出しいい事象ではない。
「フム…こちらからは仕掛けられない、というものが擽ったいが…まぁいい。次に火の粉が来るまで待ってやろう。」
「その時は、みなで歓迎して差し上げようではないか。」
その言葉を聞くと、みなでこくりと頷いた。ボクはノア様のご命令に従わずに反乱を起こすような愚者ではない。ノア様とカノ様をお守りしつつ、レノも守ってやらねば。ボクの身内である限り、ボクはそれらを全て守り続ける。この生命尽きるまで。
「ただいま~。」
ノア様が声を家中に轟かせる。だが、帰ってくるのは空虚のみだった。ヒノ様は、きっと創作活動に集中されているのだろう。いつもの事だったので、ボク達は気にする事なく買ってきた食材を冷蔵庫へと入れる。
「晩御飯の下拵えしないと。」
「あ、僕も手伝いますよ。」
ノア様とレノは、買ってきた野菜等を冷蔵庫に入れ始める。ボクもそれを手伝おうと手伝ってゆき、カノ様は小説を書こうと自分の部屋へと戻っていく。だが、何かの違和感に気付いたのかカノ様が声を漏らした。
「…あれ。」
カノ様は咄嗟に防御態勢を取る。どうされたのか、とボクはカノ様の元へと駆け寄った。何があったのだ。まさか__________
ボクの嫌な予感は的中する事となる。
「どうされたのですか!? カノ様!!」
ボクは急いでカノ様の傍へと駆け寄った。
「…いや…まずい事になったかもしれない…家に帰る前から第六感が囁いていたのはそういう事か……。」
「くっ。」という軽いうめき声を漏らしカノ様は辺りを見回し始める。どうされたのだろうか。まさか、何かを勘付いたとでもいうのだろうか。
「…なァ、ヒノ兄さん…どこに行ったんだろうね? いつも置いているはずのイーゼルスタンドがないのだが……。」
カノ様が信じられないと言わんばかりの表情でまだリビングを観察している。確かに、カノ様のおっしゃる通りである。ヒノ様やレノが自由に絵を描く為に、いつもスケッチブックとイーゼルスタンドを常備している。だが、今はイーゼルスタンドがどこにも見えない。
「どこかに…お出かけになさったのでしょうか…。」
震え声でボク様は言葉を繋ぐ。それでありたいという願望というだけが混ざった言葉だった。そんな事がないのは分かり切っているのだが、未だボク様はそれを受け入れられずにいる。
「いや…それは違う…なぜ硝子が内側に飛び散っているのかが説明出来ないからね…。」
カノ様に夢中で気付いていなかったが、そういえばカノ様とボク様の足元には硝子の破片が飛び散っている。これは、誰かが家の中に侵入してきたという事でよいのだろうか。
「…誰か…侵入者がヒノ様の事を…?」
「まあ…そうだろうね。」
至って淡々としているカノ様と焦燥感にあふれているボク様はまさに正反対と言ったところだ。いつものポーカーフェイスを崩さず冷静に分析するだなんて、ボク様には到底出来ない。こんな事を考えられている時点で、心の奥底は上から俯瞰しているのだろうが。
「やはり、ボクがヒノ様のお傍についていれば…!」
悔恨だけが脳内に渦巻いている。ノア様とカノ様とヒノ様の平穏を守るのがボクだというのに。ボク様はそれを遂行出来なかった。これが、ノア様とカノ様とヒノ様に使える者として失格という言葉以外に何が合うだろうか。
「どうか、お許しくださいませ………!!」
贖罪として、ボクは自分自身を殺そうと首にマチェーテの刃を当てて見せる。先程までノア様とカノ様の警護の為持ち歩いていたものだ。
「…いや待て。クイ。」
ノア様がボクを止める。ボクは、その声を聴いた瞬間マチェーテを自分の首から離した。
「もしヒノ兄さんが連れ去られたとするのならば、暴れもっと物が壊れているはず。そしてきっとこの辺りには血が大量に出ているだろう。だのに、窓ガラスが割れてしまっている以外は全くと言っていい程この辺りは平穏で何も変わっていない…つまりは…分かるだろう?」
ヒノ様は、ご自分の意志で侵入者についていったという事になるのだろう。そうならば、別に問題はない。ヒノ様がお幸せであられるのならばボクからすればそれでいい。ボク如きが、ヒノ様の邪魔をしてはならない。
「…ええ、もちろんでございます。」
「まぁ…ヒノ兄さんがいいならそれでいいよね。わたし達はただの傍観者。彼は自分の道を選んだだけさ。」
話を遮るようにレノが言葉を紡ぐ。ノア様とカノ様の話を聞こうとしないとはどういうつもりかと考えてしまったが、表情を見るに重要の話のようだ。だが、どちらにせよノア様とカノ様の話を遮った事は許さん。
「あのぅ、ちょっと…。」
レノが恐る恐る手を挙げる。ボク達の様子を窺いながら、口を開いた。
「…ヒノ兄貴は誰かに誑かされた…に近いですよね。」
「誰かが襲撃してきたとするならば、また誰か来るんじゃ…。」
そういえばそうだ。ヒノ様がご無事かそうではないのか心配で心配でしょうがなく、そんなところまで気が配れるような状態ではなかったが、よく考えてみればそうではないか。なぜボクはこんな簡単な事に気が付かなかったのだ。
「あ。」
ノア様とカノ様とボクの情けない声色が家に流れる。ノア様が頭を抱え「そうじゃないか…!」と呟く。
「だから、僕からすればヒノ兄貴取り戻したり襲撃者殺したりするのがいいんじゃないのかなって思ってます…。」
ボク達が鈍感なだけかもしれないが、やはりこのボク様の舎弟レノ。ボクがわざわざ育ててやっただけがある。ボクも、あんな簡単な事に気付かないとは少々まずいかもしれない。ノア様とカノ様、戻ってきたのならばヒノ様の護衛をする為、これからも精進しなくては。
「…フム、それならば次に襲撃してきた際に色々と割り出させるしか手はないんじゃないのか?」
「レノが言う通りだと思われます、ノア様。」
「それじゃあ…まずは『火の大本を消す事』を実行しよう。このまま刺客という名の煙が散ってしまっては敵わんからなァ。」
ノア様がけらけらと[漢字]嘲笑[/漢字][ふりがな]わら[/ふりがな]っている。ボクがノア様のご意見に反対する事などない。ただただ、大切なご命令に従うだけだ。
「了解いたしました。ノア様。」
「ノア様とカノ様の手となり足となり、駒としてせいぜい働かせていただきます。」
服従の証として、ボクは膝をつき深く深く頭を下げる。すると、らんらんとした笑い声がボクの耳に飛び込んできた。この声色は、カノ様のものだ。カノ様は非常に楽しそうな声色で口を動かす。
「うん…いいじゃないか! これを小説にするとなると…フフフ、ああ…最高だよ。」
軽く顔を上げてみるとメモ帳片手に愉悦に浸っているカノ様を横目に、レノも口角を上げた。舎弟が浮かべた笑みは、ふわりとしており赤子にかけるようなものであったが、その瞳には冷徹で心の深海で蠢くような黒がある。まさに、水に濡れた鴉の羽のようにドス黒い。
「僕も…兄貴達に、いけるとこまでついていきます! 地獄の果てとしても…永遠に、お供しますから。」
ヒノ様の声が聞こえないと、少々寂しくなってしまう。だがこれはヒノ様がご自分で選ばれた道だ。ボク如きが口をはさみ手を出しいい事象ではない。
「フム…こちらからは仕掛けられない、というものが擽ったいが…まぁいい。次に火の粉が来るまで待ってやろう。」
「その時は、みなで歓迎して差し上げようではないか。」
その言葉を聞くと、みなでこくりと頷いた。ボクはノア様のご命令に従わずに反乱を起こすような愚者ではない。ノア様とカノ様をお守りしつつ、レノも守ってやらねば。ボクの身内である限り、ボクはそれらを全て守り続ける。この生命尽きるまで。