二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
side クイ
郊外にて。呑気な萎びた町にボク様達は住んでいる。集合住宅のぬるい空気がボク様の肌を撫でた。惨めにボク様を殺さないでくれ、どうか心を奪わないでくれ、と今日もボク様は願う。レノはボク様の大事な、がらくたになってしまったかつての友人を、「おもちゃになってしまいましたね。」とそんな風に懐かしそうにレノは笑う。懐かしそうに笑わないでくれ。その昔の記憶が呼び覚まされ、惨めな感情になってしまう。外が妙にうるさいと思い、しゃっ、とカーテンを開けてみれば、沢山の腕がこちらに向かってきている。どうやらレノも気付いているようだ。どうしたのかとこちらの歩んでくる。
「いつものだァ。気にする事はねェ。」
ボク様はそれだけ告げ、レノに眠るよう指示をする。すぐさま窓を閉め、そしてカーテンも閉めた。ボク様達を死ぬよう誘っているのかもしれないが、そうは行きたくない。
「…ボク様も、寝るかァ。」
耳を塞いで寝るしかない。事故物件に住んでいるのだから、しょうがないと言えばしょうがないのだから。毎日のようにこんな腐った子供達に死へと誘われるだなんて、身も心も疲弊してしまう。
『暮しは続いてゆく。』
次の日、またボク様は正午に眠くなる。安心というものがあやしてくれるからだ。生物としてはこんな時間帯に眠くなるだなんてないはずなのに、昼時に眠くなるとは平和ボケしているという証拠だろう。ボク様は机に伏せる。昨日しっかり眠れたはずなのに。ずっと身体は錆びついてぼろぼろになってしまう。どうやってこの状況から逃げられるのだろうか。
「買い物行きますよー、クイ兄貴~。」
「あァ、待ってくれェ。」
だが、それがどれだけ憎らしくともボク様達が暮らしてしまう日々は続くのだ。
「これ買っていいっすか? ポテチ久しぶりに食べたいっす。」
「いいけどよォ~…しょうがねェなァ。」
買い出しの帰り道。レノがふと呟く。
「あ、洗濯物取り込まなきゃ。」
「ボク様がやっておく。」
「ありがとうございます。クイ兄貴。」
家に帰り、洗濯物を取り込もうとすると手が崩れるように見える。別に気にする事はないのだ。いつもの事なのだから。そして、ボク様は風邪で揺れる服へと両の手を伸ばす。安心の代金は郵便局で払う。ガスメータが増えてゆく度、きちんと支払えるのかと不安に駆られる。だが、二人でならばきっと大丈夫だ。他にも安心は、コンビニエンスストアで百うん十円で買える。一つのものを二人で分けて食べる程度でそれがどんな値段か、詳しくはもう忘れてしまったがちょっとした気休めぐらいにはなるのだ。今は苦しくて何も買えていないが。そのみだりな安心ですら、ボク様達を築く何かとなる。
「…今日も、終わったのかァ。」
夜にて。隣をちらりと見るとレノの穏やかな寝顔が映る。そして天井に目を向けると幽霊が笑っていた。幽霊ですら笑えるというのに、ボク様達は笑えない。この日常を生き足掻くのだ。今日も雲ばかりが心に曇っている。
・・・
「…?」
そうだ、カーテンを開けっぱなしにしているのを忘れていた。いつも死へとボク様を誘う手がこちらへゆっくりと向かってくる。昔に恥じた日々が今更ボク様を苦しめてきた。その明るい声を聴くたびに、どうしても昔の愛おしいはずの記憶を思い出してしまう。ずっとその声は濁るばかりで。もういっその子事、騙されてしまいたい。だが、レノがいるからそうはいけない。ボク様はカーテンを閉じる。また追い詰められ塞ぎこむばかりで何も出来ない。孤独が堆積していく。そしてボク様は瞼を下ろした。団地A棟の狭い空の下で。
・・・
もう今日も昼時だ。今日はレノがごろりと寝っ転がって眠っている。そろそろ起こさねば。
「おーい。起きろよォ。夜に寝れなくなっちまうぜェ。」
そう声をかけても、レノは動きやしない。深く眠っているのかと思い、何度も何度も声をかける。返事すらもちょっとした身動ぎすらもなく、ボク様はレノの身体を揺らした。そうしようが何をしようが[漢字]返事[/漢字][ふりがな]それ[/ふりがな]は帰ってこなくて。
「…はァ?」
最悪の考えがボク様の脳裏を過る。ずっと二人だけで過ごしてきたというのに。まさか、そんな事があってもいいのだろうか。
「ま、待てよォ。最期の言葉すらねェとか…嘘だろォ? レノ…レノッ!!」
どれだけ叫んでもやはり[漢字]返事[/漢字][ふりがな]それ[/ふりがな]は帰ってこなくて。何となくだが、ボク様は察した。こいつが死んでしまっているという事を。きっとレノが死ぬ瞬間をボク様は見ていた。それなのに何も出来なかった。その無力感に打ちひしがれる。ただただ能天な昼過ぎ。ゆっくりと雲が流れるその空。午睡のふりをして、事切れてゆく。またボク様の空には雲がかかるばかりだ。
・・・
「行方不明者、探してます…っとォ。」
レノが見つかればいいが、そう簡単に見つかるだろうか。望みは薄いだろうが、探してみる事に価値はある。またレノを探す為ボク様は今日も奔走する。見つけられるはずだ、きっと。ボク様の視界の端には、いつもよりずっと遅く進むガスメータが映っていた。この朗報をレノに報告したいが、それはあいつが見つかってからになるだろう。
郊外にて。呑気な萎びた町にボク様達は住んでいる。集合住宅のぬるい空気がボク様の肌を撫でた。惨めにボク様を殺さないでくれ、どうか心を奪わないでくれ、と今日もボク様は願う。レノはボク様の大事な、がらくたになってしまったかつての友人を、「おもちゃになってしまいましたね。」とそんな風に懐かしそうにレノは笑う。懐かしそうに笑わないでくれ。その昔の記憶が呼び覚まされ、惨めな感情になってしまう。外が妙にうるさいと思い、しゃっ、とカーテンを開けてみれば、沢山の腕がこちらに向かってきている。どうやらレノも気付いているようだ。どうしたのかとこちらの歩んでくる。
「いつものだァ。気にする事はねェ。」
ボク様はそれだけ告げ、レノに眠るよう指示をする。すぐさま窓を閉め、そしてカーテンも閉めた。ボク様達を死ぬよう誘っているのかもしれないが、そうは行きたくない。
「…ボク様も、寝るかァ。」
耳を塞いで寝るしかない。事故物件に住んでいるのだから、しょうがないと言えばしょうがないのだから。毎日のようにこんな腐った子供達に死へと誘われるだなんて、身も心も疲弊してしまう。
『暮しは続いてゆく。』
次の日、またボク様は正午に眠くなる。安心というものがあやしてくれるからだ。生物としてはこんな時間帯に眠くなるだなんてないはずなのに、昼時に眠くなるとは平和ボケしているという証拠だろう。ボク様は机に伏せる。昨日しっかり眠れたはずなのに。ずっと身体は錆びついてぼろぼろになってしまう。どうやってこの状況から逃げられるのだろうか。
「買い物行きますよー、クイ兄貴~。」
「あァ、待ってくれェ。」
だが、それがどれだけ憎らしくともボク様達が暮らしてしまう日々は続くのだ。
「これ買っていいっすか? ポテチ久しぶりに食べたいっす。」
「いいけどよォ~…しょうがねェなァ。」
買い出しの帰り道。レノがふと呟く。
「あ、洗濯物取り込まなきゃ。」
「ボク様がやっておく。」
「ありがとうございます。クイ兄貴。」
家に帰り、洗濯物を取り込もうとすると手が崩れるように見える。別に気にする事はないのだ。いつもの事なのだから。そして、ボク様は風邪で揺れる服へと両の手を伸ばす。安心の代金は郵便局で払う。ガスメータが増えてゆく度、きちんと支払えるのかと不安に駆られる。だが、二人でならばきっと大丈夫だ。他にも安心は、コンビニエンスストアで百うん十円で買える。一つのものを二人で分けて食べる程度でそれがどんな値段か、詳しくはもう忘れてしまったがちょっとした気休めぐらいにはなるのだ。今は苦しくて何も買えていないが。そのみだりな安心ですら、ボク様達を築く何かとなる。
「…今日も、終わったのかァ。」
夜にて。隣をちらりと見るとレノの穏やかな寝顔が映る。そして天井に目を向けると幽霊が笑っていた。幽霊ですら笑えるというのに、ボク様達は笑えない。この日常を生き足掻くのだ。今日も雲ばかりが心に曇っている。
・・・
「…?」
そうだ、カーテンを開けっぱなしにしているのを忘れていた。いつも死へとボク様を誘う手がこちらへゆっくりと向かってくる。昔に恥じた日々が今更ボク様を苦しめてきた。その明るい声を聴くたびに、どうしても昔の愛おしいはずの記憶を思い出してしまう。ずっとその声は濁るばかりで。もういっその子事、騙されてしまいたい。だが、レノがいるからそうはいけない。ボク様はカーテンを閉じる。また追い詰められ塞ぎこむばかりで何も出来ない。孤独が堆積していく。そしてボク様は瞼を下ろした。団地A棟の狭い空の下で。
・・・
もう今日も昼時だ。今日はレノがごろりと寝っ転がって眠っている。そろそろ起こさねば。
「おーい。起きろよォ。夜に寝れなくなっちまうぜェ。」
そう声をかけても、レノは動きやしない。深く眠っているのかと思い、何度も何度も声をかける。返事すらもちょっとした身動ぎすらもなく、ボク様はレノの身体を揺らした。そうしようが何をしようが[漢字]返事[/漢字][ふりがな]それ[/ふりがな]は帰ってこなくて。
「…はァ?」
最悪の考えがボク様の脳裏を過る。ずっと二人だけで過ごしてきたというのに。まさか、そんな事があってもいいのだろうか。
「ま、待てよォ。最期の言葉すらねェとか…嘘だろォ? レノ…レノッ!!」
どれだけ叫んでもやはり[漢字]返事[/漢字][ふりがな]それ[/ふりがな]は帰ってこなくて。何となくだが、ボク様は察した。こいつが死んでしまっているという事を。きっとレノが死ぬ瞬間をボク様は見ていた。それなのに何も出来なかった。その無力感に打ちひしがれる。ただただ能天な昼過ぎ。ゆっくりと雲が流れるその空。午睡のふりをして、事切れてゆく。またボク様の空には雲がかかるばかりだ。
・・・
「行方不明者、探してます…っとォ。」
レノが見つかればいいが、そう簡単に見つかるだろうか。望みは薄いだろうが、探してみる事に価値はある。またレノを探す為ボク様は今日も奔走する。見つけられるはずだ、きっと。ボク様の視界の端には、いつもよりずっと遅く進むガスメータが映っていた。この朗報をレノに報告したいが、それはあいつが見つかってからになるだろう。