イカれたメンバーを紹介するぜ!
side ノア
元軍人の五人の男達がシェアハウスし、奇怪に生きている。そんな妄想に耽り、わたしはクッションに顔を埋めた。そして、クッションから少し顔を浮かせ、視線を自身の兄、ヒノに移す。彼は椅子に座りながら新聞を怪訝な顔で読み込んでいる。
「最近…ここら辺物騒だよな。」
新聞を覗いてみると、でかでかと見出しの欄には連続殺人や誘拐、連続放火などの犯罪があるというものが載っていた。誰が何をしたのか、ここにいる五人は把握している。
「…わたしから一つ言っておくが、殺人やら何してもどうでもいい。だが…足跡つけるような事はするなよ。」
わたしは今日の夕食の下ごしらえを始めつつそう言った。そして、わたしが下ごしらえを始めるとカノがわたしの料理を様を見守る。パックのお肉を取り出すと、カノが呟いた。
「ふーん…[太字]今日は[/太字]普通のお肉使うんだ…。」
カノが訝しげな瞳でわたしが調理する様を見つめる。どうやら昨日のビーフシチューに普通の肉だと偽って気付かれぬように味付けした人肉を入れていた事を気付いていたらしい。
「なんだ、気付いていたのか。別に問題はないが。ところで…味はどうだった?」
自分では上手くやった方だとは思っている。人間は豚肉と牛肉と中間の味で、筋が多い。雑食だというのに意外にも人間は美味しいのだ。
「…美味しかったよ。だいぶ調理の腕を上げたね。この調子で調理し続けてくれ。」
「フフ、やはり褒められるというのは気分がいいね。」
これだけかと思い、また料理に集中し始めるとカノがわたしに訊いてくる。
「あとノア兄さん…もしかしてなんだけど、解剖で余ったやつワタシ達に食べさせた?」
いつもの真顔でカノが訊いてくる。わたしは何を隠そう解剖で扱った肉を調理したのだ。これを取り繕う必要性が無い為、わたしは正直に答える事にする。
「そうだが。何か不都合でも?」
カノはそれだけ聞き、「特に。気になっただけさ。」とだけ吐き捨てリビングにてまた小説を書き始める。そして、話を聞いていたらしいヒノ兄さんがいきなり首を突っ込んできた。
「食べてしまうなら死体はホルマリン漬けにして私にくれればよかったのに。なんならホルマリン漬けにしなくてもいいんだぞ?」
もちろん、ヒノ兄さんが話しかけてきたのは、ホルマリン漬けで絵画の資料が欲しいというものもあるだろうがそれ以上に重要な理由があるのだろう。検討はついており、どうせ[太字]わたしと同じような理由[/太字]だという事は知っている。
「ヒノ兄さんは[太字]ネクロフィリア[/太字]だもんな。」
そう、ネクロフィリア。別名・死体性愛。ヒノ兄さんは昔までは常識人を気取っていたが、今になってはわたし達と同じ気狂い。やっぱり血筋は抗えないのだ。
「今ふと思ったんですけど…そうなると…なら人間をずっと野菜ばっかり食わせれば美味しくなるのかな?」
レノがふとした時にそういう。我が家の癒し枠でもあり、わたし達の中では比較的おっとりしている。レノが思いついた人間に野菜ばかり食べさせれば人肉が美味しくなるのかもしれない、という事は全くと言っていいほど考えた事が無かった。そう思うと確かにそうなのだろうか。好奇心が一気にとめどなく溢れてくる。
「まず栄養失調で死なないか?」
素朴な疑問がついつい湧いてきて、レノに訊く。やると決まったわけでもないのに実行するかも知れないとかいう事を考えていた。それほど興味深い事象だという事。この好奇心を満たすにはどうすればいいのだろうか。
「…栄養失調で死なぬよう改造しましょう。人体改造は得意です。」
クイがわたし達に笑いかける。クイはそういう、改善や改造が大好きで、よく人間をバラしてくっつけたり他の動物と引っ付けてキメラを作って遊んでいた。
「おおっ! 流石クイ! 思い立ったが吉日!! 早速そこら辺の女孕ませて子供産ませてくるわ!!」
カノががたりと席を立ち急いで準備をし始める。カバンに違法薬物と思われるものを詰めたり、縄を用意したりと想像以上に楽しみにしている様子だ。
「カノ兄貴…僕が児童施設から誘拐してきますよ。」
優しく微笑みかけながらレノはそう言う。情緒不安定なのかは知らないがいきなりカノは冷静になり真顔になった。
「確かに。そっちの方が手短だね。よし、やめよう。」
そしてわたしとクイは頭を抱えている。いわゆる完璧主義に近いものだろう。芸術のために美味しく食べたいのだが、品種改良してしまえばそれは本当に人肉を美味しく食べたと言えない。
「…うーん…でも…改造してしまえば、本当に人間を美味しく食べたと言えませんよね…どうしましょう…やっぱり品種改良しかないんですかね…。」
キメラを作ったり出来るほどの腕を持つクイならば、改造すれば確実に美味しく人肉が頂けるだろう。だが、確かにそれはわたし達の好奇心とプライドが良しとしない。
「不可能に近い事だとは思うよ…だけど…出来る事なら品種改良せずに美味しく食べたいよね…。」
二人揃って頭を抱えている。他の会話にも参加したいところだが、今は料理中だ。やめてしまってもいいが、わざわざ料理を中断するのは面倒。だからしょうがなくわたしは調理を続けている。全く、こんなにも面白い話をするというのならわたしが調理をしていない時に行ってほしいものだ。
「そうだ…子供で思い出したんだけどさ。ノア兄さん。いつも常識人ぶってるけど…。」
またカノがわたしの側にやってくる。わたしの顔をカノは覗き込み、軽く口角を上げ笑った。そして、わたしの耳元で囁く。
「ワタシ…知ってるよ。」
「ノア兄さん…この前妊婦さんバラして人体解剖図作ってたの。」
どうやら、気付かれていたらしい。ここ最近作ったそれを覚える為、食事中にも読み込んでいたからだろうか。それとも、見られていたのだろうか。どっちにしろ、わたしに不都合なんてない。
「それごときがなんだ。」
「…その時の赤ちゃん、何かしらに使えたかもじゃない?」
「確かにそうだな…だが、もうホルマリン漬けにしてヒノ兄さんに渡したぞ?」
ヒノ兄さんは、死体に興奮するネクロフィリアで何故かホルマリン漬けが好きという癖も持っている。ヒノ兄さんはそういう芸術が大好きなのだ。カノとは別ベクトルの芸術家と言った方がいいだろう。
「しかと受け取ったぞ。完成度が高く満足だ。赤子と妊婦が断面図になっているアレ…物凄く芸術の参考になるよ。」
によによと楽しそうに笑ってヒノ兄さんがいきなり話に突っ込んでくる。どうやらヒノ兄さんに聞こえていたらしい。わたしがそれごときがなんだと言った時から声量を小さくせず、みなに聞こえるような声声量で話していたからだろう。
「ノア兄さん、もしかしてヒノ兄さんに頼まれてバラした?」
「ああ。バラすついでに人体解剖図を作ったに過ぎない。どうやら、ニュースのドキュメンタリー曰く、今回は妊娠してから十一ヶ月だったらしい。この調子で双子もコンプリートしていきたいな。」
「えー…コンプリートするなら誘拐面倒なんだけど。結構あれ暴れるから面倒なんだからね?」
誘拐は確かに面倒だ。ここ最近は誘拐を沢山してしまったからか防犯も強化されており、街中に監視カメラが張り巡らされている。いや、監視カメラを作っている工場を襲撃し、街の監視カメラを全て破壊すれば完了する事だ。それはまた今度計画を立てるとして、今は目の前の事象に集中しよう。
「ヤクでもぶち込んで鎮静化しとけ。お前の部屋にあるだろ。」
「…麻薬とかならあるけど。この前小説の為にキメたやつ。」
「高純度だとダメなんだよ…あー…やっぱり調合するしかないか…。」
大したいい案が思い浮かばず、わたしとカノは頭を抱える。
「ならば、ボクが縄で拘束してから失神させます。それで安全に、誘拐できるのではないでしょうか?」
クイは可愛らしい見た目をしている割には腕っぷしが強く、わたし達の事になると毒舌で凶暴、怒りっぽい性格になる。
「おおっ! その案いいな! ナイスだクイ!」
そう褒めると、クイの顔がぱあああっ、と擬音が付きそうなほど明るく輝いた。
「…! お褒めに預かり、光栄ですっ!」
ヒノ兄さんが読んでいた新聞を閉じながら呟く。
「………今思うと赤子を食べた事ないな。」
「児童施設から誘拐するしかない? 食べてみたいよね。」
「奇形児とかでも変わるのかな…僕も気になるんで、協力しますよ!」
これで全員の賛成意見が出た。後は計画を練り、実行するだけ。
「んー…またいつかしらやろうな。今日は計画を練るだけだ。」
「えー明日? 早くやりたいけど…それが妥当だね…失敗は許されないんだから。」
誰も彼も失敗は許さず、足跡を置いて追っかけられる事を望んでいない。全員が全員、警察に追っかけられいつ警察の魔の手が来るのかとびくびくするのが嫌いだからだ。
「よし…ご飯できたから食べるぞ!」
「変なもの…入れてないよな?」
一応ヒノ兄さんが確認してくる。何度かわたしは料理に異物をわざと混入させた事があるので、不安なのだろう。
「この前確かに月経の血は入れたけど、今日は何もしてないよ。」
「…お前そろそろ精液混ぜそうだな。」
「一回スープに混ぜた。」
スープに混ぜたものの、あまり味は変わっておらず少々甘味がプラスされただけだった。苦いというのは巷で聞いていたが、甘いものもあるらしい。
「ウワッ男の精液知らず知らずのうちに飲まされるとか、どこのエロ同人?」
少し驚いた様子でカノが反応する。だが誰も嘔吐く事はなく、慣れているかどうでもいいと判断だろう。それとも、逆に好奇心を満たす為にいいスパイスになると思っているのだろう。
「誘拐して来た十三歳のガキの精液。精通してたしいいんじゃないかな? 調べたところによると精通って早かったら十歳ごろらしいね。だから次は十歳の子供を誘拐しようかなって。」
「…本当に、変なもの入れてないんですよね…? これ…。」
先ほどの少し物騒な話で、また何か混ぜられていないかと不安になってしまったレノが怪訝な瞳で机に並べられた料理達を見つめた。
「入れてないよ。カノにも監視されてたし。」
今日は入れていないという事は自信を持って言える。ずっとカノに調理の過程を監視されており、まともな料理しか作れなかったというのが本心だが。
「ノア様がお作りになられたご料理ならば、このクイ、いくらでも食べれますっ!」
クイの従順な犬感が半端ないが、それは置いておいて早く食べてしまいたい。お腹も減っている。
「まあ…食べるか。ご飯が冷めてしまう。」
「じゃー手を合わせて!」
わたしが号令をかける。そして、みなが手を合わせた姿を確認し、また号令をかけた。
「いっせーので!」
「いただきますっ!」
わたし達五人の声が家の中に響く。
元軍人の五人の男達がシェアハウスし、奇怪に生きている。そんな妄想に耽り、わたしはクッションに顔を埋めた。そして、クッションから少し顔を浮かせ、視線を自身の兄、ヒノに移す。彼は椅子に座りながら新聞を怪訝な顔で読み込んでいる。
「最近…ここら辺物騒だよな。」
新聞を覗いてみると、でかでかと見出しの欄には連続殺人や誘拐、連続放火などの犯罪があるというものが載っていた。誰が何をしたのか、ここにいる五人は把握している。
「…わたしから一つ言っておくが、殺人やら何してもどうでもいい。だが…足跡つけるような事はするなよ。」
わたしは今日の夕食の下ごしらえを始めつつそう言った。そして、わたしが下ごしらえを始めるとカノがわたしの料理を様を見守る。パックのお肉を取り出すと、カノが呟いた。
「ふーん…[太字]今日は[/太字]普通のお肉使うんだ…。」
カノが訝しげな瞳でわたしが調理する様を見つめる。どうやら昨日のビーフシチューに普通の肉だと偽って気付かれぬように味付けした人肉を入れていた事を気付いていたらしい。
「なんだ、気付いていたのか。別に問題はないが。ところで…味はどうだった?」
自分では上手くやった方だとは思っている。人間は豚肉と牛肉と中間の味で、筋が多い。雑食だというのに意外にも人間は美味しいのだ。
「…美味しかったよ。だいぶ調理の腕を上げたね。この調子で調理し続けてくれ。」
「フフ、やはり褒められるというのは気分がいいね。」
これだけかと思い、また料理に集中し始めるとカノがわたしに訊いてくる。
「あとノア兄さん…もしかしてなんだけど、解剖で余ったやつワタシ達に食べさせた?」
いつもの真顔でカノが訊いてくる。わたしは何を隠そう解剖で扱った肉を調理したのだ。これを取り繕う必要性が無い為、わたしは正直に答える事にする。
「そうだが。何か不都合でも?」
カノはそれだけ聞き、「特に。気になっただけさ。」とだけ吐き捨てリビングにてまた小説を書き始める。そして、話を聞いていたらしいヒノ兄さんがいきなり首を突っ込んできた。
「食べてしまうなら死体はホルマリン漬けにして私にくれればよかったのに。なんならホルマリン漬けにしなくてもいいんだぞ?」
もちろん、ヒノ兄さんが話しかけてきたのは、ホルマリン漬けで絵画の資料が欲しいというものもあるだろうがそれ以上に重要な理由があるのだろう。検討はついており、どうせ[太字]わたしと同じような理由[/太字]だという事は知っている。
「ヒノ兄さんは[太字]ネクロフィリア[/太字]だもんな。」
そう、ネクロフィリア。別名・死体性愛。ヒノ兄さんは昔までは常識人を気取っていたが、今になってはわたし達と同じ気狂い。やっぱり血筋は抗えないのだ。
「今ふと思ったんですけど…そうなると…なら人間をずっと野菜ばっかり食わせれば美味しくなるのかな?」
レノがふとした時にそういう。我が家の癒し枠でもあり、わたし達の中では比較的おっとりしている。レノが思いついた人間に野菜ばかり食べさせれば人肉が美味しくなるのかもしれない、という事は全くと言っていいほど考えた事が無かった。そう思うと確かにそうなのだろうか。好奇心が一気にとめどなく溢れてくる。
「まず栄養失調で死なないか?」
素朴な疑問がついつい湧いてきて、レノに訊く。やると決まったわけでもないのに実行するかも知れないとかいう事を考えていた。それほど興味深い事象だという事。この好奇心を満たすにはどうすればいいのだろうか。
「…栄養失調で死なぬよう改造しましょう。人体改造は得意です。」
クイがわたし達に笑いかける。クイはそういう、改善や改造が大好きで、よく人間をバラしてくっつけたり他の動物と引っ付けてキメラを作って遊んでいた。
「おおっ! 流石クイ! 思い立ったが吉日!! 早速そこら辺の女孕ませて子供産ませてくるわ!!」
カノががたりと席を立ち急いで準備をし始める。カバンに違法薬物と思われるものを詰めたり、縄を用意したりと想像以上に楽しみにしている様子だ。
「カノ兄貴…僕が児童施設から誘拐してきますよ。」
優しく微笑みかけながらレノはそう言う。情緒不安定なのかは知らないがいきなりカノは冷静になり真顔になった。
「確かに。そっちの方が手短だね。よし、やめよう。」
そしてわたしとクイは頭を抱えている。いわゆる完璧主義に近いものだろう。芸術のために美味しく食べたいのだが、品種改良してしまえばそれは本当に人肉を美味しく食べたと言えない。
「…うーん…でも…改造してしまえば、本当に人間を美味しく食べたと言えませんよね…どうしましょう…やっぱり品種改良しかないんですかね…。」
キメラを作ったり出来るほどの腕を持つクイならば、改造すれば確実に美味しく人肉が頂けるだろう。だが、確かにそれはわたし達の好奇心とプライドが良しとしない。
「不可能に近い事だとは思うよ…だけど…出来る事なら品種改良せずに美味しく食べたいよね…。」
二人揃って頭を抱えている。他の会話にも参加したいところだが、今は料理中だ。やめてしまってもいいが、わざわざ料理を中断するのは面倒。だからしょうがなくわたしは調理を続けている。全く、こんなにも面白い話をするというのならわたしが調理をしていない時に行ってほしいものだ。
「そうだ…子供で思い出したんだけどさ。ノア兄さん。いつも常識人ぶってるけど…。」
またカノがわたしの側にやってくる。わたしの顔をカノは覗き込み、軽く口角を上げ笑った。そして、わたしの耳元で囁く。
「ワタシ…知ってるよ。」
「ノア兄さん…この前妊婦さんバラして人体解剖図作ってたの。」
どうやら、気付かれていたらしい。ここ最近作ったそれを覚える為、食事中にも読み込んでいたからだろうか。それとも、見られていたのだろうか。どっちにしろ、わたしに不都合なんてない。
「それごときがなんだ。」
「…その時の赤ちゃん、何かしらに使えたかもじゃない?」
「確かにそうだな…だが、もうホルマリン漬けにしてヒノ兄さんに渡したぞ?」
ヒノ兄さんは、死体に興奮するネクロフィリアで何故かホルマリン漬けが好きという癖も持っている。ヒノ兄さんはそういう芸術が大好きなのだ。カノとは別ベクトルの芸術家と言った方がいいだろう。
「しかと受け取ったぞ。完成度が高く満足だ。赤子と妊婦が断面図になっているアレ…物凄く芸術の参考になるよ。」
によによと楽しそうに笑ってヒノ兄さんがいきなり話に突っ込んでくる。どうやらヒノ兄さんに聞こえていたらしい。わたしがそれごときがなんだと言った時から声量を小さくせず、みなに聞こえるような声声量で話していたからだろう。
「ノア兄さん、もしかしてヒノ兄さんに頼まれてバラした?」
「ああ。バラすついでに人体解剖図を作ったに過ぎない。どうやら、ニュースのドキュメンタリー曰く、今回は妊娠してから十一ヶ月だったらしい。この調子で双子もコンプリートしていきたいな。」
「えー…コンプリートするなら誘拐面倒なんだけど。結構あれ暴れるから面倒なんだからね?」
誘拐は確かに面倒だ。ここ最近は誘拐を沢山してしまったからか防犯も強化されており、街中に監視カメラが張り巡らされている。いや、監視カメラを作っている工場を襲撃し、街の監視カメラを全て破壊すれば完了する事だ。それはまた今度計画を立てるとして、今は目の前の事象に集中しよう。
「ヤクでもぶち込んで鎮静化しとけ。お前の部屋にあるだろ。」
「…麻薬とかならあるけど。この前小説の為にキメたやつ。」
「高純度だとダメなんだよ…あー…やっぱり調合するしかないか…。」
大したいい案が思い浮かばず、わたしとカノは頭を抱える。
「ならば、ボクが縄で拘束してから失神させます。それで安全に、誘拐できるのではないでしょうか?」
クイは可愛らしい見た目をしている割には腕っぷしが強く、わたし達の事になると毒舌で凶暴、怒りっぽい性格になる。
「おおっ! その案いいな! ナイスだクイ!」
そう褒めると、クイの顔がぱあああっ、と擬音が付きそうなほど明るく輝いた。
「…! お褒めに預かり、光栄ですっ!」
ヒノ兄さんが読んでいた新聞を閉じながら呟く。
「………今思うと赤子を食べた事ないな。」
「児童施設から誘拐するしかない? 食べてみたいよね。」
「奇形児とかでも変わるのかな…僕も気になるんで、協力しますよ!」
これで全員の賛成意見が出た。後は計画を練り、実行するだけ。
「んー…またいつかしらやろうな。今日は計画を練るだけだ。」
「えー明日? 早くやりたいけど…それが妥当だね…失敗は許されないんだから。」
誰も彼も失敗は許さず、足跡を置いて追っかけられる事を望んでいない。全員が全員、警察に追っかけられいつ警察の魔の手が来るのかとびくびくするのが嫌いだからだ。
「よし…ご飯できたから食べるぞ!」
「変なもの…入れてないよな?」
一応ヒノ兄さんが確認してくる。何度かわたしは料理に異物をわざと混入させた事があるので、不安なのだろう。
「この前確かに月経の血は入れたけど、今日は何もしてないよ。」
「…お前そろそろ精液混ぜそうだな。」
「一回スープに混ぜた。」
スープに混ぜたものの、あまり味は変わっておらず少々甘味がプラスされただけだった。苦いというのは巷で聞いていたが、甘いものもあるらしい。
「ウワッ男の精液知らず知らずのうちに飲まされるとか、どこのエロ同人?」
少し驚いた様子でカノが反応する。だが誰も嘔吐く事はなく、慣れているかどうでもいいと判断だろう。それとも、逆に好奇心を満たす為にいいスパイスになると思っているのだろう。
「誘拐して来た十三歳のガキの精液。精通してたしいいんじゃないかな? 調べたところによると精通って早かったら十歳ごろらしいね。だから次は十歳の子供を誘拐しようかなって。」
「…本当に、変なもの入れてないんですよね…? これ…。」
先ほどの少し物騒な話で、また何か混ぜられていないかと不安になってしまったレノが怪訝な瞳で机に並べられた料理達を見つめた。
「入れてないよ。カノにも監視されてたし。」
今日は入れていないという事は自信を持って言える。ずっとカノに調理の過程を監視されており、まともな料理しか作れなかったというのが本心だが。
「ノア様がお作りになられたご料理ならば、このクイ、いくらでも食べれますっ!」
クイの従順な犬感が半端ないが、それは置いておいて早く食べてしまいたい。お腹も減っている。
「まあ…食べるか。ご飯が冷めてしまう。」
「じゃー手を合わせて!」
わたしが号令をかける。そして、みなが手を合わせた姿を確認し、また号令をかけた。
「いっせーので!」
「いただきますっ!」
わたし達五人の声が家の中に響く。
このボタンは廃止予定です