二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
side クイ
今日はカノ様に許可され、スピンオフを書いてくれと頼み込んできた作家の所へと同行させていただく日だ。一応、という事で鞄の中にはマチェーテ、懐には拳銃を仕込んでおいた。昨日はカノ様おひとりで大丈夫だったのだから、安心した方がいいのかもしれないがどうしても疑心暗鬼になってしまう。ここは一応、大丈夫だと信じておこう。
「カノ様、こちらでしょうか?」
「そうだよ。今日は…あっちの家だからね。住所は教えてもらったから大丈夫だろう。まあ、あちらがワタシ達の家に来たいと言わなくてよかったよ。」
「家に招待していると、彼を殺してしまう羽目になっていただろう。」
カノ様が含みを持たせたような声色で微笑む。秘密を持った人間は逃がさない。ノア様にそうご命令されている。ボクには、ノア様のご命令に背くという事は到底出来ない。ノア様とカノ様とヒノ様がボクの中では全てなのだから。そして、ぴんぽーん!と高いチャイムの音が鳴る。すぐにひょっこりと相手の漫画家がボク様達の目の前に一人男が現れた。
「こんにちは、サファーさんと…付き添いの方でしょうか? 今日はよろしくお願いします。」
「…ボク様の名は…レナだ。」
咄嗟にそのレナという言葉が出ていた。まあ、ボク様のあだ名に近しい何かだろう。昔は親によく呼ばれていたのだが、今では誰にも呼ばれない。今ではもう呼ばれる必要性もない。もうあの言葉は過去に葬られたのだ。そしてあの村に置いてきた。過去はすでに思い出す必要性とないものとなってしまっている。
「レナさんか…よろしくお願いしますね。レナさん。」
実にその男の顔は爽やかだった。印象はいい。なんというか、とても好青年だ。だが外見如きでは騙されてはならない。こいつが何かをしでかしてしまうかもしれないのだ。ノア様とカノ様とヒノ様の邪魔になるような存在はいらない。警戒しておいて損はないだろう。
「…よし、一通り自己紹介は終わりましたね。今日話し合うところとはどこなんでしょうか? コンテイジョンさん。」
カノ様がそう言うと、コンテイジョンという男は爽やかに笑いながらカノ様とボク様を案内していく。今はマチェーテを取り出す必要もないが、なにか不審な行動を取った瞬間、殺せばいい。案内してきた場所は、ちゃんとしている綺麗な部屋だった。カノ様とボク様は日差しが差し込む窓際にちょこんと用意されている木製の椅子に座らせられる。机も木製で、最近作られたものなのかとても綺麗なものだ。
「お茶とクッキーを取ってきますね。少し待っていてください。」
そう男は笑いながら去っていった。なにか変なものが混ざっている、という事態は流石にないだろう。
「この前、ミルクをクッキーに入れたら味がまろやかになったんです。だからサファーさんにも、レナさんにも…味わってほしくて。」
そう笑いながらそっとテーブルに上品な香りがする紅茶が入れられたティーカップ、その紅茶が入れられたティーポット、恐らく手作りであろう木製の器に入れられたクッキーを置く。どちらも、色は変ではない。ならば、睡眠薬は入れられていないのだろう。じいっ、となにか怪しいものがないか、ティーポットとカノ様のティーカップ、ボク様のティーカップを観察してから、また男に視線をやる。男はその間に紅茶を注いでいく。
「ありがとうございます。」
カノ様が礼を言ったのと殆ど同時に、とりあえずボク様も頭を下げておく。にこにこと男はずっと爽やかに笑っており、怪しい雰囲気は感じられない。騙そうとは思っていないのかもしれないが、まだ警戒はしておこう。この食物と紅茶に何か入っていないのならば、少しは警戒を解いてもいい相手なのかもしれない。
「…いただきます。」
ボク様は手を合わせてからとりあえずカノ様も食されるクッキーを一つ。食感はさくさくとしており、普通に美味しい。味もまろやかで、甘すぎない。味も全て何の変哲もないクッキーだ。ならば、とボク様は次に紅茶に口を付ける。こちらも、何の変哲もない美味しい紅茶だ。これでカノ様の安全は保障出来たと言えるだろう。紅茶も、ボク様達の目の前で注ぐ場面を確認出来たのだから。
「クッキーのお味はどうですか? レナさん。お口には合いましたか?」
「ああ…中々美味しいなァ。」
「それはよかった! ありがとうございます!」
男は笑みを絶やさずにずっと薄笑いを浮かべている。そして、カノ様もクッキーを一口齧ってから、もぐもぐと咀嚼する。カノ様がお食事をする様も実にお美しい。
「…美味しいね。」
カノ様がそう告げる。カノ様のお口に合ってよかった。男もさらに笑顔が増して「レナさんも、サファーさんもお口に合ってよかったです!」とにこにこしている。
「コンテイジョンさん。今回はキャラクターの解釈を一致させたいのですが…。」
カノ様はこいつに爽やかな笑顔を向けながらまた話し始める。ボク様はずっとこいつが不審な行動をしないかを見張っていた。会話を見守っているだけだ。そしていつでもカノ様をお守り出来るよう、ボク様は机の下で拳銃の引き金に指をかけていた。
・・・
話が終わり、もう帰路につかなければいけない。だが、少々あの男に訊きたい事があるのだ。もうすでにカノ様には報告している。快く受け入れてくれたとはいえ、カノ様をお待たせするわけにはいかない。ちょいちょい、とボク様は男に手招きをしこちらに寄せた。
「なんですか?」
ボク様はすぐにこいつの腹を蹴って地面に押し付ける。男はうめき声一つ上げずに崩れ落ちて行った。気色の悪い声を聞かずに済んだ。野郎のうめき声なんて見苦しい他ない。
「…[太字]ラン[/太字]、キサマだったのか。」
ボク様はこいつの首にマチェーテを構える。付き添いという名目ではあるが、ボク様としてはカノ様の護衛としてついてきているのだ。こんな変態だが、カノ様が気に入っているならば殺さなくてもいいだろう。だが、一応尋問する必要がありそうだ。なんのつもりなのかを。もし邪悪な心だとすれば、カノ様にご報告しボク様がこいつを始末しなければならない。
「キサマはなんの気でカノ様にスピンオフを頼み込んだんだよォ? その理由を教えろ。まともな理由じゃねえなら…分かるよなァ?」
嘘をつけばこいつの腕を切り落としてやろう。そんな気で挑んだのだが、ランはずっと平然としている。こんな飄々とした態度でこちらを見つめ詰めてくる野郎はそうそういない。この前もそうだったが、こいつはそこら辺の人間よりも肝が据わっている。中々に面白い反応をするが、だがお三方の邪魔になるならば見逃してはおけないだろう。そして、こいつは声色一つ変えず話し始めた。
「なぜかって? 単純だよ。クイくん…彼は作家としてだれよりも優れているからだよ。…クイくんも、きっと共感してくれるよね? 作家として最高峰の彼に、自分の漫画のスピンオフを書いてもらえる、という事実だけが今はあるんだ。この提案には、彼も快諾してくれたよ。それに…今のオレは『ラン・スカム』じゃなくて『ハナ・コンテイジョン』。彼も今は『カノ・マインド』じゃないんだよ。今の彼は『アイノ・サファー』。そしてクイくんはただの『付添人』でしょ? 誰も彼も今は、ただの作家同士だという事なんだよ。」
こいつの話は意外にも筋が通っている気がする。ボク様はそれで納得出来た。こいつがストーキング行為をしている事に関しては、未だ許しておらずこいつに関しても、懐疑心の方が勝る。こんな野郎とカノ様が二人だけで話すという行為はまだ許可出来ない。
「…フン。及第点だなァ。だが…変な行為を少しでもしてみろよォ。一瞬でキサマを蹴り殺すからなァ。」
ボク様はマチェーテをおろし、こいつを放置したまま去っていった。威風堂々とし、脅されているというのにも少しだって取り乱さない姿勢、もしかすればノア様とカノ様とヒノ様好みかもしれない。あんなに面白い人間など、早々いないだろう。通りで、ノア様とカノ様とヒノ様が見逃すわけだ。
「………職場に私情は持ち込まない。ボク様もまだ色々と幼かったようだなァ。」
反省しつつ、待たせてしまっているカノ様の元へ急いだ。今回はボク様の失態として、この恥ずべき行為をしたとして反省する必要がある。カノ様を待たせてしまったのだから。ノア様とカノ様とヒノ様を待たせるという事は本当は命をもって償いたい。だが、ノア様とカノ様とヒノ様はお許しいただけるのだ。なによりも心の広いノア様とカノ様とヒノ様に感謝しなければ。
「カノ様ッ!! 今回はご無礼を働いた事をお詫び申し上げますッ!!」
ボクはカノ様を目の前で土下座する。カノ様は「まあまあ。」とボクをなだめる。カノ様を待たせてしまったというのに、カノ様は許して下さった。
「大丈夫だよ。クイ。」
なんとお優しいのだろうか。カノ様はそれだけおっしゃるとすたすたとボクより先に歩かれていった。やはりノア様とカノ様とヒノ様は何者よりもお優しいのだ。ボクも、カノ様に置いて行かれぬよう足を運ばせた。
今日はカノ様に許可され、スピンオフを書いてくれと頼み込んできた作家の所へと同行させていただく日だ。一応、という事で鞄の中にはマチェーテ、懐には拳銃を仕込んでおいた。昨日はカノ様おひとりで大丈夫だったのだから、安心した方がいいのかもしれないがどうしても疑心暗鬼になってしまう。ここは一応、大丈夫だと信じておこう。
「カノ様、こちらでしょうか?」
「そうだよ。今日は…あっちの家だからね。住所は教えてもらったから大丈夫だろう。まあ、あちらがワタシ達の家に来たいと言わなくてよかったよ。」
「家に招待していると、彼を殺してしまう羽目になっていただろう。」
カノ様が含みを持たせたような声色で微笑む。秘密を持った人間は逃がさない。ノア様にそうご命令されている。ボクには、ノア様のご命令に背くという事は到底出来ない。ノア様とカノ様とヒノ様がボクの中では全てなのだから。そして、ぴんぽーん!と高いチャイムの音が鳴る。すぐにひょっこりと相手の漫画家がボク様達の目の前に一人男が現れた。
「こんにちは、サファーさんと…付き添いの方でしょうか? 今日はよろしくお願いします。」
「…ボク様の名は…レナだ。」
咄嗟にそのレナという言葉が出ていた。まあ、ボク様のあだ名に近しい何かだろう。昔は親によく呼ばれていたのだが、今では誰にも呼ばれない。今ではもう呼ばれる必要性もない。もうあの言葉は過去に葬られたのだ。そしてあの村に置いてきた。過去はすでに思い出す必要性とないものとなってしまっている。
「レナさんか…よろしくお願いしますね。レナさん。」
実にその男の顔は爽やかだった。印象はいい。なんというか、とても好青年だ。だが外見如きでは騙されてはならない。こいつが何かをしでかしてしまうかもしれないのだ。ノア様とカノ様とヒノ様の邪魔になるような存在はいらない。警戒しておいて損はないだろう。
「…よし、一通り自己紹介は終わりましたね。今日話し合うところとはどこなんでしょうか? コンテイジョンさん。」
カノ様がそう言うと、コンテイジョンという男は爽やかに笑いながらカノ様とボク様を案内していく。今はマチェーテを取り出す必要もないが、なにか不審な行動を取った瞬間、殺せばいい。案内してきた場所は、ちゃんとしている綺麗な部屋だった。カノ様とボク様は日差しが差し込む窓際にちょこんと用意されている木製の椅子に座らせられる。机も木製で、最近作られたものなのかとても綺麗なものだ。
「お茶とクッキーを取ってきますね。少し待っていてください。」
そう男は笑いながら去っていった。なにか変なものが混ざっている、という事態は流石にないだろう。
「この前、ミルクをクッキーに入れたら味がまろやかになったんです。だからサファーさんにも、レナさんにも…味わってほしくて。」
そう笑いながらそっとテーブルに上品な香りがする紅茶が入れられたティーカップ、その紅茶が入れられたティーポット、恐らく手作りであろう木製の器に入れられたクッキーを置く。どちらも、色は変ではない。ならば、睡眠薬は入れられていないのだろう。じいっ、となにか怪しいものがないか、ティーポットとカノ様のティーカップ、ボク様のティーカップを観察してから、また男に視線をやる。男はその間に紅茶を注いでいく。
「ありがとうございます。」
カノ様が礼を言ったのと殆ど同時に、とりあえずボク様も頭を下げておく。にこにこと男はずっと爽やかに笑っており、怪しい雰囲気は感じられない。騙そうとは思っていないのかもしれないが、まだ警戒はしておこう。この食物と紅茶に何か入っていないのならば、少しは警戒を解いてもいい相手なのかもしれない。
「…いただきます。」
ボク様は手を合わせてからとりあえずカノ様も食されるクッキーを一つ。食感はさくさくとしており、普通に美味しい。味もまろやかで、甘すぎない。味も全て何の変哲もないクッキーだ。ならば、とボク様は次に紅茶に口を付ける。こちらも、何の変哲もない美味しい紅茶だ。これでカノ様の安全は保障出来たと言えるだろう。紅茶も、ボク様達の目の前で注ぐ場面を確認出来たのだから。
「クッキーのお味はどうですか? レナさん。お口には合いましたか?」
「ああ…中々美味しいなァ。」
「それはよかった! ありがとうございます!」
男は笑みを絶やさずにずっと薄笑いを浮かべている。そして、カノ様もクッキーを一口齧ってから、もぐもぐと咀嚼する。カノ様がお食事をする様も実にお美しい。
「…美味しいね。」
カノ様がそう告げる。カノ様のお口に合ってよかった。男もさらに笑顔が増して「レナさんも、サファーさんもお口に合ってよかったです!」とにこにこしている。
「コンテイジョンさん。今回はキャラクターの解釈を一致させたいのですが…。」
カノ様はこいつに爽やかな笑顔を向けながらまた話し始める。ボク様はずっとこいつが不審な行動をしないかを見張っていた。会話を見守っているだけだ。そしていつでもカノ様をお守り出来るよう、ボク様は机の下で拳銃の引き金に指をかけていた。
・・・
話が終わり、もう帰路につかなければいけない。だが、少々あの男に訊きたい事があるのだ。もうすでにカノ様には報告している。快く受け入れてくれたとはいえ、カノ様をお待たせするわけにはいかない。ちょいちょい、とボク様は男に手招きをしこちらに寄せた。
「なんですか?」
ボク様はすぐにこいつの腹を蹴って地面に押し付ける。男はうめき声一つ上げずに崩れ落ちて行った。気色の悪い声を聞かずに済んだ。野郎のうめき声なんて見苦しい他ない。
「…[太字]ラン[/太字]、キサマだったのか。」
ボク様はこいつの首にマチェーテを構える。付き添いという名目ではあるが、ボク様としてはカノ様の護衛としてついてきているのだ。こんな変態だが、カノ様が気に入っているならば殺さなくてもいいだろう。だが、一応尋問する必要がありそうだ。なんのつもりなのかを。もし邪悪な心だとすれば、カノ様にご報告しボク様がこいつを始末しなければならない。
「キサマはなんの気でカノ様にスピンオフを頼み込んだんだよォ? その理由を教えろ。まともな理由じゃねえなら…分かるよなァ?」
嘘をつけばこいつの腕を切り落としてやろう。そんな気で挑んだのだが、ランはずっと平然としている。こんな飄々とした態度でこちらを見つめ詰めてくる野郎はそうそういない。この前もそうだったが、こいつはそこら辺の人間よりも肝が据わっている。中々に面白い反応をするが、だがお三方の邪魔になるならば見逃してはおけないだろう。そして、こいつは声色一つ変えず話し始めた。
「なぜかって? 単純だよ。クイくん…彼は作家としてだれよりも優れているからだよ。…クイくんも、きっと共感してくれるよね? 作家として最高峰の彼に、自分の漫画のスピンオフを書いてもらえる、という事実だけが今はあるんだ。この提案には、彼も快諾してくれたよ。それに…今のオレは『ラン・スカム』じゃなくて『ハナ・コンテイジョン』。彼も今は『カノ・マインド』じゃないんだよ。今の彼は『アイノ・サファー』。そしてクイくんはただの『付添人』でしょ? 誰も彼も今は、ただの作家同士だという事なんだよ。」
こいつの話は意外にも筋が通っている気がする。ボク様はそれで納得出来た。こいつがストーキング行為をしている事に関しては、未だ許しておらずこいつに関しても、懐疑心の方が勝る。こんな野郎とカノ様が二人だけで話すという行為はまだ許可出来ない。
「…フン。及第点だなァ。だが…変な行為を少しでもしてみろよォ。一瞬でキサマを蹴り殺すからなァ。」
ボク様はマチェーテをおろし、こいつを放置したまま去っていった。威風堂々とし、脅されているというのにも少しだって取り乱さない姿勢、もしかすればノア様とカノ様とヒノ様好みかもしれない。あんなに面白い人間など、早々いないだろう。通りで、ノア様とカノ様とヒノ様が見逃すわけだ。
「………職場に私情は持ち込まない。ボク様もまだ色々と幼かったようだなァ。」
反省しつつ、待たせてしまっているカノ様の元へ急いだ。今回はボク様の失態として、この恥ずべき行為をしたとして反省する必要がある。カノ様を待たせてしまったのだから。ノア様とカノ様とヒノ様を待たせるという事は本当は命をもって償いたい。だが、ノア様とカノ様とヒノ様はお許しいただけるのだ。なによりも心の広いノア様とカノ様とヒノ様に感謝しなければ。
「カノ様ッ!! 今回はご無礼を働いた事をお詫び申し上げますッ!!」
ボクはカノ様を目の前で土下座する。カノ様は「まあまあ。」とボクをなだめる。カノ様を待たせてしまったというのに、カノ様は許して下さった。
「大丈夫だよ。クイ。」
なんとお優しいのだろうか。カノ様はそれだけおっしゃるとすたすたとボクより先に歩かれていった。やはりノア様とカノ様とヒノ様は何者よりもお優しいのだ。ボクも、カノ様に置いて行かれぬよう足を運ばせた。