二次創作
イカれたメンバーを紹介するぜ!
side ヒノ
私には、弟が二人いる。明日はクリスマス。全国のお父さんとお母さんは、我が子にプレゼントをあげようとするらしいが、私達の親はノアとカノが手にかけてしまっている。なんやかんやでそれが初めての殺人だったのかもしれない。そこから私はあいつらを軽蔑していたのだが、今になっては違う。今は逆に正しい事のように感じている。思い出していると、いつのまにかどうでもいい話になってしまっていた。そもそも我が家では、『自分の事は自分でやれ。』というスタイルだ。あいつらが欲しいものなど知ったこっちゃあない。自分で手に入れればいいのだ。そうだというのに、こんな無駄に他人に金をかける事なんてしたくない。クリスマスだからと言って、自分より年下の野郎如きにへーこらしたくない。もちろんこれは目上の人間でもそうだが、ご機嫌取りのような事をするのを私達は異常なほど嫌うのだ。
「…わざわざあいつら如きに金をかける義理はないな。」
私はそう思いながら、重い瞼を閉じる。
・・・
今日はクリスマス。なぜだか、雪が降っている。こんな日に雪が降るとはとても乙というものじゃないか。どうせならこの景色を絵に収めておこうではないか。カノも小説の筆が乗る、とでも言いながら夢中になり小説を書いているのだろう。
「…ふふ、今回は純粋な景色を描いてみようか…想像するだけでも興奮してくるよ。」
私もインスピレーションが沸き、部屋の中にある筆を執る。
「…血液を取りに行くか? いや…今日は美しさを記念し、血液など混ぜ込まないようにしておこうかな…。」
絵具を取り出し、描き始めた。今回は血液を使わなくともいいだろう。こんなに綺麗な景色なのだから、無駄に血液を入れてしまうと白色が赤みがかってしまう。美しくならない要因を入れる事は、この私の美学に反する。
「こんなに美しい景色は久しぶりに見たよ…ああっ。このインスピレーションを今すぐに絵に反映しなくては! 頭の中から抜け落ちるという事は時間の問題だからなァッ!!」
私は急いで絵を描き始めた。
・・・
「よし…書き上げる事が出来たぞッ!!」
夜に映える雪、とても素敵なものじゃないか。うん、実に私好みの絵画だ。この瞳に映る景色も幻想的で、ずっと眺めていたいぐらい。きっと暫くは誰も降りてこないのだろう。それならば、暇な時間が増えてしまう。何をしてしまえばいいのだろうか。
「…そうだ、この雪景色を赤に染めてやろう。ブラッディクリスマスだ。」
私は収納棚に突っ込んでおいた鎖鎌を取り出し、そしていざとなった時用に、リボルバーを懐に忍ばせる。大丈夫だとは思うが、一応仕込んでおかなければ。
「うーん…やはり、人を殺すにはこいつが一番ちょうどいいね。」
鎖鎌を取り出しながら見つめる。昔使っていた感覚を思い出す。クイほど昔の相棒を使ってはいないが、今でも手になじんでいる。こいつを持つとやはりノスタルジックな想いが心に広がった。
「…昔のように殺戮を繰り広げるのも乙、というものじゃないか! こんな聖なる日に!!」
ついつい昂ってしまう。だが、こんな素晴らしいロケーションなどないのだ。楽しむほかないだろう。
「目立たないように…だが…人は殺さなければ…フフ…何人始末してあげようか。十人は逝かせてあげたいね…フフッ。」
笑みがこぼれ、ついつ独り言が大きくなってしまう。とてつもなく幸せだ。この手でブラッディクリスマスを実現させた暁には、この有様を絵画に収めようではないか。考えるだけで心躍る。ブラッディクリスマスを収めた絵画ならば、始末してあげた人間の血を扱い絵具として使ってやろう。アイディアが大量に浮かんでくる。このアイディアを忘れてしまわないうちに、さっさと人間どもを殺してしまおう。
「じゃあ、いってきまーす。」
誰もが芸術に没頭している為、返事は返ってこない。dが、今はそれが問題じゃないのだ。万が一の為、先ほどのアイディアをメモした。恐らく、これで大丈夫だろう。何処の人間を殺してしまおうかと私は街を彷徨った。街灯などを見つめているとクイは毎度の如くゲームのハードを壊す事を思い出す。あいつは馬鹿力すぎていつも真っ二つに折ってしまうのだ。そのたびレノに叱られているので、ちょっとレノが不機嫌になってしまいクイに強く当たってしまった結果、少々クイが落ち込むという事件が発生した事もある。自分の舎弟に嫌われたくないのだろう。きっと。それにクイは機械音痴で、パソコンをよく割る。ついでに家の壁もだ。この前ついつい力加減を間違え机を割った時は驚いたなあ、とノスタルジックに浸る。そして、誰をどう殺そうかと迷っていると、どうせなら村一つを滅ぼしてしまおうという考えになる。クイも一昔しているのだ。一つ滅ぼしたぐらいならばちょっとメディアを騒がせるぐらいになるだろう、という事で私は公共機関を乗り継ぎとある集落へとやってきた。雪が少しだが積もっており、あまり雪の降らない地帯に家を構えている私からすればこんな一面の雪景色は基本的には見れないのだ。
「綺麗だな…。」
おっと危ない。ついつい筆を執ってしまいそうだ。ここに来た理由はただの殺戮。絵画を描くならばブラッディクリスマスにしてからだろう。それに、今はペンや紙なども家に置いてきている。描けるのは帰路についてからだ。
「さて…私が殺ったという証拠は残さないようにしなければな…尻尾は掴まれぬように。」
私はそう呟き、鎖鎌を持ちながら小さな集落で人を殺しまわる。寝込みを襲った為か、あまり悲鳴をあげる事はなかった。クイもこんな感覚だったのだろうか。いや、クイは激昂していたそれに比べ私は冷静で何も感じていない。ただただ簡単な任務をこなすような感覚だ。今ふと思うと、あいつが激情しやすいのは何から来ているのだろうか。単に私達に対する忠誠心が高すぎてああなっているのか、環境のせいなのか遺伝のせいなのか。どれになろうが、クイをあんなに面白い人間だという事に変わりはないのだから。
「…もういないのだろうか。この集落は…。」
数十人殺したところで、もう誰もいない事に気が付いた。村中は血まみれで静寂だけが残っている。そして、私の手にはぼろぼろになった彼が握られている。彼はとても私好みの男性で気に入ったのだ。だが、公共機関でここまで来た為彼とは一緒にいられない。彼の手を見つめながら、私は言う。
「君はとてもかわいらしく美しいね…だけれど…。」
「しゃべらない君はもっとかわいいよ。」
私は気に入った彼の綺麗な手の甲にキスをし、彼と別れを告げる事にした。彼の名前を聴きそびれたが、とても私好みの人間だった事は確かだ。彼の一部を持ち歩いてしまおうか。鞄に入るのかは分からないが、彼をばらばらにして持って帰ろう。それをホルマリン漬けにしてしまえば完璧だ。
「フフ…腐り落ちるまでずっと一緒にいようではないか。名前は知らないが…とても、君は素敵な人間さ。」
私はそう彼に話しかけ、他愛もない会話を彼と共に繰り広げながらあれを持ち運びやすいようにしている。彼と聖なる日に結ばれるだなんてどんなにロマンチックなのだろうか。私は夢中になり彼と会話を楽しむ。
「ふふっ、君もそうなのかい? 奇遇だね!」
彼と私は気が合う。話していてとても楽しい。運命の人だったのではないかと思ってしまうほどだ。彼と一緒にいたい。ならば、ホルマリン漬けにしてしまうのが最適かもしれない。彼をホルマリン漬けにしてしまうというのはとても悲しいが、それは同時に彼の魅力が引き立てられるという事。
「ねえ、お名前を教えてくれないかい? 聴きそびれてしまってね…ああ、そんなに恥ずかしがらないでくれ。ふふ。」
「ああ、ところで…少し乱暴な事を私はしてしまうが…いいかい? ああ、少し…君と愛を育みたいんだ…もちろん、嫌だというなら否定はしないさ。いいかい?……………うん、君ならそう言ってくれると信じていたよ! ふふ、家に着くまでが楽しみだね! あ、行為が終わった後は…君をずっと綺麗に保つ為にやりたい事があるんだ。楽しみにしておいておくれ。」
本当に家に着くまでが楽しみだ。まさかこんなところで彼氏が出来るとは想像すらしていなかった。こんなに素晴らしい彼氏と巡り合えるだなんて、私はどんなに幸せなのだろうか。彼と手を繋ぎながら、私は薄暗い田舎道を歩いた。
・・・
「ああ…君はとても美しいよ…デート、いっぱいしようね。」
彼と楽しんだ後、彼をホルマリン漬けにしてあげた。彼はばらばらなので、それぞれ別の水槽に入れてあげた。これでいつでも一緒にいられる。他の彼氏や彼女達に嫉妬されてしまう。だが、彼彼女らも平等に愛してあげなければ。誰もがとてつもなく美しいのだから。
・・・
そしてよる。ただひたすらに沸いてくるインスピレーションを消費する為絵画を描いていると、いつのまにかお昼ご飯も朝ご飯も食べずに作業していた。そろそろ晩ご飯の時間帯だろう。絵画を描き上げ私はリビングへと脚を運んだ。
「ご飯だよ。美味しく食べようか。」
いつものご飯が食卓の上に並んでいる。今日もきっと人体から採ってきた何かが入っているのだろう。あれはいつも能動的に料理に色々をぶち込んでしまう。別に美味しく頂けるのだからいいのだが。それよりも、いつもは眼に入らないような毒々しいピンク色のきのこが皿の上に乗っている。気になり、質問してみるとノアは平然と答えた。
「そこらへんから採ってきたきのこ。種類は分からない。」
「殺す気なのかい?」
こいつはもう殺す気でしかないだろう。自分と一緒にシェアハウスしている相手を殺しかねないという行為。少し気に入った。こんなにも被害を考えない姿勢、逆に面白いではないか。やはりこいつはこの私の弟。これぐらいやらなくてはきっと飽きてしまっている所だろう。
「まあ…死んでも一興かもしれないね。ロシアンルーレット風にじゃんけんに負けた人がこのきのこを食べないか?」
私がそう提案すると、レノはいつもより眉毛を下げ「大人しく捨てておいたほうが…。」ときのこを見つめる。
「死ぬかもしれないが…それは自己責任だ。勝手に死んでればいいんだ。」
カノがそう笑う。だが、ノアがきのこが乗っている皿を回収していった。
「まあ、冗談だがな。」
ノアが真顔で生のきのこを手袋越しに掴み捨ててしまった。クイとレノの表情が少し柔らかくなる。まあこんな私達が死んでしまうようなクリスマスにはしたかない。ブラッディクリスマスにはしたが。
「ははっ、こんなしょうもない理由で死にたくないだろう。みな、プライドが許さないはずだよ。」
けらけらと笑いながらカノは手袋を捨てている。まあプライドが高いのは確かだ。全員、他人にへーこらして媚びを売るのは嫌い。好きでもない野郎にへーこらするぐらいならば舌を噛み切って死んだ方がマシ。
「まあ…そうだな。わたしもこんなしょうもない事で死ぬぐらいならば首を吊って死んだ方が何倍もしたいね。」
「私もだね。なんなら自分で舌をかみ切るぐらいは出来るよ。」
「…このクイも同意見でございます。」
「まあ…僕もです。屈辱的な死は…なによりも避けたい事ですし。」
やはり全員同意見。他人に馬鹿にされるという事が最も嫌いでもある私達は酷似しているのだ。逆に、自分と同じような人間が多い為時をここで過ごすにはとてつもなく快適な場所だろう。そして、レノがハッとしたように呟く。
「いまふと思ったんですが…。」
「…クリスマスだからと言って、やる事はないんですよね。僕ら。」
レノのその一言で、私達のクリスマスは終わった。
私には、弟が二人いる。明日はクリスマス。全国のお父さんとお母さんは、我が子にプレゼントをあげようとするらしいが、私達の親はノアとカノが手にかけてしまっている。なんやかんやでそれが初めての殺人だったのかもしれない。そこから私はあいつらを軽蔑していたのだが、今になっては違う。今は逆に正しい事のように感じている。思い出していると、いつのまにかどうでもいい話になってしまっていた。そもそも我が家では、『自分の事は自分でやれ。』というスタイルだ。あいつらが欲しいものなど知ったこっちゃあない。自分で手に入れればいいのだ。そうだというのに、こんな無駄に他人に金をかける事なんてしたくない。クリスマスだからと言って、自分より年下の野郎如きにへーこらしたくない。もちろんこれは目上の人間でもそうだが、ご機嫌取りのような事をするのを私達は異常なほど嫌うのだ。
「…わざわざあいつら如きに金をかける義理はないな。」
私はそう思いながら、重い瞼を閉じる。
・・・
今日はクリスマス。なぜだか、雪が降っている。こんな日に雪が降るとはとても乙というものじゃないか。どうせならこの景色を絵に収めておこうではないか。カノも小説の筆が乗る、とでも言いながら夢中になり小説を書いているのだろう。
「…ふふ、今回は純粋な景色を描いてみようか…想像するだけでも興奮してくるよ。」
私もインスピレーションが沸き、部屋の中にある筆を執る。
「…血液を取りに行くか? いや…今日は美しさを記念し、血液など混ぜ込まないようにしておこうかな…。」
絵具を取り出し、描き始めた。今回は血液を使わなくともいいだろう。こんなに綺麗な景色なのだから、無駄に血液を入れてしまうと白色が赤みがかってしまう。美しくならない要因を入れる事は、この私の美学に反する。
「こんなに美しい景色は久しぶりに見たよ…ああっ。このインスピレーションを今すぐに絵に反映しなくては! 頭の中から抜け落ちるという事は時間の問題だからなァッ!!」
私は急いで絵を描き始めた。
・・・
「よし…書き上げる事が出来たぞッ!!」
夜に映える雪、とても素敵なものじゃないか。うん、実に私好みの絵画だ。この瞳に映る景色も幻想的で、ずっと眺めていたいぐらい。きっと暫くは誰も降りてこないのだろう。それならば、暇な時間が増えてしまう。何をしてしまえばいいのだろうか。
「…そうだ、この雪景色を赤に染めてやろう。ブラッディクリスマスだ。」
私は収納棚に突っ込んでおいた鎖鎌を取り出し、そしていざとなった時用に、リボルバーを懐に忍ばせる。大丈夫だとは思うが、一応仕込んでおかなければ。
「うーん…やはり、人を殺すにはこいつが一番ちょうどいいね。」
鎖鎌を取り出しながら見つめる。昔使っていた感覚を思い出す。クイほど昔の相棒を使ってはいないが、今でも手になじんでいる。こいつを持つとやはりノスタルジックな想いが心に広がった。
「…昔のように殺戮を繰り広げるのも乙、というものじゃないか! こんな聖なる日に!!」
ついつい昂ってしまう。だが、こんな素晴らしいロケーションなどないのだ。楽しむほかないだろう。
「目立たないように…だが…人は殺さなければ…フフ…何人始末してあげようか。十人は逝かせてあげたいね…フフッ。」
笑みがこぼれ、ついつ独り言が大きくなってしまう。とてつもなく幸せだ。この手でブラッディクリスマスを実現させた暁には、この有様を絵画に収めようではないか。考えるだけで心躍る。ブラッディクリスマスを収めた絵画ならば、始末してあげた人間の血を扱い絵具として使ってやろう。アイディアが大量に浮かんでくる。このアイディアを忘れてしまわないうちに、さっさと人間どもを殺してしまおう。
「じゃあ、いってきまーす。」
誰もが芸術に没頭している為、返事は返ってこない。dが、今はそれが問題じゃないのだ。万が一の為、先ほどのアイディアをメモした。恐らく、これで大丈夫だろう。何処の人間を殺してしまおうかと私は街を彷徨った。街灯などを見つめているとクイは毎度の如くゲームのハードを壊す事を思い出す。あいつは馬鹿力すぎていつも真っ二つに折ってしまうのだ。そのたびレノに叱られているので、ちょっとレノが不機嫌になってしまいクイに強く当たってしまった結果、少々クイが落ち込むという事件が発生した事もある。自分の舎弟に嫌われたくないのだろう。きっと。それにクイは機械音痴で、パソコンをよく割る。ついでに家の壁もだ。この前ついつい力加減を間違え机を割った時は驚いたなあ、とノスタルジックに浸る。そして、誰をどう殺そうかと迷っていると、どうせなら村一つを滅ぼしてしまおうという考えになる。クイも一昔しているのだ。一つ滅ぼしたぐらいならばちょっとメディアを騒がせるぐらいになるだろう、という事で私は公共機関を乗り継ぎとある集落へとやってきた。雪が少しだが積もっており、あまり雪の降らない地帯に家を構えている私からすればこんな一面の雪景色は基本的には見れないのだ。
「綺麗だな…。」
おっと危ない。ついつい筆を執ってしまいそうだ。ここに来た理由はただの殺戮。絵画を描くならばブラッディクリスマスにしてからだろう。それに、今はペンや紙なども家に置いてきている。描けるのは帰路についてからだ。
「さて…私が殺ったという証拠は残さないようにしなければな…尻尾は掴まれぬように。」
私はそう呟き、鎖鎌を持ちながら小さな集落で人を殺しまわる。寝込みを襲った為か、あまり悲鳴をあげる事はなかった。クイもこんな感覚だったのだろうか。いや、クイは激昂していたそれに比べ私は冷静で何も感じていない。ただただ簡単な任務をこなすような感覚だ。今ふと思うと、あいつが激情しやすいのは何から来ているのだろうか。単に私達に対する忠誠心が高すぎてああなっているのか、環境のせいなのか遺伝のせいなのか。どれになろうが、クイをあんなに面白い人間だという事に変わりはないのだから。
「…もういないのだろうか。この集落は…。」
数十人殺したところで、もう誰もいない事に気が付いた。村中は血まみれで静寂だけが残っている。そして、私の手にはぼろぼろになった彼が握られている。彼はとても私好みの男性で気に入ったのだ。だが、公共機関でここまで来た為彼とは一緒にいられない。彼の手を見つめながら、私は言う。
「君はとてもかわいらしく美しいね…だけれど…。」
「しゃべらない君はもっとかわいいよ。」
私は気に入った彼の綺麗な手の甲にキスをし、彼と別れを告げる事にした。彼の名前を聴きそびれたが、とても私好みの人間だった事は確かだ。彼の一部を持ち歩いてしまおうか。鞄に入るのかは分からないが、彼をばらばらにして持って帰ろう。それをホルマリン漬けにしてしまえば完璧だ。
「フフ…腐り落ちるまでずっと一緒にいようではないか。名前は知らないが…とても、君は素敵な人間さ。」
私はそう彼に話しかけ、他愛もない会話を彼と共に繰り広げながらあれを持ち運びやすいようにしている。彼と聖なる日に結ばれるだなんてどんなにロマンチックなのだろうか。私は夢中になり彼と会話を楽しむ。
「ふふっ、君もそうなのかい? 奇遇だね!」
彼と私は気が合う。話していてとても楽しい。運命の人だったのではないかと思ってしまうほどだ。彼と一緒にいたい。ならば、ホルマリン漬けにしてしまうのが最適かもしれない。彼をホルマリン漬けにしてしまうというのはとても悲しいが、それは同時に彼の魅力が引き立てられるという事。
「ねえ、お名前を教えてくれないかい? 聴きそびれてしまってね…ああ、そんなに恥ずかしがらないでくれ。ふふ。」
「ああ、ところで…少し乱暴な事を私はしてしまうが…いいかい? ああ、少し…君と愛を育みたいんだ…もちろん、嫌だというなら否定はしないさ。いいかい?……………うん、君ならそう言ってくれると信じていたよ! ふふ、家に着くまでが楽しみだね! あ、行為が終わった後は…君をずっと綺麗に保つ為にやりたい事があるんだ。楽しみにしておいておくれ。」
本当に家に着くまでが楽しみだ。まさかこんなところで彼氏が出来るとは想像すらしていなかった。こんなに素晴らしい彼氏と巡り合えるだなんて、私はどんなに幸せなのだろうか。彼と手を繋ぎながら、私は薄暗い田舎道を歩いた。
・・・
「ああ…君はとても美しいよ…デート、いっぱいしようね。」
彼と楽しんだ後、彼をホルマリン漬けにしてあげた。彼はばらばらなので、それぞれ別の水槽に入れてあげた。これでいつでも一緒にいられる。他の彼氏や彼女達に嫉妬されてしまう。だが、彼彼女らも平等に愛してあげなければ。誰もがとてつもなく美しいのだから。
・・・
そしてよる。ただひたすらに沸いてくるインスピレーションを消費する為絵画を描いていると、いつのまにかお昼ご飯も朝ご飯も食べずに作業していた。そろそろ晩ご飯の時間帯だろう。絵画を描き上げ私はリビングへと脚を運んだ。
「ご飯だよ。美味しく食べようか。」
いつものご飯が食卓の上に並んでいる。今日もきっと人体から採ってきた何かが入っているのだろう。あれはいつも能動的に料理に色々をぶち込んでしまう。別に美味しく頂けるのだからいいのだが。それよりも、いつもは眼に入らないような毒々しいピンク色のきのこが皿の上に乗っている。気になり、質問してみるとノアは平然と答えた。
「そこらへんから採ってきたきのこ。種類は分からない。」
「殺す気なのかい?」
こいつはもう殺す気でしかないだろう。自分と一緒にシェアハウスしている相手を殺しかねないという行為。少し気に入った。こんなにも被害を考えない姿勢、逆に面白いではないか。やはりこいつはこの私の弟。これぐらいやらなくてはきっと飽きてしまっている所だろう。
「まあ…死んでも一興かもしれないね。ロシアンルーレット風にじゃんけんに負けた人がこのきのこを食べないか?」
私がそう提案すると、レノはいつもより眉毛を下げ「大人しく捨てておいたほうが…。」ときのこを見つめる。
「死ぬかもしれないが…それは自己責任だ。勝手に死んでればいいんだ。」
カノがそう笑う。だが、ノアがきのこが乗っている皿を回収していった。
「まあ、冗談だがな。」
ノアが真顔で生のきのこを手袋越しに掴み捨ててしまった。クイとレノの表情が少し柔らかくなる。まあこんな私達が死んでしまうようなクリスマスにはしたかない。ブラッディクリスマスにはしたが。
「ははっ、こんなしょうもない理由で死にたくないだろう。みな、プライドが許さないはずだよ。」
けらけらと笑いながらカノは手袋を捨てている。まあプライドが高いのは確かだ。全員、他人にへーこらして媚びを売るのは嫌い。好きでもない野郎にへーこらするぐらいならば舌を噛み切って死んだ方がマシ。
「まあ…そうだな。わたしもこんなしょうもない事で死ぬぐらいならば首を吊って死んだ方が何倍もしたいね。」
「私もだね。なんなら自分で舌をかみ切るぐらいは出来るよ。」
「…このクイも同意見でございます。」
「まあ…僕もです。屈辱的な死は…なによりも避けたい事ですし。」
やはり全員同意見。他人に馬鹿にされるという事が最も嫌いでもある私達は酷似しているのだ。逆に、自分と同じような人間が多い為時をここで過ごすにはとてつもなく快適な場所だろう。そして、レノがハッとしたように呟く。
「いまふと思ったんですが…。」
「…クリスマスだからと言って、やる事はないんですよね。僕ら。」
レノのその一言で、私達のクリスマスは終わった。