大嫌いなはずだった。《前編》《後編》
土曜日になった。あの日から二口とは必要最低限しか喋ってなかった。
なんか、今二口と喋ったら何かが起こる気がして......
えぇ、えっと!二口のことは置いといて!
『よしっ....行こう』
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今日は少しだけおしゃれをしてみた。別に制服でも良かったんだけど、休日だからたまにはいいかなって。
私の家から学校は近いからか、すぐに着いた。
体育館へ行くともうすぐ始まりそうで、上のところへ登った。
『あっ.....』
目があって、すぐに逸らされた。でも
ユニフォーム姿の、二口......スタメン、ちゃんと取ったんだ.....
「試合開始!ピーっ」
......
ドゴコォン!
「しゃあっ!」
「二口ナイスー!」
....なんか二口がカッコよく見えんの悔しい
ブロックも、スパイクも、ちゃんと、真剣にやってる。
試合開始まではちょくちょく目が合ってたのに今は目が合わない。
でもなぜか嬉しい。なんか、チャラチャラしてなくて、ちゃんと真っ直ぐ勝とうとしてるんだって思って
[漢字]二口[/漢字][ふりがな]あなた[/ふりがな]の真っ直ぐが大嫌いなはずだったのにな
「ピピーッ!」
「しゃあっ!!」
「勝った〜!」
「二口大活躍じゃねーか!ムカつくなぁ!!」
あっ、勝ったんだって思った頃には二口と目が合ってて
「(か っ た ぞ)」
笑顔でピースを向けながら口パクをしてきて、
二口は私のヒーロかもねって目があって気づいて、
ほんの少し素直になってみて
『(か っ こ よ か っ た よ)』
言ってみた
伝わったのか、一瞬ポカンとして、
「はっ...なんだよそれ」
少し笑って、でも照れてるのがバレバレな顔してて
私は、胸が
きゅんっ
と鳴いた。
(なーんか、変に意識しちゃうな)
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