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イカサマです、こんな恋

#2


__一週間後。街を歩いていた時。
にぎやかな街の裏側から、男の怯えたような声がした。
「…け……のち…………るし………くれ…」
怖かったが、それよりも好奇心が勝ったので、見に行くことにした。今は高めのハイヒールを履いているので、小股の走り歩きで声の場所まで行く。

「お願いだ…!命だけは…!!ゆ、許してくれ!!!」
「それは無理な相談だなぁ…。君は、自分のしたことが許されると本気で思っているのかい?だとしたら、笑えるね」
そこには、以前私がギャンブルをして負けた、あの男__アベンチュリンがいた。
彼は、泣き叫ぶ男に銃口を突きつけている。私のことは、まだ気づいていないらしい。
「あぁぁ……!お、おいそこの女!俺を助けてくれよぉ!!」
まずい、男が私に気づいてしまった。
この状況について私は詳しく知らないが、この場を見たのがまずいということは直感で分かっているつもりだ。
「おや…?あぁ君は、一週間前に僕に負けた子か。参ったな、これを見られてしまうとは」
あの賭博場で見た時と同じ目をしていたが、どこかが違う。死人の肌のように冷え切っている、そんな目。
「……誰にも言わないわ」
「口先の言葉じゃ、こちらも簡単に信用できないな」
緊張が走る。
「…もういいわよ、じゃあ私が誰かにこのことを言ったら、殺して頂戴。ほら、さっさとその男を殺せばいいじゃない」
男は絶望しきった目をしていて、もう何も言っていなかった。多分、覚悟をしたのだろう。
「ふぅん…まぁいいよ。[漢字]じきに、どうでもよくなる[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・[/ふりがな]」
なにやら意味深長な事を言って、彼はトリガーを引いた。
「本当に殺したわね…まぁ、別にいいわ」
それよりも私は、彼が発した言葉の意味を知りたかった。
「ねぇ…その、さっき言った『じきにどうでもよくなる』って、どういう意味なのよ」
「あぁ、あれかい?そうだね…うん」
わざとらしく、悩んだような表情を一瞬見せてから、彼はこう言った。
「君に一目惚れした…なんて言ったら、君はどうする?」

[水平線]
そこから、一ヶ月後。
あれを言われたあとの私は、感情が高ぶってしまい、ついつい彼をビンタしてしまった。今では反省しているが…。
だが、私自身も、どこかで気づいていたのかもしれない。自分の思いに。
「あの……ねぇ、アベンチュリン」
「なんだい?フランチェス」
「あなたが、好きよ」

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作者メッセージ

完結しました。完結だけに「簡潔な終わり方」つってね。
…ごめんなさい。そんなに簡潔じゃないですしね。
まぁ何はともあれ、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。これからも精進してまいりますので、どうかよろしくお願いします。

2024/05/15 22:36

夢野 シオン@水野志恩SS ID:≫7tLEh4qnMjetA
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