＿＿私が[漢字]足繁[/漢字][ふりがな]あししげ[/ふりがな]く通う賭博場には、無敗のギャンブラーがいる。
私自身はそいつと賭けをしたことはないが、私と仲のいいヤツが、そいつと勝負して惨敗しているのを見た。
それを見たとき、私は
「強いやつもいたもんだな」
としか思わなかった。私は元々、感情の起伏が薄いのだ。
そいつに負けた仲間は、一人だけじゃない。
二人、三人、四人、五人、六人。
日を重ねるごとに、段々と負けたやつは増えていった。

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ある日、夜。その日はポーカーをしていた。
「くそ…、また負けた……この女ぁ！」
「なんとでも言ってよ、私は何も感じないけど」
私に負けた客を適当に煽って、次の相手を待つ。
「次のお相手は誰？」
相手を待ち遠しく待っていた、次の瞬間。
「僕さ」
やけに胡散臭く感じる声。その声の持ち主は、あの有名な無敗のギャンブラーだった。久しぶりに強いやつと出会えたこと、少し感情が高ぶる。
「へぇ、よろしく。あなた、名前は？」
「アベンチュリン。よろしくね。君の方は？」
「フランチェスよ」
ディーラーがやってきて、ゲームが始まった。

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＿＿数十分後。
「…！」
「おやおや…、これは大変だね」
最初の方は、私が優勢でゲームが始まった。
雲行きが怪しくなってきたのは、ゲームの中盤辺りからだ。
あのあたりだ、急にこの男が優勢に立ち始めたのは。
「君の…負けだね」
負けた。ギャンブルをずっとやってきて、あまり味わったことがない、数少ない敗北の味だった。
「ゲームセット、チップをお支払いください」
「またね、フランチェス」
「なっ…！まだよ！まだあんたとの勝負は終わってない！もう一回よ、他のゲームでもいい、もう一回！」
「何回やっても結果は変わらないのに…、まぁいいだろう。僕も、ちょうど時間ならあるしね」

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私は、アベンチュリンに負けたことを信じたくなくて、もう一回彼とギャンブルをした。簡単なルーレットだった。
だが、それすら負けてしまった。
「なっ……！」
「また負けたね、お嬢さん？」
「そんな……」
彼はニヤニヤと笑みを浮かべている。その笑みが、私は嫌いだった。