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能力屋の魔女

#4

魔女の店4

十年後―
「美香選手すごい走りですね。」
実況アナウンサーの声が響く。
美香は、その後走ることに楽しさを感じ選手を目指した。
今や、知る人ぞ知る有名な陸上選手で、その快走ぶりが話題となっている。

「まぁ、あの子、陸相選手になったのね。嬉しいわ~。」
能力屋の魔女は、感嘆の声をあげ、一冊の分厚いノートを開いた。
そのノートは、きらきらと眩い光を放つ、青い魔法石がはめ込まれていて、絵本の中の魔法使いが持っている魔導書のようだ。
ペラペラとめくり、あるページで止める。

[水平線]

お客様 美香
魔法  運動神経がちょっとだけよくなる[漢字]魔法[/漢字][ふりがな]のうりょく[/ふりがな]。
お代  何でも諦めてしまう[漢字]能力[/漢字][ふりがな]せいかく[/ふりがな]

[水平線]

この魔法はあくまで、運動神経が少しだけよくなる魔法。
選手にまでなれるようなものではない。
選手になれたのは、あの子の努力のおかげ。
それと、前は随分、諦めが早い性格だったから、それをお代として受け取ったのが良かったのかもね。
ふっと誇らしく笑みをこぼし、ノートを閉じた。






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2024/06/02 16:59

暁月 ID:≫4pzgoH6Ttog9I
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