【短編】3分でわかる短編
#1
〜人魚〜
深い,深い海の底。
そこには,人の体を持ち,魚の尾を持った,「人魚」という生き物が住んでいました。
大きく立派な城。なかにはもちろん,人魚姫。
ただし,今は病に倒れていました。
なんの病かもわからず,何が原因かもわからず,息がしづらく、肌が荒れ,体力の減少。
のような症状が出ました。
「はあっ、はあ、」
姫の息遣いが荒くなっていきます。
(息以外は元気なのに,余計疲れて,動けない,もうやだ,,,)
姫が病の間に,お茶会や,パーティなんてものは,何回も開催されているのに,行けないという虚しさ。
動きたくても動けない切なさ。
もう何回目かもわからないため息を吐く。
こんこん、とドアを叩いた音がした。
「どうぞ」
「失礼致します。」
メイドである。ご飯を運んできてくれたのだ。
少量ながらも,姫にはご飯が用意される。1日に一回だ。
それでも動いてないからか,全くのようにお腹が空かないようで、毎回少し残す。
食欲もないかもしれない。と姫は思う。
でも食べないと,死んでしまう。食べなければ,一週間で死んでしまうのだから。
side姫
頭の中を文字まみれにしながら,複雑な気分で食べ進める。
はあ、私はどうなるんだろう。もう普段の生活には戻れないのかな。
ため息は,海水へと流れていく。
そろそろかな,と思ったので,メイドに「ごちそうさま」と伝える。
「失礼致しました」
「あ,ちょっと待って。」
不意にメイドを引き止める。
「ありがとう」
頼りない,精一杯の笑顔で,私は告げた。
「いいえ、仕事ですから。」
と、メイドは柔らかな笑みを返した。
がちゃん、と文字に表すには大袈裟な音を立てて,メイドはこの部屋を出た。
私は,布団の中にうずくまる。
一定の時間が去った後,紙とペンを用意する。
日記を始めてみようと思った。
今日が最初で,今日が最後。丁寧な文字で,綺麗事を並べた。
お父様へ,お母様へ,お姉様へ,メイド様へ。
十分な時間が過ぎ,またもや布団に潜り込む。
確信する。もう、これ以上は無理だと。生きられないと。
私だけが,知っている,病の理由。
王が頭を抱えてすらわからない,病の理由。
「あはは、、当然,だよね、、、」
それは____________
人間だからだ。
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