ギャンブラー、あなたに賭けます。
「大丈夫かい?気分が優れなかったり…」
「あぁ…。そ、それなら…大丈夫です」
正直なことを言うと、毒の作用や恐怖で気分が優れないというより、緊張のしすぎで、気分がおかしい事にはなっていた。だがまぁ、そんな事言わなくても、なんら影響などはしないだろう。
「…アレヴァーナ」
「はい」
突然、彼がそう言う。私と彼の顔の距離は、かなり近いので、声が間近に聞こえてくる。
「どうして、君たちは…。こんな所に?あの男と、関係があったようにも思えなかったし…」
アベンチュリンさんから尋ねられた事は、正直、答えようがなかった。だって、私も知らないのだから。
「あー…。その、正直な事を言うと、私も知らないんですよね。シャーレを助けに来たら、なぜか監禁されたので…」
とりあえず、嘘は言わずに答えてみたが、これでアベンチュリンさんが納得するとは全く思えない。
私が彼の立場だったとしたら、助けたやつにこんな事を言われたら、本当に嫌だ。納得はできないし、かといって理解ができるわけでもない。一番相手が困る返答とも言えるだろう。
そんな答えを出してしまったので、彼の顔は見ないことにした。
「なるほど…。助けようと、ここまで来たのかい?」
「はい…。助けようと…」
「そうだったのかい。すごい勇気だね。お疲れ様」
…なんだか、予想外な回答をもらってしまった。もっと冷たい回答も覚悟していたが、まさか[漢字]労[/漢字][ふりがな]ねぎら[/ふりがな]われてしまうとは。
「…そんなにすごい事じゃないですよ」
返答に困ってしまったので、私はただ一言、そう返した。そこから二人の会話が続くわけでもなく、互いに互いの顔を見ることもなく、ただ、外まで歩いた。
[水平線]
「__もうやめてください!」
「やめる……?なんでだ、俺にメリットがねぇよ」
アレヴァーナが、呑気にアベンチュリンと逃げてドギマギしている時、シャーレと銀狼、カンタレラはあの場所に残り、戦っていた。
銀狼は努力していたが、カンタレラの実力も中々のものであり、戦いは[漢字]拮抗[/漢字][ふりがな]きっこう[/ふりがな]状態にあった。
シャーレは、その戦いの様子を、ただ眺めることしかできない。アレヴァーナと居た時は「大丈夫」とふざけて言っていたが、本当は、喋るのにも相当の努力が必要な、危ない状態であったのだ。
「あんた、そろそろ負ければ?」
「無理なお願いだね、それは」
「……そう」
銀狼の額には、少々の汗があった。余裕があるように見せかけていたが、本心では「ピンチだ」と思い、打開策を考えていた。
一方カンタレラ、こちらも余裕[漢字]綽々[/漢字][ふりがな]しゃくしゃく[/ふりがな]な表情を浮かべていたが、本心では、少し焦っていた。汗は流していないが、その代わりに、筋肉が悲鳴を発している。
どちらも、思っている事もしている事も、ほぼ同じなのだ。
「………銀狼さん……」
二人が戦っている姿を、見ていることしか出来なかったシャーレは、無力感と疎外感を感じていた。思わず、ちょっとした涙を流してしまう。
「ごめんなさい………。頑張って…!」
シャーレの呟きは、虚しく反響するだけだった。
「あぁ…。そ、それなら…大丈夫です」
正直なことを言うと、毒の作用や恐怖で気分が優れないというより、緊張のしすぎで、気分がおかしい事にはなっていた。だがまぁ、そんな事言わなくても、なんら影響などはしないだろう。
「…アレヴァーナ」
「はい」
突然、彼がそう言う。私と彼の顔の距離は、かなり近いので、声が間近に聞こえてくる。
「どうして、君たちは…。こんな所に?あの男と、関係があったようにも思えなかったし…」
アベンチュリンさんから尋ねられた事は、正直、答えようがなかった。だって、私も知らないのだから。
「あー…。その、正直な事を言うと、私も知らないんですよね。シャーレを助けに来たら、なぜか監禁されたので…」
とりあえず、嘘は言わずに答えてみたが、これでアベンチュリンさんが納得するとは全く思えない。
私が彼の立場だったとしたら、助けたやつにこんな事を言われたら、本当に嫌だ。納得はできないし、かといって理解ができるわけでもない。一番相手が困る返答とも言えるだろう。
そんな答えを出してしまったので、彼の顔は見ないことにした。
「なるほど…。助けようと、ここまで来たのかい?」
「はい…。助けようと…」
「そうだったのかい。すごい勇気だね。お疲れ様」
…なんだか、予想外な回答をもらってしまった。もっと冷たい回答も覚悟していたが、まさか[漢字]労[/漢字][ふりがな]ねぎら[/ふりがな]われてしまうとは。
「…そんなにすごい事じゃないですよ」
返答に困ってしまったので、私はただ一言、そう返した。そこから二人の会話が続くわけでもなく、互いに互いの顔を見ることもなく、ただ、外まで歩いた。
[水平線]
「__もうやめてください!」
「やめる……?なんでだ、俺にメリットがねぇよ」
アレヴァーナが、呑気にアベンチュリンと逃げてドギマギしている時、シャーレと銀狼、カンタレラはあの場所に残り、戦っていた。
銀狼は努力していたが、カンタレラの実力も中々のものであり、戦いは[漢字]拮抗[/漢字][ふりがな]きっこう[/ふりがな]状態にあった。
シャーレは、その戦いの様子を、ただ眺めることしかできない。アレヴァーナと居た時は「大丈夫」とふざけて言っていたが、本当は、喋るのにも相当の努力が必要な、危ない状態であったのだ。
「あんた、そろそろ負ければ?」
「無理なお願いだね、それは」
「……そう」
銀狼の額には、少々の汗があった。余裕があるように見せかけていたが、本心では「ピンチだ」と思い、打開策を考えていた。
一方カンタレラ、こちらも余裕[漢字]綽々[/漢字][ふりがな]しゃくしゃく[/ふりがな]な表情を浮かべていたが、本心では、少し焦っていた。汗は流していないが、その代わりに、筋肉が悲鳴を発している。
どちらも、思っている事もしている事も、ほぼ同じなのだ。
「………銀狼さん……」
二人が戦っている姿を、見ていることしか出来なかったシャーレは、無力感と疎外感を感じていた。思わず、ちょっとした涙を流してしまう。
「ごめんなさい………。頑張って…!」
シャーレの呟きは、虚しく反響するだけだった。
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