ギャンブラー、あなたに賭けます。
それは、聞き覚えのある声だった。
ここ数日ずっと、私の隣にいてくれた人。私の事を、今まで何回も助けてくれた人。
大切な人__シャーレの声だった。
「シャーレ!」
途端にそう叫んで、声のした方まで走る。走った。物音をたてないとか、そんな事は全く気にしていなかった。
スマホの通信からは、銀狼さんの声が聞こえる。内容は分からないが、きっと、私を止める声だろう。だが、私には聞こえない。聞こえないのだから、気にしない。気にできない。
「アレヴァー__!!」
シャーレが、わたしの名前を呼んでいる。ああ、こんな所に居るなんて、怖かっただろう。彼女は、なんでこんな場所にいたんだろう。理由は何にせよ、きっと、こんな所には居たくないだろう。
そう考えつつも、私はただ、声の場所まで駆けるだけだった。
だけど__今思えば、ここで誰かの声を、よく聞くべきだった。誰でもいい、シャーレでも、銀狼さんでも。誰かの声に、耳を傾けていればよかった。
[水平線]
走っていたので、すぐに声がした場所までは着いた。そこは、ホテルの部屋の一介だった。何号室とか、倉庫とか、そんな部屋だったんだろう。
床には、さっき引きずられていたであろう、ボロボロの麻袋がある。そしてこちらも、倒れたであろう金属の貯蔵庫のような物が。
一見するだけでは、シャーレの姿は、全く無いように思える。どこにいるのやらと。
だけど、私はそれで帰るような半端者ではない。
少し周りを見れば、部屋の隅に、なにか大きな塊のような物を見つけた。ブランケット?のような物に包まれている、ような気がする。
そして形は、丸まって寝そべっている人間のようだ。多分背中であろう曲線が、それを教えてくれる。
「……アレヴァー?」
確信に変わったのは、その塊からシャーレの声がしてから。
「シャーレ!!大丈夫?怪我は…!」
すぐ彼女の下へ近寄り、様子を見ようとする。その時、太ももの裏あたりに、注射器の針を刺されたような…チクッとした感覚がした。誰かに刺されたみたいだ。
毒だったのか走らないが、それから急に痛みがし、私は倒れた。
「うっ…」
脂汗が、ダラダラと止まらない。呼吸が乱れて、体が暑いような、寒いような、そんな感覚になる。
視界もくらみ、シャーレのもとには、到底行けなかった。
「…あぁ、だから…」
気絶寸前。最後に、シャーレの声が聞こえた。私はずっと励ましてくれた、あの優しい声が。私に向かってか、誰かに向かってか、虚無に向かってか話した。
「__こっち来ないでって、言ったのに…。聞いてなかったでしょ」
ここ数日ずっと、私の隣にいてくれた人。私の事を、今まで何回も助けてくれた人。
大切な人__シャーレの声だった。
「シャーレ!」
途端にそう叫んで、声のした方まで走る。走った。物音をたてないとか、そんな事は全く気にしていなかった。
スマホの通信からは、銀狼さんの声が聞こえる。内容は分からないが、きっと、私を止める声だろう。だが、私には聞こえない。聞こえないのだから、気にしない。気にできない。
「アレヴァー__!!」
シャーレが、わたしの名前を呼んでいる。ああ、こんな所に居るなんて、怖かっただろう。彼女は、なんでこんな場所にいたんだろう。理由は何にせよ、きっと、こんな所には居たくないだろう。
そう考えつつも、私はただ、声の場所まで駆けるだけだった。
だけど__今思えば、ここで誰かの声を、よく聞くべきだった。誰でもいい、シャーレでも、銀狼さんでも。誰かの声に、耳を傾けていればよかった。
[水平線]
走っていたので、すぐに声がした場所までは着いた。そこは、ホテルの部屋の一介だった。何号室とか、倉庫とか、そんな部屋だったんだろう。
床には、さっき引きずられていたであろう、ボロボロの麻袋がある。そしてこちらも、倒れたであろう金属の貯蔵庫のような物が。
一見するだけでは、シャーレの姿は、全く無いように思える。どこにいるのやらと。
だけど、私はそれで帰るような半端者ではない。
少し周りを見れば、部屋の隅に、なにか大きな塊のような物を見つけた。ブランケット?のような物に包まれている、ような気がする。
そして形は、丸まって寝そべっている人間のようだ。多分背中であろう曲線が、それを教えてくれる。
「……アレヴァー?」
確信に変わったのは、その塊からシャーレの声がしてから。
「シャーレ!!大丈夫?怪我は…!」
すぐ彼女の下へ近寄り、様子を見ようとする。その時、太ももの裏あたりに、注射器の針を刺されたような…チクッとした感覚がした。誰かに刺されたみたいだ。
毒だったのか走らないが、それから急に痛みがし、私は倒れた。
「うっ…」
脂汗が、ダラダラと止まらない。呼吸が乱れて、体が暑いような、寒いような、そんな感覚になる。
視界もくらみ、シャーレのもとには、到底行けなかった。
「…あぁ、だから…」
気絶寸前。最後に、シャーレの声が聞こえた。私はずっと励ましてくれた、あの優しい声が。私に向かってか、誰かに向かってか、虚無に向かってか話した。
「__こっち来ないでって、言ったのに…。聞いてなかったでしょ」
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