【 リクエスト短編集 】 桜御坂学園高校・番外編
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? 「 だああああ !! 分っかんねぇよこんなん !! 」
俺の名前は “ 黒妖 楔 ” 。
私立・桜御坂学園高校の生徒である 。
一人称俺だしショートだし身長高いけど 、 これでも女子だ 。
今日は英語の授業が自習で 、 俺たち生徒は友達同士協力しながら問題を解いていた 。
机に拳を打ち付けて倒れ伏したのは 、 生徒会副会長であり友達の “ 桜玉 楽海 ” 。
文武両道 、 容姿端麗 。
生徒会長と共に 、 非の打ち所が無いと話題の生徒である 。
ただ 、 人間誰しも欠点はあるものだ 。
こいつの欠点は 、 “ 英語が壊滅的に出来ないこと ” だ 。
楔 「 お前なあ … それほぼ中学の内容だろ ー が 」
呆れ顔でため息を吐いて見せると 、 楽海は顔を机の上に乗せたまま睨んできた 。
楽海「 いや 、 まず一つ言って良いか ? 俺らは日本人 。 そうだろ ? 」
楔 「 はあ 」
少し眉を顰めながら頷いた俺に 、 楽海はにやりと笑いかけて続ける 。
楽海「 じゃあ 、 何故母国語でもない言語を習わねばならぬのか … 」
楔 「 さっきからなんなんだよ 。 キャラ安定させろよ 」
楽海「 うるせぇなあ !! 黙って聞けし !! 」
楔 「 うるせぇのはお前だっつ ー の 。 しゃしゃんなチビ 」
楽海「 わさびがデカいだけですう 〜 !! 」
楔 「 あ゙ぁ !? 」
いがみ合い始めた俺たちを 、 クラスメイトたちは笑いながら眺める 。
その視線に気付いた楽海は 、 気まずく思ったのか 怒鳴るのをやめて大人しくなった 。
楽海「 …… 教えろ 」
楔 「 教えて下さいだろ 、 馬鹿 」
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楔 「 んで 、 そこは … いやなんでだよ 、 Be動詞だろうが 」
楽海「 なんだよびーどーしって 。 A動詞であれよ 」
楔 「 何言ってんだお前 」
教え始めて10分 。
もう早くもやめたいとか思い始めてる今日この頃 。
楔 「 違う 、 未来形は will だよ 。 ed は過去形 」
楽海「 英語のとこだけ妙に発音いいのやめてくれ 」
俺のアドバイスを基にしながら 、 楽海は唇を尖らせて ノートに字を書き込む 。
楽海「 ってか 、 わさびって英語得意だったっけ 。 今日は珍しくサボってね ~ のな 」
楽海の言葉に 、 俺は首を振る 。
楔 「 いや 、 別に得意でもなんでもね ~ けど 、 普通に基礎的なことは出来るだけだよ 」
楽海「 地味なドヤ顔腹立つ ー… 」
いいからやれ 、 と頭をはたくと 、 楽海は舌打ちをして渋々続きを書き始める 。
楔 「 … ああもう違う 、 『 しなきゃいけない 』 は 『 have to 』 だよ ! 」
楽海「 はふ … ? おい 、 半分にしてど ~ すんだよ !? 」
楔 「 それは 『 half 』 だろうが !!
綴り上は “ ハブトゥー ” だけど 、 この形だと読み方は “ ハフトゥー ” になるんだよ 」
楽海「 なんだそれ意味分かんね ー !!! 」
頭を抱えて仰け反る楽海 。
… 頭抱えてぇのはこっちなんだわ …
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そんなこんなで 、 俺と楽海のマンツーマン状態になった授業は終わった 。
これが 、 俺らの何気ない日常 。
色々腹立つ部分もあるけど 、 楽海のことは嫌いじゃない 。
一緒に居て楽しいから 、 一緒に居るだけ 。
口に出して伝えたことはないけど 、 多分あいつもそう思ってる 。
こういう 、 平和で楽しい毎日が続くといいな ──
なんて柄に無く思いながら 、 校門の横で 夕陽を背に手を振る楽海に駆け寄った 。
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