- 閲覧前にご確認ください -

この小説はオリ主が登場します。苦手な方はお気をつけください!

文字サイズ変更

ギャンブラー、あなたに賭けます。

#34

#34 会遇

「アベンチュリンさーん、こっちです…!」
個室から出ると、ちょうどアベンチュリンさんも、同じくらいのタイミングで、席を立っているようだった。手を振って声をかけると、彼は自然な仕草でこちらを振り向き、こちらに向かい歩いた。歩く姿も好きだ…なんて、我ながら気持ち悪いことを思う。
「やぁ、アレヴァーナ」
「こんにちは。いやー、アベンチュリンさんと、たまたま会うなんて…。奇遇ですね」
「うん、すごい偶然だね。まさか君がいるなんて」
「ですよね。あ、私狙ってたとか、そんなことはしてないですからね!」
「分かってるよ」
勘違いされないかと、慌てて弁明をすると、彼は笑みをこぼした。彼の思いがけない姿を見て、思わず自分の弁明を止め、彼の笑顔をじっと見てしまう。
「…なんだい?僕の顔ばかり見て」
「え?」
「ん?」
「…ん?」
「…あぁいや、なんでも!」
一瞬、互いに困惑するようなやり取りがあったが、まぁ良いだろう。
彼は優しく、それでいて[漢字]蠱惑的[/漢字][ふりがな]こわくてき[/ふりがな]な笑みを見せてから、こう言った。
「…そういえば君、メール無視した?」
いきなりの発言に、私は目を見開き言う。
「ん?え?…無視?いやいや、アベンチュリンさんからのメールを無視なんて。無いですよ!」
「そうかい?でも返信が来てないんだ…。初めて君に送ったメールなんだけど」
急いでスマホを取り出し、メールアプリを確認してみる。するとそこには、確かにメールがあった。
『アレヴァーナ、よろしく』
「……えー、えっと、あれれ?」
私は焦っていた。焦っていたというより、困っていた。
そう、このメールは、私が花火さんに誘拐されていた時に送られたメール。私が知る由がないのだ。
だがしかし、アベンチュリンさんはそれを知らなかった。それはそうだ、言ってないのだから。言うタイミングなんて無いのだから。
「あー、待ってください。アベンチュリンさん。これにはちょっとした誤解が」
「誤解?」
「そうです、その、このメールが送られた時、私実は…」
「何があったんだい。余程のことだったのかい?」
いじらしそうに頬を膨らませる彼を見て、少し可愛いなどと思ってしまう。
「…はい、すごく余程のことでした」
「おやおや」
彼の顔は笑っていたが、なんだか悲しそうな、親に構ってもらえない子供のような感情が、瞳の奥から見え隠れしていた。
「えーっと、詳しく話しますね…」
とにかく、彼にあの事を話したい。話せば、謎の誤解のような感情も、解けると思ったのだ。
だが、話そうとしたその時。
「あの、ねぇ。まだ話してます?」
…シャーレ…。

※ダブルクリック(2回タップ)してください

作者メッセージ

難しい語句があったので、説明しておきます。
蠱惑的:人の心をひきつけ、まどわすさま。(掲載サイト:Weblio様 情報提供元:小学館様 からの引用です。)


登場人物
アベンチュリン
シャーレ
アレヴァーナ

2024/05/29 22:33

夢野 シオン@水野志恩SS ID:≫7tLEh4qnMjetA
続きを執筆
小説を編集
/ 63

この小説はコメントオフに設定されています

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL