「あーもう！ない！本当にどこに行っちゃったの…」
10分ほど人形を探したが、人形はどこにもなかった。
外に探しに行こうとも思ったが、疲れている私にはそんなことできなかった。体力が完全に尽きていたのだ。
「はぁ…明日ちゃんと探そうかな」
世界で一つしかない人形、それを失った私のショックは大きかった。
だがショック以上に、疲労がとんでもなかった。
「はぁ…、明日…こそ…」
ソファに倒れ込んだまま、私は眠りについた…。

[水平線]
「このお人形、誰のなのかなー？んー？」
彼女＿＿名前、花火＿＿は、人形を片手に持ってじっくり観察している。
「んー…、あー！これさっきの女の子のやつかなぁ！」
先程自分の目に映った、あの可愛らしい少女を思い出した。
「そうだなー、あの子もういなさそうしー…そうだ！私が預かってようかな！また会ったときに渡してあげよ！」
そう言って彼女は、どこかで覚えた歌を口ずさみながら、人混みに消えていった。

「…あの子、また会えるかな？」