カフェ店員の話
#1
カフェ店員 微BL注意
肌を掠める桜の花弁と、ムズリとする花粉を通り抜け、大学一年生の田中悟はいつも通りバイトにやって来た。
「お、今日も時間ぴったりだね。流石几帳面」
「時間を守るのは常識だろ? あ、オーナーは?」
「あの人が来るわけないでしょ、ふふ」
「それもそうか」と口を滑らせれば、同い年でバイトの先輩である西野洋は、静かに笑った。
それにつられて笑っていると、プシューという音がキッチンから聞こえ、彼は慌てて火を止めに行った。
高校から一人暮らしを始めた俺は、親の仕送りと貯めて来た貯金を崩して、まあ、それなりに楽しく過ごしていた。
だが、大学の入学と同時に両親が2人揃って急逝し
仕方なくバイトを始めた。
元々実家がそれなりに大きかったので、俺はそこそこのボンボンとして育ったのだが、いざ始めたバイトはどうも俺の身の丈には合わず、今まで何個ほっぽり出したことやら……。
そんな中見つけたのが、このカフェであった。
幸いにも、アパートからものの数分で着く+意外にも時給がそこそこだったので、俺はすぐさま面接に飛び込んだ。
「え?! ご、合格ですか?! 俺、まだ何も喋ってないんですけど…」
「いや、いいよいいよぉ! ここら辺、ずうっと人手が足りなくてさぁ〜! 君みたいのが欲しかったんだよ、ちょうどね! あっははは」
「は、はぁ…」
面接で会ったオーナーらしき人は、どうも様子がおかしい。ずっと大笑いしてるし、ジョークばかり並べるし、本当にどうかしているのかと思った。
まあ、唯一の救いといえば、西野がいてくれたことだろう。
率直に言えば、彼の第一印象は最高だった。
もう1人働いている人がいるとは聞いていたが、俺がイメージしていたのは、オーナーのようにやかましく、暑苦しい人をイメージしていた。
だが、その予想を良い意味で裏切ってくれた。
花のような笑いに、少し明るめの茶髪。目は透き通った栗色で、ストライプのシャツから伸びた白い腕が実に繊細で綺麗だった。(あといい匂い)
加えて同い年だというのだ。話は合うし、面白いし
正直このカフェで働く第一目的は、客の笑顔やレビューでもなんでもなく、彼自身と交流するためかもしれない。
「田中、そこにあるカップ取ってくれない?」
「はいよー」
カウンターにかけたエプロンをつけ、無造作に髪を崩す。
今日も、カフェでの一日が始まるのである。
「お、今日も時間ぴったりだね。流石几帳面」
「時間を守るのは常識だろ? あ、オーナーは?」
「あの人が来るわけないでしょ、ふふ」
「それもそうか」と口を滑らせれば、同い年でバイトの先輩である西野洋は、静かに笑った。
それにつられて笑っていると、プシューという音がキッチンから聞こえ、彼は慌てて火を止めに行った。
高校から一人暮らしを始めた俺は、親の仕送りと貯めて来た貯金を崩して、まあ、それなりに楽しく過ごしていた。
だが、大学の入学と同時に両親が2人揃って急逝し
仕方なくバイトを始めた。
元々実家がそれなりに大きかったので、俺はそこそこのボンボンとして育ったのだが、いざ始めたバイトはどうも俺の身の丈には合わず、今まで何個ほっぽり出したことやら……。
そんな中見つけたのが、このカフェであった。
幸いにも、アパートからものの数分で着く+意外にも時給がそこそこだったので、俺はすぐさま面接に飛び込んだ。
「え?! ご、合格ですか?! 俺、まだ何も喋ってないんですけど…」
「いや、いいよいいよぉ! ここら辺、ずうっと人手が足りなくてさぁ〜! 君みたいのが欲しかったんだよ、ちょうどね! あっははは」
「は、はぁ…」
面接で会ったオーナーらしき人は、どうも様子がおかしい。ずっと大笑いしてるし、ジョークばかり並べるし、本当にどうかしているのかと思った。
まあ、唯一の救いといえば、西野がいてくれたことだろう。
率直に言えば、彼の第一印象は最高だった。
もう1人働いている人がいるとは聞いていたが、俺がイメージしていたのは、オーナーのようにやかましく、暑苦しい人をイメージしていた。
だが、その予想を良い意味で裏切ってくれた。
花のような笑いに、少し明るめの茶髪。目は透き通った栗色で、ストライプのシャツから伸びた白い腕が実に繊細で綺麗だった。(あといい匂い)
加えて同い年だというのだ。話は合うし、面白いし
正直このカフェで働く第一目的は、客の笑顔やレビューでもなんでもなく、彼自身と交流するためかもしれない。
「田中、そこにあるカップ取ってくれない?」
「はいよー」
カウンターにかけたエプロンをつけ、無造作に髪を崩す。
今日も、カフェでの一日が始まるのである。
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