ここはとある高校。覗いて見ると、何やら女子の声が聞こえてくる。

[水平線]
「雛ちゃん〜おはよう。」
「あ、雛ちゃん。はよ〜。」
「おはよう〜、雛ちゃん。」

廊下を歩いていると、一斉に女子からたくさん声が聞こえて来た。
私はみんなに向かって笑顔を振りまきながら答えた。

「うん。みんな、おはよう。」

周りがざわめく。

「[小文字]やっぱり今日も可愛いな、、。[/小文字]」
「[小文字]挨拶してくれたんだけど、めっちゃ嬉しいっ、、！[/小文字]」

私、[漢字]櫻井雛[/漢字][ふりがな]さくらいひな[/ふりがな]はクラス、いや、学年で有名な女の子だ。
整った顔、サラッとなびく髪、引き締まった体型。全て兼ね揃えている、いわゆるカースト上位の美少女だ。
こうやって、挨拶をしてだけでもみんな嬉しくなる。

･･･人間って案外簡単。

そう思ってしまうくらいだ。
私は廊下の中央を歩き、教室へ向かった。

[水平線]
昼休み。
私は親友の[漢字]相川彩希[/漢字][ふりがな]あいかわさき[/ふりがな]と一緒に購買へ行った。

「･･･っ、クリーパンあって良かったぁ〜。」
「雛、ホントに好きだね。」
「うん！クリームパンこそ正義！」

そう笑い合いながら内側に周り、次の階段に差し掛かったところだった。

ぐらっ

「･･･っ、え、、？」
「･･･！雛っ！」

彩希の大声を聞いて、私は悟った。

･･･私今、階段から落ちてるんだ、、、でも、どこで踏み外したんだろう、、。

彩希が手を伸ばしていたけど、間に合わなかった。

[中央寄せ]私、死ぬのかな。[/中央寄せ]
そう思い、目を[漢字]瞑[/漢字][ふりがな]つむ[/ふりがな]ったときそのときだった。

ぽすっ

え？

私が想像しているような音ではなかった。まるで誰かに支えられたような、、。

「･･･っ、大丈夫、、？」
「･･･っえ、、？」

まだ頭が追いついていない状況で、私を支えてくれた人が言った。

「えっと、ありがとう。私を、助けてくれて、、？」
「･･･いえ、全然。あ、怪我してませんか、、？」
「ううん、大丈夫。」

軽い衝撃はあったけど、幸いにも怪我一つなかった。

「ありが･･･」

すると、私に衝撃が走った。
顔を向けると、そこには男の子が私を支えていたからだ。
髪は少し長く、顔がすごく整っていた。

･･･っ！？

私は驚いた。でも、さっきの衝撃を受け止めたのだから、男の子というのは納得がいく。

「、、一応保険室に行ったほうが･･･」
「ううんっ！全然大丈夫だから！安心して！」
「あ、そう、、？」

こんなことは初めてだ。いくら私は私でも恋には[漢字]初[/漢字][ふりがな]うぶ[/ふりがな]なのだ。

「ごめん、助けてもらったところ悪いんだけど、私先行くねっ！」

この状況が耐えきれず、私は逃げるようにその場を立ち去った。そして、周りに人が集まっていたことを今知り、ますます速さが心と共に加速していく。

「あ、待って！雛ぁ〜」

と、彩希の声が聞こえたが無視し、廊下をそのまま走っていった。