梟谷のマネは今日も静寂。
●●『…』
黒尾「…ゴクリッ…」
夜風が空いた窓から吹き抜ける
その教室には張り詰めた
空気が流れている
そこにいるのは、音駒主将である
黒尾鉄朗を鋭い視線で見つめる
○○●●の姿…
…今、彼らは彼ら以外は知らない
[漢字]闇のゲーム[/漢字][ふりがな]ババ抜き[/ふりがな]の第2ラウンドに挑んでいた
その中、まるで獲物を狙い視界に
捉えた夜行性のフクロウのごとく鋭い
眼光を光らしているように見える
●●の姿…そして今に至る
黒尾〔…あー、くっそ、相変わらず
分かりにくい表情しやがって
もはやコイツにババ抜き
やらせんのは反則だっての!!〕
●●『黒尾さん、遅いです
早く引いてください
夜が明けちゃいますよ』
黒尾「わーってるっての!!」
●●『…私がなにを考えているか
反則レベルで分からない…
…そんなところですかね』
黒尾「なっ、お前…なんで…!!!」
●●『図星なんですね、さっきまで
澤村さんに散々煽り散らかして
いたのはどこのどいつ
なのでしょう、笑えてきます』
黒尾「なにが笑えてくるだよ…それなら
ちゃんと笑ってみたら
どうなの?全く表情筋
動いてないぜ?お嬢さん」
●●『動揺を隠そうと平常を
装っていますね
まったく、見え見えですよ』
●●『詐欺師っぽいんですから
らしく振る舞わないと』
木兎「●●の手の中でコロコロと
転がされ揺らぐ黒尾の心!!
転がされる黒尾には勝利の道が
見えない!!見えないーっ!!!」
勝手にナレーションを入れる木兎を
ある者は苦笑し、ある者はキレ
ある者はまた…
●●『木兎うるさい、黙れ
この単細胞』
木兎「え、あ…ご…ギョメンナサイ…」
木兎に厳しい言葉をかけるのである
赤葦「…?」
菅原「…ん?どーしたんだよ赤葦?
不思議そうな顔して」
赤葦「あ、いや、全然気にしないで
もらって大丈夫です」
菅原「なんだよそれー気になるだろー」
菅原「教えろよーセッターのよしみでさー」
赤葦〔菅原さんは烏野の中では割と
常識人だと思ってた自分が
いた頃が懐かしい…〕
赤葦「…なんだか今の●●
ちょっと変だなって思って」
菅原「それは…まぁ、確かに煽るとか
しなさそうだったから
イメージの全然違ったなー
とは思ったけど」
赤葦「普段はあんなことしませんよ」
赤葦「…しないんですが、どういう
ことなんでしょうか…」
菅原「なんでかあんな感じと」
赤葦「はい…疲れてるからと言って
みたものの、なにか少し
腑に落ちないような気がして…」
菅原「…なぁ、赤葦さっき
「色々ありすぎた」
って言ったよな?」
赤葦「ええ…まぁ…」
菅原「その色々ってホントに
話せないやつ?」
赤葦「…そうですね…」
菅原「そっかー、じゃあ良いけど」
菅原「●●は多分、なにか
変わろうとしてるんじゃないか?」
赤葦「変わろうとしている…ですか」
菅原「俺にはお前らに何があったのか
知らないけど、きっとそれは
アイツにとって辛くて
苦しくて仕方ないこと
だったんだろうなって」
菅原「本人に聞いても分からないとか
言われちゃうかもだけど
恐らく…いや、確実に
●●はあがいてるよ
その証拠に、少しいつもと
違うんじゃないかな
って俺は思うけど」
赤葦「…なるほど…それなら…俺
としても少し安心
できます…色んな意味で」
菅原「まぁ、取り敢えず今は好きに
やらせてやれよ、なにか
あったら俺のことだって
頼ってくれて構わんべ!!」
赤葦「…ありがとうございます、菅原さん」
そんな彼らの交わした言葉の数々を
今の●●では知る由もない
今はただ黒尾との駆け引きに夢中なのだ
●●『…いよいよ本当に長過ぎます』
黒尾「そーかいそーかい、…正直
俺もこの状況に飽きてきた。」
●●『いや知りませんよ』
黒尾「っつってもよーわかりにくいの
なんのなのよ、お前
それ、自覚してる?」
●●『…頭大丈夫ですか。』
黒尾「失礼か!!!」
黒尾「ちぇっ…」
●●『…』
ついさっきまで絶対に見抜いてみせると
言わんばかりの闘志を燃やし反応を
伺い続けた黒尾が突然目をそらす
その瞬間を●●は見逃さなかった
少し前までまったく気に留めていなかった
自分の手札のある1枚に視線を集める
そしてすぐさま目線を元に戻した…
黒尾〔…ふっ…引っかかったな?〕
そんな●●の行動を起こした瞬間を
黒尾は見逃さなかった…いや、狙って
わざと視線を逸らしたのだ
自分が隙を見せれば相手はそれより
大きな隙をみせる、そう黒尾は
確信をついていたのだ
黒尾〔1枚のカードに集中した視線
俺がそっぽを向いた瞬間に
狙ったアクション、一瞬に
して目を離した元に戻る…
…つまりそのカードはこれらの
条件から見るに当てはまるのは
そう、ジョーカー!!〕
黒尾「…●●、お前もまだまだだな!!」
●●『なにがまだまだなんでしょうね』
黒尾「なんだって良いだろ?取り敢えず
お前はまだまだ黒尾さんに
勝つなんてことありえねーの!!」
黒尾「これだっ!!」
木兎「おおっ!!やっと黒尾カードを引いた!!!」
黒尾「…な…ど、どういうことだ…」
●●『…』
黒尾「…ジョーカーじゃ…ない…!!?」
黒尾〔あれは確かに行動心理的な
話でジョーカーだったはず…!!!〕
●●『…視線フェイント』
黒尾「…!!!まさか…お前…」
●●『黒尾さんなら良く知って
ますよね、研磨の得意な
プレーの一種なんだから
いつも最前列見て
たんじゃないんですか』
●●『もう少し、本当にそれが
ジョーカーなのか
迷えば良かったですね』
黒尾「ぐぬぬ…」
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