鏡像世界を知りたい10000歳の冒険者
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ゼーリエ「フリーレン。お前は私のことが嫌いだろう。」
「何故私の元に来た?」
「正直もう二度と会わないものだと思っていた。」
フリーレン「[漢字]師匠[/漢字][ふりがな]せんせい[/ふりがな]の遺言状を届けに来た。」
ゼーリエ「あれから50年。そうか。フランメは死んだのか。」
フリーレン「悲しくないの?」
ゼーリエ「気まぐれで育てた弟子だ。」
「…まるで報告書だな。」
フリーレン「何が書いてあったの?」
ゼーリエ「皇帝が国を挙げた魔法の研究に認可を下ろしたそうだ。」
「人間の文化圏では今まで魔法は魔族の技術であるとして、」
「表だった研究は禁忌とされてきた。」
「働き掛けたのはフランメで、」
「彼女は新設された宮廷魔法使いとやらの教育に携わっていた。」
「私にそれを引き継いで欲しいという内容だ。」
「なんて贅沢な奴だ。」
「魔法の研究の認可が下りただけでも快挙だというのに」
「それ以上を望むとは。」
フリーレン「それってすごいことなの?」
ゼーリエ「大陸最大の統一帝国が魔法の研究と」
「軍事転用を始めるということだ。」
「周辺諸国が黙っていない。」
「僅か数十年で魔法は大陸中に普及する。」
「人類の誰もが魔法を使える時代がやってくるんだ。」
「これは遠く無い未来に人類が」
「魔王軍に抗う力を手に入れることを意味する。」
フリーレン「そう。すごいことだね、とても。」
ゼーリエ「まったくだ。」 ビリッ
「だがそれは私の望むところではない。」
「帰れ。フリーレン。」
「こんな遺言は到底受け入れられん。実に不愉快だ。」
「誰もが魔法を使える時代だと?」
「魔法は特別であるべきだ。」
「才ある者以外に教えるつもりはない。」
「こんな物を寄越すとは。」
「フランメとは最後まで分かり合えなかった。」
「所詮は気まぐれで育てた弟子だ。」
フリーレン「[漢字]師匠[/漢字][ふりがな]せんせい[/ふりがな]は」
「ゼーリエは怒って遺言状を破り捨てるだろうって言っていたよ。」
「それでも伝えておきたかったんだって。[太字]夢が叶ったよ[/太字]って。」
「よくわからないよね。」
「じゃあ私はもう行くね。たぶんもう会うこともないと思う。」
ゼーリエ「フリーレン。」
「その前に少し歩かないか。」
「どうせ私達には時間はいくらでもあるんだ。」
ゼーリエ「誰もが魔法を使う時代は、フランメの夢だった。」
「あの子もきっと初めは人類のためとか魔王軍に抗う力とか、」
「そんなものはどうでもよかったんだ。」
「あの子のお気に入りの魔法を知っているか?」
「[太字]花畑を出す魔法[/太字]」
「なんの役にも立たないくだらない魔法だ。」
「あの子は本当に魔法が好きだったんだ。」
「世界中の人がそんな魔法を使えるようになって欲しいと」
「本気で願っていた。」
「虫唾が走ったよ。」
「まるで女の子みたいな可愛い夢だ。」
「でも実際にそうだったんだよ。」
「これはあの子が私よりもずっと背の小さな小娘だった頃に語った夢物語だ。」
「正直私はそんな時代はずっと先のことで、あの子には実現不可能なことだと思っていた。」
「あの子は私にとっては無にも等しいような短い人生で、」
「人類の魔法の開祖にまで上り詰めた。」
フリーレン「[漢字]師匠[/漢字][ふりがな]せんせい[/ふりがな]はいつも判断がとても早かった。」
「まるで何かに急かされているみたいに。」
ゼーリエ「人間には寿命がある。」
「私達よりも死に近い場所にいるんだ。」
「人生には重大な決断をしなければならないときがいくつもあるあるが、」
「あの子達はそれを先送りにできないんだ。」
「私達はそれを百年後にやっても二百年後にやってもいい。」
「千年ほったらかしにしたところでなんの支障もない。」
「私達の時間は永遠に近いのだから。」
「フリーレン。人間が凡そ文明と呼べるものを」
「築き上げてから長い年月が経った。」
「これから先は時代が加速するぞ。」
「たった千年だ。たった千年で人間の時代がやってくる。」
「[漢字]エルフ[/漢字][ふりがな]わたしたち[/ふりがな]は人間に追い抜かれる。」
「鍛錬を怠るなよフリーレン。」
「お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か、」
「[太字]人間の魔法使い[/太字]だ。」
フリーレン「楽しみだねゼーリエ。」
「この先沢山の魔法使いと色々な魔法が見られるんだね。」
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