オタクは今日も恋をする 3
それから私達は会わなくなり、大人になった。
遥と由依は保育士に、光と淳司は芸人に、りえちゃんは小説家に、そして慎二と明は先生になった。
そんなある日、慎二から一件のメールが届いた。
何年も会ってないなとふと思った。
メールはこう書いてあった。
「久しぶり。一つ言いたい事があるんだけど。いつ空いてる?」
言いたい事って何だろうと思った。
「明日かな?」
「分かった。じゃあ、明日、西松並駅、9時集合でいい?」
きっと大事な事なんだろうと察した。
「分かった」
その日の夜は明日の事が気になりすぎて寝れなかった。
翌日、わくわくしていたため、予定より早く駅に来た。
数分後、慎二が来た。
慎二はあまり変わっていなかった。
何故か私は嬉しかった。
「結月も変わってないな。」
「そう?」
私はうっすらと笑った。
すると、慎二は改まった顔をして、「結月」と私の名前を呼んだ。
「何?」慎二の顔を見て私は緊張した。
「あのさ、俺達、付き合ってるじゃん。その……」
慎二は、言葉を詰まらせた。
再び、口を開けてこう言った。
「辞めないか」
私はその言葉を聞いて、音と色を失った。
私の後ろを電車が通る。
私の髪がなびく。
風の音すら聞こえない。
花壇に咲いている色鮮やかだった花々はモノトーンに見えてしまった。
それぐらい衝撃だったのだろう。
「え……それって……」
そんな言葉しか出ない。
すると、慎二は「違う」と答え、
「今の関係を辞めて──」
慎二は再び笑顔になった。
「結婚しよう」
私は衝撃的だった。
こんな私でいいのか。
さっきまで音や色がなかった物が復活した。
風の音。
花壇に咲いている花々。
なんて素敵なんだろう。
私は、
「よろしくお願いします!」
と涙を流しながら言った。
[中央寄せ]◆◇◆◇[/中央寄せ]
僕はさくやまりょうたです。
僕のおとうさんとおかあさんは“にじげん”というせかいで、であったそうです。
僕はそのことをきいて、とてもおどろきました。
おとうさんとおかあさんは「3人だけの秘密」とゆってました。
“にじげん”というせかいはアニメのせかいらしいです。
その話をきいて僕もすきなキャラクターにあえるのではないかとかんがえていました。
おかあさんは「きっとあえる」とゆってくれました。
[中央寄せ]◆◇◆◇[/中央寄せ]
「ねぇ、お母さん。アニメキャラクターって本当にいるの?」
そう亮太が訊いてきた。
「話、長くなるけどいい?」
亮太は笑顔で大きく頷いた。
「お母さんとお父さんが出会った話なんだけど、“2次元”っていう世界で出会ったの。」
「にじげんってどーゆう世界なの?」
「2次元はね、簡単に言うとアニメの世界。」
「じゃあ、やさぴょんに会えるの?」
「きっと会えるよ。」
「わーい!」
「もう夜遅いから寝よう。」
翌日──。
「ぼくね、やさぴょんの夢見た!」
と亮太が嬉しそうに言う。
「あれ?おとうさんは?」
「そういえば。」
もう、慎二ったら。と呆れる。
「じゃあ、亮太。起こしてきて。」と頼んだ。
亮太は「うん!」と元気な返事をし、寝室に向かった。
「おはよー。結月。」と亮太と一緒に部屋から出てくる。
「おはよう。時間大丈夫?」と私は尋ねた。
「あっ!やばっ!」と急いで着替え、パンを咥えて「行ってきます!」と言い、出て行った。
「行ってらっしゃい。」と私は言い、「もう。いつもこうなんだから。」とため息を吐きながら言った。
「じゃあ、私達も行く?」
「うん!」
“行ってきます”
[太字][大文字][中央寄せ]オタクは今日も恋をするー完ー[/中央寄せ][/大文字][/太字]
遥と由依は保育士に、光と淳司は芸人に、りえちゃんは小説家に、そして慎二と明は先生になった。
そんなある日、慎二から一件のメールが届いた。
何年も会ってないなとふと思った。
メールはこう書いてあった。
「久しぶり。一つ言いたい事があるんだけど。いつ空いてる?」
言いたい事って何だろうと思った。
「明日かな?」
「分かった。じゃあ、明日、西松並駅、9時集合でいい?」
きっと大事な事なんだろうと察した。
「分かった」
その日の夜は明日の事が気になりすぎて寝れなかった。
翌日、わくわくしていたため、予定より早く駅に来た。
数分後、慎二が来た。
慎二はあまり変わっていなかった。
何故か私は嬉しかった。
「結月も変わってないな。」
「そう?」
私はうっすらと笑った。
すると、慎二は改まった顔をして、「結月」と私の名前を呼んだ。
「何?」慎二の顔を見て私は緊張した。
「あのさ、俺達、付き合ってるじゃん。その……」
慎二は、言葉を詰まらせた。
再び、口を開けてこう言った。
「辞めないか」
私はその言葉を聞いて、音と色を失った。
私の後ろを電車が通る。
私の髪がなびく。
風の音すら聞こえない。
花壇に咲いている色鮮やかだった花々はモノトーンに見えてしまった。
それぐらい衝撃だったのだろう。
「え……それって……」
そんな言葉しか出ない。
すると、慎二は「違う」と答え、
「今の関係を辞めて──」
慎二は再び笑顔になった。
「結婚しよう」
私は衝撃的だった。
こんな私でいいのか。
さっきまで音や色がなかった物が復活した。
風の音。
花壇に咲いている花々。
なんて素敵なんだろう。
私は、
「よろしくお願いします!」
と涙を流しながら言った。
[中央寄せ]◆◇◆◇[/中央寄せ]
僕はさくやまりょうたです。
僕のおとうさんとおかあさんは“にじげん”というせかいで、であったそうです。
僕はそのことをきいて、とてもおどろきました。
おとうさんとおかあさんは「3人だけの秘密」とゆってました。
“にじげん”というせかいはアニメのせかいらしいです。
その話をきいて僕もすきなキャラクターにあえるのではないかとかんがえていました。
おかあさんは「きっとあえる」とゆってくれました。
[中央寄せ]◆◇◆◇[/中央寄せ]
「ねぇ、お母さん。アニメキャラクターって本当にいるの?」
そう亮太が訊いてきた。
「話、長くなるけどいい?」
亮太は笑顔で大きく頷いた。
「お母さんとお父さんが出会った話なんだけど、“2次元”っていう世界で出会ったの。」
「にじげんってどーゆう世界なの?」
「2次元はね、簡単に言うとアニメの世界。」
「じゃあ、やさぴょんに会えるの?」
「きっと会えるよ。」
「わーい!」
「もう夜遅いから寝よう。」
翌日──。
「ぼくね、やさぴょんの夢見た!」
と亮太が嬉しそうに言う。
「あれ?おとうさんは?」
「そういえば。」
もう、慎二ったら。と呆れる。
「じゃあ、亮太。起こしてきて。」と頼んだ。
亮太は「うん!」と元気な返事をし、寝室に向かった。
「おはよー。結月。」と亮太と一緒に部屋から出てくる。
「おはよう。時間大丈夫?」と私は尋ねた。
「あっ!やばっ!」と急いで着替え、パンを咥えて「行ってきます!」と言い、出て行った。
「行ってらっしゃい。」と私は言い、「もう。いつもこうなんだから。」とため息を吐きながら言った。
「じゃあ、私達も行く?」
「うん!」
“行ってきます”
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