「結月遅いよー。」
遥はむすっとした顔で言った。
「ってか何で花房さんいるの？」
「あ、せんぱいがチョコバナナ買おうとしていて……ついて来ちゃいました☆」
「へ？」

「メールしといたのに！」
由依が心配した。
「え、メール？」
そう私は戸惑いながらアプリを開いた。
すると、由依から1件のメッセージが届いていた。
いつもはメッセージが届くと通知音がするのに、と思った。
ふと、スマホの端（？）をみると、マナーモードになっているのに気がついた。
「あ、ごめん。」
「大丈夫。大丈夫。」
それでも由依は優しかった。


「あれ？もうすぐで花火打ち上がるんじゃね？」
そう光が言い、時計を見ると5時30分だった。
花火は6時に打ち上がる予定だ。

「もうすぐじゃないだろ。まだ30分もあるだろ」
明が珍しくツッコむ。
「結月、由依、ついてきて」
遥が小声で言った。
私達は走った。
「結月、どこ行くんだ？」
慎二が心配するように言う。
私はどこに行くのか分からない。
私が戸惑っていると、
「ひみつ」
と遥が助けてくれた。
「5時50分には戻ってくる！」
「わ、分かった。」
慎二は心配していた。


「どこに行くの？」
私が訊くと
「着けば分かるよ」


「ここは……」
着いたのはは……なんか着物とか浴衣を着る所！
「予約しといたんだ！」
遥が明るく言った。
「おおー！」
浴衣は私の憧れだった。
いつか夏祭りで着てみたいな……前からそう思っていた。

「好きなやつ選んでいいですよ」
店の人に言われた。
「じゃあ、私はこれ……」
私が選んだのはピンク色の花が描かれた浴衣だ。
「結月ちゃんっぽい！」

「私はこれー！」
遥が選んだのは黄色い花が描かれた浴衣で、遥らしい明るい色だった。

「私は……これかな？」
由依が選んだのは青色の花が描かれた浴衣だった。普通の青ではなく、パステル系の青色だった。





「できました」
「すごー！」
鏡を見た私達はとても興奮していた。

「ただいまー！」
「おかえr」
「え」
みんなは驚いていた。
「せんぱいの浴衣姿、尊い……」
「それなー！」
「そうかな。」
私達は照れながら言った。
時計を見ると6時55分。
私達は花火が綺麗に見える所に移動し、待っていた。

ドーン！
大きな音、大きな花火。私は目が離せなかった。
すると、
「結月。来て。」
慎二が言い、「え、うん」と私は頷きながらついていった。
「せんぱ──」
「2人だけに……」
そう由依が言った瞬間、とても大きな花火が打ち上がった。


「綺麗だな。」
「そうだね。」

「結月。」
私の名前を呼ぶ。
「うん。」

ｷﾞｭｯ。
私達はハグをした。
「よく分かったな。」
「えへへ」
自分でもよく分かったなとふと思った。

「離さないからな！」
「私も！」

花火の光が2人を照らしていた。