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君にベールを掛けよう。

#5

第5話

『オマエは鈴蘭みたいだネェ』

春の終わり近づき、夏の気配を感じ昼下がりに“お師匠”がポソりと零した一言。
最初は[漢字]名前[/漢字][ふりがな]リリー[/ふりがな]となんの関係もない植物が出てきたので子困惑した。そして鈴蘭の花言葉を思い出して更に困惑した。
鈴蘭の花言葉は「純粋」「純潔」「謙遜」などだ。自分は大凡、純粋とよ呼べる性格ではないことは自負しているし、ほとんど人と話す機会自体がないので謙遜などする機会もない。
そんな自分が清楚なイメージの鈴蘭に似ているなんて言われるのが不思議でならなかった。

『鈴蘭には強い毒性があるんだよ』

聞けば花言葉ではなく性質の話だったらしい。
そして「成る程」とガッテンが行く。

だって私は_____________________











「リリー! 早くおきなぁ〜さいっ!!」

母の声と共にリリー掛け布団は豪快にひっぺがされた。
突然、外気に触れたせいで体が縮むように震える。いくら春であろうと渓谷街は北にあるので朝は結構寒いのだから辞めて欲しいが、自分の寝起きの悪さを自覚しているので何も言えない。
リリーが「ムスッとしてます」という顔でのそのそと起き上がり朝の支度を始めた出した頃合いに母はリリーの部屋から退出した。マァ、コムストック家はプライバシー権が存在する家なので。

寝床を整えてから洗面台で顔を洗う。それも終わって歯を磨きながらボケーっとリリーは鏡に映った寝起きの自分のを見つめる。
そこに居るのはアメジストの瞳を持った黒髪の少女。
いつもと何ら変わりないいつもの[漢字]私[/漢字][ふりがな]リリー[/ふりがな]。
読書が大好きで、人と関わるのと運動は苦手だけど魔法は大得意なリリー・コムストック。
ちょっと秘密が多くて、記憶力はいいけど人を覚えるのは得意じゃない、渓谷街に住む子供。

「リリー、朝ごはん出来たわよ〜」
「今行く」

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2024/04/14 16:28

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