雄英高校1年、ヒーローに興味なぞないわ。
「さて、次は第5種目、ボール投げだ」
次は第5種目。私は中々危うい成績だが、まぁ50m走ではまずまずの結果を残せたので、良いだろう。雄英退学は親を悲しませるので、絶対に阻止するが。
「……でも、彼は」
しかし、私の最下位は、ある一人のクラスメイトによって、あまり信憑性の無いものへと成り下がっていた。
「緑谷出久、彼の個性は……」
クラスメイト、緑谷出久。彼はこの個性把握テストにおいて、まだ一回も個性を使用していない。
一体彼は、どんな個性を持っているのか。私のように、使いづらいだけなのか、それとも……。
「次、小宮だ」
個性について考えている時、タイミング悪く、私の番がやってきてしまった。
「は、はい」
大した結果は出せない。私のは、このテストにおいて、とても有利な、大それた個性じゃないから。
「でも、やるわ」
親を悲しませない。私の根底には、その心理があった。そしてその心理を貫くため、親の笑顔と平和を守るため。本来個性とは、大切なものを守るために、使うもののはずだ。
「よし、いきましょう」
[水平線]
結局私は、ボール投げで結果が出せなかった。まあ、そもそも個性と種目があまり合っていないし、私だって、この把握テストで最大限の事はやったつもりだ。ひとまず、これで良いでしょう。それに、まだ持久走が残っている。そこで結果を出す事ができれば、あるいはといった感じだろうか。
「はあ、合ってなかったわね。言い訳は嫌いだけれど」
私は無理な言い訳をする人が嫌いだ。すぐ保身に走る様が、とても見苦しいから。人生とは、いかに高貴にもがけるかの勝負、と自分の恩師に言われてから嫌いになった。
今回、私は自分の保身には走らない。だけど、自分の身を案じる事はできる。退学をなんとか乗り切りたい、その一心だけが、そこにあった。
「……」
黙って他のクラスメイトを見る。このテストと相性がいい個性を持つ人、個性が合わない中にも、何とか根性でもがく人、あの手この手で余裕たっぷりにかわす人、沢山の人間が見えてくる。私はどちらかと言うと、根性でもがいているように見えるだろうか。
「根性論は嫌いだわ」
なんだかんだ言いつつも、そろそろ把握テストも終盤、今回私は、失敗とも言える結果に終わってしまった。親がこの状況を見ているとしたら、私にどんな声をかけるだろうか。少しだけ、怖かった。
「…………」
だがしかし、まだ終わっていない。
そう、私も彼もだ。
「次、緑谷」
まだ一回も個性を見せていない彼。ここで個性を出すのか、それとも、ここでも使わないか。ここが分かれ目、運命の変更点だと思う。
「大丈夫かしら」
彼はただ、少し不安そうな顔をしていた。
まだ、終わっていない。
次は第5種目。私は中々危うい成績だが、まぁ50m走ではまずまずの結果を残せたので、良いだろう。雄英退学は親を悲しませるので、絶対に阻止するが。
「……でも、彼は」
しかし、私の最下位は、ある一人のクラスメイトによって、あまり信憑性の無いものへと成り下がっていた。
「緑谷出久、彼の個性は……」
クラスメイト、緑谷出久。彼はこの個性把握テストにおいて、まだ一回も個性を使用していない。
一体彼は、どんな個性を持っているのか。私のように、使いづらいだけなのか、それとも……。
「次、小宮だ」
個性について考えている時、タイミング悪く、私の番がやってきてしまった。
「は、はい」
大した結果は出せない。私のは、このテストにおいて、とても有利な、大それた個性じゃないから。
「でも、やるわ」
親を悲しませない。私の根底には、その心理があった。そしてその心理を貫くため、親の笑顔と平和を守るため。本来個性とは、大切なものを守るために、使うもののはずだ。
「よし、いきましょう」
[水平線]
結局私は、ボール投げで結果が出せなかった。まあ、そもそも個性と種目があまり合っていないし、私だって、この把握テストで最大限の事はやったつもりだ。ひとまず、これで良いでしょう。それに、まだ持久走が残っている。そこで結果を出す事ができれば、あるいはといった感じだろうか。
「はあ、合ってなかったわね。言い訳は嫌いだけれど」
私は無理な言い訳をする人が嫌いだ。すぐ保身に走る様が、とても見苦しいから。人生とは、いかに高貴にもがけるかの勝負、と自分の恩師に言われてから嫌いになった。
今回、私は自分の保身には走らない。だけど、自分の身を案じる事はできる。退学をなんとか乗り切りたい、その一心だけが、そこにあった。
「……」
黙って他のクラスメイトを見る。このテストと相性がいい個性を持つ人、個性が合わない中にも、何とか根性でもがく人、あの手この手で余裕たっぷりにかわす人、沢山の人間が見えてくる。私はどちらかと言うと、根性でもがいているように見えるだろうか。
「根性論は嫌いだわ」
なんだかんだ言いつつも、そろそろ把握テストも終盤、今回私は、失敗とも言える結果に終わってしまった。親がこの状況を見ているとしたら、私にどんな声をかけるだろうか。少しだけ、怖かった。
「…………」
だがしかし、まだ終わっていない。
そう、私も彼もだ。
「次、緑谷」
まだ一回も個性を見せていない彼。ここで個性を出すのか、それとも、ここでも使わないか。ここが分かれ目、運命の変更点だと思う。
「大丈夫かしら」
彼はただ、少し不安そうな顔をしていた。
まだ、終わっていない。
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