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解けた螺線

#1

救われない螺線の中

“私、音羽は英語を習わせ続けた方が良いと思うのよ!”
ママが泣きながらパパに訴える。
“はぁ……俺の意見もちゃんと聞け!”
もう1時間ぐらいまえから両親たちはまた喧嘩を始めた。最近毎日この調子だ。私はもう正直、苦痛だった。
私には兄弟がいる。弟はまだ分からないとして、妹はもう中一なのに、知らぬ顔でタブレットをいじっている。どうせ趣味の絵をかいているのだろう。
“だって、音羽は、早く英語をやらせて色んな人と喋らせたからお友達がたくさんいるじゃない!”
この言葉に私は後ろで震えてしまった。
弟の音羽は2歳で幼稚園に行かず英語のスクールに通った。だから普通の子供より人と関わるのが早かった。だからトークも上手だし、英語も得意だ。
一方、私は、今友達がいない。
幼稚園のときはちゃんといたのだ。よくパパの前に仲良しの子を連れてきて、
“この子、私の友達なんだ!”
と言ってビデオを撮らせたものだ。あの頃は、幼稚園もおうちも楽しかった。
小学生になってかなりの量だった仲の良い友達が違う小学校へ行った。
そして小学校へ入ってから、新しい友達を作ろうという思考にはならなかった。あまりにも幼稚園の友達と別れたことがショックだったのか。なんだか今では理由は曖昧だ。
入学式のあと。私に話しかけてくれた子がいた。千里ちゃんだ。
“よろしくね”
一応、よろしくと返しておいたのを覚えているけど、友達になりたいとは思わなかった。
そして私の周りにだけ友達がいないことに気づいたのは小学四年生のときだった。
個人面談で先生に
“日菜希ちゃん、あんまりお友達と話しませんね”
“え?”
“なんか中休みも、いつも教室抜け出してお友達と喋っている機会がありません。この間、後をつけたら図書室に行ってて……”
お母さんは悲しい表情になって
“あの子、本が大好きだから。でも…それがお友達と関わらないための逃げ口なら…心配です……”
その会話を家で伝えられてゾクッとした。そこまで見ている先生は始めてだ。
私はもう何年間も友達を作ることを考えていなかった。そのうちにひとりぼっちになっていたのだ。勉強だってできる方じゃないのに、……これから友達作りのことで悩むなんて、想像もつかなかった。

今は中学二年生だ。あと一年で高校受験。私は中一のとき友達と始めて遊びにいった。これは遅いのだろうか。今は定期的に遊ぶけれど。
だから今は友達のことではだいぶ悩まなくなった。ただ、やっぱり経験が遅いから、……厳しいお父さんに怒られる。
“それ、取って”
と言われて、どれか分からないだけで怒られる。
よくお店にバックを忘れて怒られる。
よくおつりの小銭を落として怒られる。
弟が解ける問題が解けなくてバカにされる。
何をしても怒られる。怒られる。怒られる。怒られる………!
じゃあ本当の私はどこへ…?
そんなふうに追い詰められて……小6のときから夫婦喧嘩を聞かされる!私は…どうしたら…!

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2023/08/13 18:51

礼舞 ID:≫5pGdECtpkmy/Y
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