運命の天秤
ここで一番最初の話に戻るわけだ。
そう、宝物庫で悪魔を探す話に。
亡き父ー前国王が残した言葉、「なにか危機に面することがあれば、宝物庫を探れ」と。
「国王、これは…?」
「なんだ?」
側近の一人が持っていたのは古びた書物だった。古代語と思しき文字に、金の装飾は半分ほど剥がれ落ちている。
「これが”禁断の書”か…言い伝え通りのものだな」
国王は本のほこりを払い落し、そっと表紙に触れた。
「封じられし悪魔よ、我の名のもとに復活し願いを叶えよ。そなたの望む対価を差し出し、報いることを誓おう」
禁断の書は淡く輝き、国王の手を離れて宙に浮いた。ページがパラパラとめくられ、輝きはより強くなっていく。
『愚かな人の子よ。我に何を望み、何を求める?』
「私たちの国アドニア王国は、侵略の危機に面している。わが王家に代々伝わるこの”禁断の書”の悪魔の御力を借り、これを退けたいのだ」
『愚かな人の子よ、お前は何を差し出すのだ?』
「あなたが望むままに、差し出しましょう」
禁断の書の輝きが、すうっと消えた。本が浮くのを止め、地に落ちる。
「こ、国王?」
側近の一人が震えながら訪ねる。が、国王は見向きもしなかった。
『これが人の体という物か、なかなか面白いではないか』
国王の口から発せられる声。それは悪魔の声だった。
『この男、大したものだ。本当に差し出すとは…』
悪魔は声を調節し、やがて国王の声と同じものになった。
「貴様ら、何を突っ立ているのだ?状況を教えろ、契約通り、望みをかなえてやらなけらばいけぬのだ」
国王の姿をした悪魔は、口の端を釣り上げて笑った。悪魔のような笑みだった。
そう、宝物庫で悪魔を探す話に。
亡き父ー前国王が残した言葉、「なにか危機に面することがあれば、宝物庫を探れ」と。
「国王、これは…?」
「なんだ?」
側近の一人が持っていたのは古びた書物だった。古代語と思しき文字に、金の装飾は半分ほど剥がれ落ちている。
「これが”禁断の書”か…言い伝え通りのものだな」
国王は本のほこりを払い落し、そっと表紙に触れた。
「封じられし悪魔よ、我の名のもとに復活し願いを叶えよ。そなたの望む対価を差し出し、報いることを誓おう」
禁断の書は淡く輝き、国王の手を離れて宙に浮いた。ページがパラパラとめくられ、輝きはより強くなっていく。
『愚かな人の子よ。我に何を望み、何を求める?』
「私たちの国アドニア王国は、侵略の危機に面している。わが王家に代々伝わるこの”禁断の書”の悪魔の御力を借り、これを退けたいのだ」
『愚かな人の子よ、お前は何を差し出すのだ?』
「あなたが望むままに、差し出しましょう」
禁断の書の輝きが、すうっと消えた。本が浮くのを止め、地に落ちる。
「こ、国王?」
側近の一人が震えながら訪ねる。が、国王は見向きもしなかった。
『これが人の体という物か、なかなか面白いではないか』
国王の口から発せられる声。それは悪魔の声だった。
『この男、大したものだ。本当に差し出すとは…』
悪魔は声を調節し、やがて国王の声と同じものになった。
「貴様ら、何を突っ立ているのだ?状況を教えろ、契約通り、望みをかなえてやらなけらばいけぬのだ」
国王の姿をした悪魔は、口の端を釣り上げて笑った。悪魔のような笑みだった。
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