サクラ
#1
「起きなさい!」
お母さんの声で僕は目覚めた。
時計を見ると、7時36分を指していた。
もう、こんな時間かと、急いで支度を始めた。
今日も平凡な僕の一日が始まる。
「おっはよーっ!」
うるさい、[漢字]斎藤[/漢字][ふりがな]ともだち[/ふりがな]の挨拶で完全に目が覚めた。
「あ、斎藤。おはよ。」
僕は、いつも通りに返した。
今日は、バレンタインという、陰キャでクソダサな僕にとって嫌いな行事があるという。正直、休みたかったんだけどね。
前を歩いている女子3人組は、とあるクラスの陽キャイケメン男子にチョコをあげるみたいだ。
「ねえ、ねえ![小文字]桜って、風太くんにチョコあげるんでしょ![/小文字]」
「チョコ持ってきた??」
「うん!!!持ってきた。今回はめっちゃ自信がある!」
とあるクラスの陽キャイケメン男子は田中 風太という人だ。
「…まじでいいよな、風太。どうせ今年も何十個とチョコもらえるんだろ?」
「うん。絶対そうだね。」
イケメンだからしょうがないが、なんとなく羨ましい気持ちもあった。
「あーあ。俺もイケメンが良かったなぁ。」
「斎藤はイケメンだろ。」
「そうか?それほどでもー…照」
ちょっと、鼻についたが事実なので、気持ちを抑えることにした。
「まじで、今回さぁ。[小文字]告白しようかな[/小文字]って思ってる。」
「応援してる!!!」
「影から見てていい??」
「今回は、ごめん!二人っきりがいいな。」
「全然いいよ!なんかごめんね!」
「遠くから祈ってるから!!!」
「本当に感謝」
女子3人組の声が、もっと大きくなったので、二人で聞いていた。
「記事になりそうなくらい、驚いたニュースが来たぜ。」
「僕も聞いちゃったよ。」
すると、突然女子3人組がこっちを向いてきた。
「あのさ。桜がさ、色々話してるのを、こっそり聞かないでくれない?」
「え、いや…彩花ちゃん…そんな言わなくてもいいよ…!」
「でも桜、こうやって噂が広がって本人まで広がったらどうするの?」
「うーん…じゃあ、二人とも。一生のお願い!他の人に言わないで!!!お願いします!!!」
「えー。まあ、いっか。今回だけ俺は言わないでおくわ。お前は?」
一瞬、他の男子に言いふらすという行為がよぎったが、そんなことすると女子たちにボコボコにされそうだから、そんな考えをやめた。
「僕も秘密にしときます。」
「ありがとう…!」
「桜、本当に良かったの!?まあ、いいや。行くよ!」
「うん…!」
3人組が前を向いたと同時に、僕らは顔を合わせて、目を数回パチパチとさせた。
「やべーな。マジのことらしいぜ?」
「僕もびっくりだった。」
キーンコーンカーンコーン…
「お前。桜に異常な動きあったか?」
「なかった。ってことは、まだ告白していないってことだね。」
「結果が気になりすぎて、やっばい。」
「斎藤、桜のこと好きなの?」
「別に。気になるだけ。これが青春ってもんか。」
「うーん…多分?」
こんなことを話している間に桜は消えていた。
今は、昼休みの時間。タイミング的には悪いかもしれない。
僕がイメージする告白の時間帯は放課後だったが以外だ。
「ねえ。」
「なんだ?」
「桜がいない。」
「おっ。ついに行ったか。」
桜は当然だが、 僕もなぜか緊張する。
告白が[太字]成功[/太字]してほしいって言う気持ちと、
告白が[太字]失敗[/太字]してほしいって言う気持ちがあるからかな。
「なあ?」
いつの間にか斎藤の姿は消え、女子3人組の桜を除いた2人のところへ行っていた。
「何?まさか、広げてないでしょうね??」
「広げてない、広げてない笑」
僕は恥ずかしくて、話に入り込めないよ。斎藤、早く戻ってこい!
「おい、瑠夏!一緒にこいつらと祈ろうぜ!」
「意外と優しいのね。」
「あ?俺は年中無休で優しいし。」
「あっそ」
僕は、少し安心した。
「今行く!」
キーンコーンカーンコーン…
「そろそろ、桜が帰ってくる頃だね。」
「緊張するーっ」
「男子たちは、一回どっかに行って。後で結果伝えるから。」
「はぁ!?いいじゃねぇかよ!」
「大人数でいたら困るし、男子いたら困るでしょ!」
「ああ、もうわかったわかった。瑠夏行くぞ!」
「あ、うん…。」
僕たちは、教室の隅っこで緊張しながら二人で話してた。
「大丈夫かな。」
「きっと大丈夫だろ。成功する。」
「うん……。そうだね…。」
授業がもうすぐ始まる。
桜が全然帰ってこない。なんでだろう。
気づけば、桜のリュックもなくなっていた。先生が回収していったのかな。
「桜のリュックがない。全然気づかなかった。」
「嘘だろ!?本当だ。俺も気づかなかった。早退か?」
「可能性はある。」
「授業始めるぞー」
先生の声が教室に響いた。
桜…。ずっと、田中さんが好きだったんだ。
気づかなかった。僕としたことが。
また、小さい頃のときのように、二人っきりで遊びたい。
そんなことだけが頭の中にあった。
幼馴染、女子で桜しかいないんだ。
[太字]ずっと好きなんだ。[/太字]
「じゃあ、ここは…倉員!お前答えろ。」
「あ、はい…。えっと、32πcm³です。」
「正解。じゃあ………」
キーンコーンカーンコーン…
気づけば放課後。僕は大人しく家に帰った。
女子に聞くと、おそらく告白失敗したんだそう。
詳しくは聞いていない。
明日、来るのかな…。
今度は、僕が伝えてみようかな。
「起きなさい!って…いない!?瑠夏ー?どこー?」
「あ、ごめん!今、トイレ中。」
「起きるの早いわね。いいことでもあったのかしら。」
「なんにもないよ」
張り切りすぎてしまったかな。
斎藤にも一応相談した。「頑張れよ」って。
今の状態でも、僕の気持ちを受け止めてくれるかな。
大丈夫。僕ならいける。
「おい…。お前、マジで行くのかよ!?」
「うん、行く。」
「桜が学校に来なかったらどうするんだよ。」
「その時は考える。」
「まあ、俺は応援しかできないから。頑張れ!」
「ありがとう」
僕は少しニヤけてしまった。
キーンコーンカーンコーン…
…!?桜がいない。
まあ、それはそうだ。失恋をしたからな。
[太字]ん?もしかしたら、あそこにいるかも…。[/太字]
「倉員、おはよ。」
「あ…おはようございます。」
「ごめんだけどさ、私聞いちゃった。」
「何を…?」
「お前が告白するっていう話。」
「え、聞いてたんですか…?」
桜の友達が知っているのは意外だ。斎藤にしか言っていないはず。
「なんで知ってるんですか?」
「登校中に聞いちゃったんだよね。」
「お願いです。広めないでください!」
「え、全然いいよ。昨日は、ありがとう。」
そしたら、桜の友達は自分の机へ戻っていった。
「ここが、〇〇で…」
僕は勇気を出して言った。
「先生…!」
「ん?なんだ?」
視線が少し怖かった。
「体調が悪いので、保健室へ行ってもいいですか。」
「ああ。一人でもいけるか?まあ、斎藤。ついていけ。」
「あ、はーい」
「なんとか抜け出せた。」
「お前、今からなにするんだよ。」
「なんとか早退をして、桜に会いに行くんだ。」
「家まで行くのか?」
「違う。」
「そうか。まあ、いいや。頑張ってくれ。」
「うん。ありがとう。」
コンコン…
「失礼します。」
僕は色々と仮病を使い、早退というところまで持ってくることができた。
「…親御さんには言わなくていいね。」
「え、なんでですか?」
「君が一番わかっているんじゃないかな?君が今していることは、仮病だね?」
「…」
「なんか特別な理由があるはず。ちょっと、聞きたいな。」
「簡単に言うと、恋をしているんです。その人に会いに行きたいというか…。」
「そっかぁ。じゃあ、秘密にしておくから、行っておいで。こっちはなんとかしておくね。」
「え、ありがとうございます…!!!」
「いってらっしゃい」
やっぱりいた。
「桜。」
「え。なんでいるの。」
「あ、会いに来た。」
「…え?」
やばい。緊張しすぎて声が出ない。
「なんで、ここだってわかったの…?」
「昔、桜がここの桜の木の下のベンチが一番落ち着くって言っていたから。」
「そっか。幼馴染だもんね。」
桜はニコッと笑った。
「ごめん。もう少し、私と一緒にいてくれる…?」
「うん」
「……失恋した。でも…瑠夏が来てくれてホッとした。ごめんね。」
「ううん。全然。」
「じゃあ、本題入ろっか。瑠夏、いいよ。」
「え…あ…うん。」
心を落ち着かせて言いたいが、全然落ち着かない。
もう、勢いで行くしかない…!
「好きです!こ、こんな僕ですが!」
「ありがとう。」
という言葉と同時に急に僕に抱きついてきた。
「…!?」
桜は泣いていた。
「私も…好きだよ!!!」
僕は驚いて何もできなかった。
桜の木が示してくれたから、桜を見つけられた。
ありがとう。
お母さんの声で僕は目覚めた。
時計を見ると、7時36分を指していた。
もう、こんな時間かと、急いで支度を始めた。
今日も平凡な僕の一日が始まる。
「おっはよーっ!」
うるさい、[漢字]斎藤[/漢字][ふりがな]ともだち[/ふりがな]の挨拶で完全に目が覚めた。
「あ、斎藤。おはよ。」
僕は、いつも通りに返した。
今日は、バレンタインという、陰キャでクソダサな僕にとって嫌いな行事があるという。正直、休みたかったんだけどね。
前を歩いている女子3人組は、とあるクラスの陽キャイケメン男子にチョコをあげるみたいだ。
「ねえ、ねえ![小文字]桜って、風太くんにチョコあげるんでしょ![/小文字]」
「チョコ持ってきた??」
「うん!!!持ってきた。今回はめっちゃ自信がある!」
とあるクラスの陽キャイケメン男子は田中 風太という人だ。
「…まじでいいよな、風太。どうせ今年も何十個とチョコもらえるんだろ?」
「うん。絶対そうだね。」
イケメンだからしょうがないが、なんとなく羨ましい気持ちもあった。
「あーあ。俺もイケメンが良かったなぁ。」
「斎藤はイケメンだろ。」
「そうか?それほどでもー…照」
ちょっと、鼻についたが事実なので、気持ちを抑えることにした。
「まじで、今回さぁ。[小文字]告白しようかな[/小文字]って思ってる。」
「応援してる!!!」
「影から見てていい??」
「今回は、ごめん!二人っきりがいいな。」
「全然いいよ!なんかごめんね!」
「遠くから祈ってるから!!!」
「本当に感謝」
女子3人組の声が、もっと大きくなったので、二人で聞いていた。
「記事になりそうなくらい、驚いたニュースが来たぜ。」
「僕も聞いちゃったよ。」
すると、突然女子3人組がこっちを向いてきた。
「あのさ。桜がさ、色々話してるのを、こっそり聞かないでくれない?」
「え、いや…彩花ちゃん…そんな言わなくてもいいよ…!」
「でも桜、こうやって噂が広がって本人まで広がったらどうするの?」
「うーん…じゃあ、二人とも。一生のお願い!他の人に言わないで!!!お願いします!!!」
「えー。まあ、いっか。今回だけ俺は言わないでおくわ。お前は?」
一瞬、他の男子に言いふらすという行為がよぎったが、そんなことすると女子たちにボコボコにされそうだから、そんな考えをやめた。
「僕も秘密にしときます。」
「ありがとう…!」
「桜、本当に良かったの!?まあ、いいや。行くよ!」
「うん…!」
3人組が前を向いたと同時に、僕らは顔を合わせて、目を数回パチパチとさせた。
「やべーな。マジのことらしいぜ?」
「僕もびっくりだった。」
キーンコーンカーンコーン…
「お前。桜に異常な動きあったか?」
「なかった。ってことは、まだ告白していないってことだね。」
「結果が気になりすぎて、やっばい。」
「斎藤、桜のこと好きなの?」
「別に。気になるだけ。これが青春ってもんか。」
「うーん…多分?」
こんなことを話している間に桜は消えていた。
今は、昼休みの時間。タイミング的には悪いかもしれない。
僕がイメージする告白の時間帯は放課後だったが以外だ。
「ねえ。」
「なんだ?」
「桜がいない。」
「おっ。ついに行ったか。」
桜は当然だが、 僕もなぜか緊張する。
告白が[太字]成功[/太字]してほしいって言う気持ちと、
告白が[太字]失敗[/太字]してほしいって言う気持ちがあるからかな。
「なあ?」
いつの間にか斎藤の姿は消え、女子3人組の桜を除いた2人のところへ行っていた。
「何?まさか、広げてないでしょうね??」
「広げてない、広げてない笑」
僕は恥ずかしくて、話に入り込めないよ。斎藤、早く戻ってこい!
「おい、瑠夏!一緒にこいつらと祈ろうぜ!」
「意外と優しいのね。」
「あ?俺は年中無休で優しいし。」
「あっそ」
僕は、少し安心した。
「今行く!」
キーンコーンカーンコーン…
「そろそろ、桜が帰ってくる頃だね。」
「緊張するーっ」
「男子たちは、一回どっかに行って。後で結果伝えるから。」
「はぁ!?いいじゃねぇかよ!」
「大人数でいたら困るし、男子いたら困るでしょ!」
「ああ、もうわかったわかった。瑠夏行くぞ!」
「あ、うん…。」
僕たちは、教室の隅っこで緊張しながら二人で話してた。
「大丈夫かな。」
「きっと大丈夫だろ。成功する。」
「うん……。そうだね…。」
授業がもうすぐ始まる。
桜が全然帰ってこない。なんでだろう。
気づけば、桜のリュックもなくなっていた。先生が回収していったのかな。
「桜のリュックがない。全然気づかなかった。」
「嘘だろ!?本当だ。俺も気づかなかった。早退か?」
「可能性はある。」
「授業始めるぞー」
先生の声が教室に響いた。
桜…。ずっと、田中さんが好きだったんだ。
気づかなかった。僕としたことが。
また、小さい頃のときのように、二人っきりで遊びたい。
そんなことだけが頭の中にあった。
幼馴染、女子で桜しかいないんだ。
[太字]ずっと好きなんだ。[/太字]
「じゃあ、ここは…倉員!お前答えろ。」
「あ、はい…。えっと、32πcm³です。」
「正解。じゃあ………」
キーンコーンカーンコーン…
気づけば放課後。僕は大人しく家に帰った。
女子に聞くと、おそらく告白失敗したんだそう。
詳しくは聞いていない。
明日、来るのかな…。
今度は、僕が伝えてみようかな。
「起きなさい!って…いない!?瑠夏ー?どこー?」
「あ、ごめん!今、トイレ中。」
「起きるの早いわね。いいことでもあったのかしら。」
「なんにもないよ」
張り切りすぎてしまったかな。
斎藤にも一応相談した。「頑張れよ」って。
今の状態でも、僕の気持ちを受け止めてくれるかな。
大丈夫。僕ならいける。
「おい…。お前、マジで行くのかよ!?」
「うん、行く。」
「桜が学校に来なかったらどうするんだよ。」
「その時は考える。」
「まあ、俺は応援しかできないから。頑張れ!」
「ありがとう」
僕は少しニヤけてしまった。
キーンコーンカーンコーン…
…!?桜がいない。
まあ、それはそうだ。失恋をしたからな。
[太字]ん?もしかしたら、あそこにいるかも…。[/太字]
「倉員、おはよ。」
「あ…おはようございます。」
「ごめんだけどさ、私聞いちゃった。」
「何を…?」
「お前が告白するっていう話。」
「え、聞いてたんですか…?」
桜の友達が知っているのは意外だ。斎藤にしか言っていないはず。
「なんで知ってるんですか?」
「登校中に聞いちゃったんだよね。」
「お願いです。広めないでください!」
「え、全然いいよ。昨日は、ありがとう。」
そしたら、桜の友達は自分の机へ戻っていった。
「ここが、〇〇で…」
僕は勇気を出して言った。
「先生…!」
「ん?なんだ?」
視線が少し怖かった。
「体調が悪いので、保健室へ行ってもいいですか。」
「ああ。一人でもいけるか?まあ、斎藤。ついていけ。」
「あ、はーい」
「なんとか抜け出せた。」
「お前、今からなにするんだよ。」
「なんとか早退をして、桜に会いに行くんだ。」
「家まで行くのか?」
「違う。」
「そうか。まあ、いいや。頑張ってくれ。」
「うん。ありがとう。」
コンコン…
「失礼します。」
僕は色々と仮病を使い、早退というところまで持ってくることができた。
「…親御さんには言わなくていいね。」
「え、なんでですか?」
「君が一番わかっているんじゃないかな?君が今していることは、仮病だね?」
「…」
「なんか特別な理由があるはず。ちょっと、聞きたいな。」
「簡単に言うと、恋をしているんです。その人に会いに行きたいというか…。」
「そっかぁ。じゃあ、秘密にしておくから、行っておいで。こっちはなんとかしておくね。」
「え、ありがとうございます…!!!」
「いってらっしゃい」
やっぱりいた。
「桜。」
「え。なんでいるの。」
「あ、会いに来た。」
「…え?」
やばい。緊張しすぎて声が出ない。
「なんで、ここだってわかったの…?」
「昔、桜がここの桜の木の下のベンチが一番落ち着くって言っていたから。」
「そっか。幼馴染だもんね。」
桜はニコッと笑った。
「ごめん。もう少し、私と一緒にいてくれる…?」
「うん」
「……失恋した。でも…瑠夏が来てくれてホッとした。ごめんね。」
「ううん。全然。」
「じゃあ、本題入ろっか。瑠夏、いいよ。」
「え…あ…うん。」
心を落ち着かせて言いたいが、全然落ち着かない。
もう、勢いで行くしかない…!
「好きです!こ、こんな僕ですが!」
「ありがとう。」
という言葉と同時に急に僕に抱きついてきた。
「…!?」
桜は泣いていた。
「私も…好きだよ!!!」
僕は驚いて何もできなかった。
桜の木が示してくれたから、桜を見つけられた。
ありがとう。
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