ｶﾞﾁｬｯ🚪


私「行ってきま〜す」


私はいつも通り、家を出て踏切へと向かう。


私にとってその踏切は大好きな場所。


毎日決まった時間に、大好きな先輩がいるからだ。


かっこよくて、おまけにくしゃっと笑った顔は可愛らしい。


自分も、あんなひとになりたかったなぁ〜。


いつも先輩に会うたびに、自分が情けないと思ってしまう。


[下線]「生まれ持ったものだから、仕方ないよ」[/下線]


あの''人''が放った言葉が蘇る。


ほんとに、そうなの....かな....



そんなことを考えていても仕方がない。


とりあえず、踏切まで行こう。





涼しい風が吹いて、すごく肌寒い。



上着でも、持ってこればよかったのに


でもなんだか、普通の肌寒さじゃない。　


何かが、起こりそうな.....。




先輩の姿が踏切の近くに立っているのを見つけたとき、心の中で不安が広がっていった。


先輩は周囲の音を無視するかのように、ただ静かに佇んでいた。


私は、先輩の表情に何か特別なものを感じ取っていた。


いつもは明るくて元気な先輩が、今日はどこか影が差しているように見えた。


「先輩、早く避けて！」と叫びたかったけれど、声が出なかった。


心の中で叫ぶだけで、体が動かない。


先輩の目が空を見上げているのを見て、何かが違うと感じた。


これまでの先輩の姿とはまるで違っていた。


その瞬間、先輩がこちらを振り向いた。


先輩の目が私を捉え、その顔には微笑みが浮かんでいた。


まるで、何かを決意したかのような表情だった。


私はその光景を目の当たりにして、胸が締め付けられる思いがした。




「私が良いから、良いんだよ。」





先輩はそう言い、穏やかな笑顔を浮かべた。


その瞬間、私の心は凍りついた。


何を言っているの？どういう意味なの？


先輩のその言葉が、私の脳裏に焼き付いて離れなかった。


「先輩、お願い、そんなこと言わないで！」


私は心の中で叫ぶ。


しかし、先輩の表情は変わらず、まるで何かを受け入れているかのようだった。


先輩は、深い闇の中にいるように見えた。


先輩の目の奥には、どこか諦めたような光が宿っていた。


まるで、先輩自身が自らの運命を選んでいるかのようだった。


私は、何もできずにただその場に立ち尽くすしかなかった。


その時、電車の音がますます大きく響き渡る。


警報音が鳴り響く中、先輩はまだ動こうとしない。


先輩が何を考えているのか、私には分からなかった。


ただ、先輩がこの瞬間を選んでいるということだけが、胸を締め付ける真実だった。




「先輩、お願い、逃げて！」





私の心の叫びが、再び響き渡る。


だけど、先輩は無言で微笑み続けていた。


その瞬間、電車が踏切を通過する音が聞こえ、時間が止まったように感じた。


先輩の微笑みは、まるで運命を受け入れるかのように、静かにその場に立っていた。


私の心は悲しみと絶望でいっぱいになり、涙が頬を流れ落ちた。


「私が良いから、良いんだよ。」その言葉が耳の中で繰り返され、心が崩れそうになった。


先輩が本当に求めていたものは、私には理解できなかった。



運命の瞬間が訪れ、私は先輩の姿を目の前に、ただ無力感に苛まれるしかなかった。


先輩の微笑みが永遠に私の心に刻まれることになった。


これが、私の初恋。