源氏物語~叶わぬ恋~
私は母の顔を知りません。
儚げでとても美しく、優しい人だったと言います。いまの僕には母がいませんが、父がとても優しくしてくれます。
でも……、私は心の奥底にある寂しさが拭えません。
私の母は身分の低い人でした。この時代、妻が何人もいたから、父上の妻であっても、なかなか愛される対象にはならなかったのです。
しかし、ある夜ーー。
“みゃ~!”
外で猫が美しく泣いています。
“みゃー、みゃ~!”
よく見ると、その猫は木の上にいて、怖くて降りられなくなってしまったようです。
私の母は、豪雨のなか外に出て、その猫を助けました。そして慌てて木から下りると…。
“あっ…、どうも”
一人の美しい男がいたのです。その人は……夫である帝でした。
“み、帝……”
“……、その猫は?……ずっと探していたんだ”
“えっ、帝の猫だったのですか”
母は驚いて帝に猫を渡します。
“ありがとう、えっと……”
“あっ、桐壷……です”
あまり関わったことがなかったから名前も知らなかったそうです。
あの日以来、帝は桐壷の部屋へ通うようになりました。
けれど……。桐壷より身分の高い人達からの嫉妬がやみませんでした。
やがて私の母は病気になり、私と父上だけを残して、あの世へ去ってしまったのです。
儚げでとても美しく、優しい人だったと言います。いまの僕には母がいませんが、父がとても優しくしてくれます。
でも……、私は心の奥底にある寂しさが拭えません。
私の母は身分の低い人でした。この時代、妻が何人もいたから、父上の妻であっても、なかなか愛される対象にはならなかったのです。
しかし、ある夜ーー。
“みゃ~!”
外で猫が美しく泣いています。
“みゃー、みゃ~!”
よく見ると、その猫は木の上にいて、怖くて降りられなくなってしまったようです。
私の母は、豪雨のなか外に出て、その猫を助けました。そして慌てて木から下りると…。
“あっ…、どうも”
一人の美しい男がいたのです。その人は……夫である帝でした。
“み、帝……”
“……、その猫は?……ずっと探していたんだ”
“えっ、帝の猫だったのですか”
母は驚いて帝に猫を渡します。
“ありがとう、えっと……”
“あっ、桐壷……です”
あまり関わったことがなかったから名前も知らなかったそうです。
あの日以来、帝は桐壷の部屋へ通うようになりました。
けれど……。桐壷より身分の高い人達からの嫉妬がやみませんでした。
やがて私の母は病気になり、私と父上だけを残して、あの世へ去ってしまったのです。
このボタンは廃止予定です