文字サイズ変更

あの春の日、手に取った花 編集版

#41

そら

誰かと手を繋ぐ。ハグをする。並んで歩く。笑い合う。沈黙を共有する。
そういう静かな時間が、私の過去の荒れ果てた時間を満たしてくれた。
そら。
その子の名前は、そらだった。
純粋な名前で、心も純粋だった。
私は彼女から与えられる幸せの一時に夢中になって、中学時代を過ごした。
もう、友達のいない空間にいる必要はないという幸せ。少しは家庭のことを気にせず、学校に楽しくいられて、誰かと話せるという安堵。

けれど、彼女とあったのが、そもそも間違いだった。

彼女は私を置いて、友達を増やしていった。
私は捨てられたも当然だった。
普通の子なら、こんなふうに思わないかもしれない。私は自分が正常ではないのを実感しながら、そらを憎んだ。心の底から。私を置いていったそらを。
私は彼女ともう関わりたくなくて、喋ったら本音をぶちまけてしまいそうで、部活には行かなかった。
彼女はそれに何も口出ししなかった。私は忘れられた。
それから私は絶望の日々を過ごした。
インスタのストーリーに、彼女と"イツメン"との写真や手紙の内容が載せられる度、私は胸が傷んだ。
もうどうしようとなく、彼女との暖かな日々に浸かっていたのだ。
廊下で、いつもの5人グループと楽しそうにしているのを見て、息が詰まりそうだった。
私は、勇気をだして、久しぶりに部活に参加した。
その帰り道で、あの子は、
"私は友達がいるから、もう大丈夫"
と言った。怒りよりも、悲しみの方が強かった。
別に彼女は私を見下した訳じゃない。そういうふうに、遠慮のない物言いをする子なのだ。前からそうだった。
もう大丈夫。その言葉が、どれほど私の傷ついた心に突き刺さったか。幸せな日々を過ごしているあの子には分からない。
私はそれからそらのことしか考えなかった。廊下ですれ違っても、目が合わなかった。
私はある日、そらを含む5人グループが校庭を彷徨いているのに気づいて、そこに駆け寄った。何をしているんだろう、と自分の行動に震えた。
"そらぁ.........ッ!"
私は泣いた。そして小さく彼女の名前を呼んだ。気づけば、彼女の制服の襟を掴んでいた。周りのことなんか気にならなかった。
"どうして.........!どうしてなのぉぉ.........ッ....."

このボタンは廃止予定です

2024/02/06 19:27

礼舞 ID:≫9pQX94SwwU0Ws
続きを執筆
小説を編集
/ 43

コメント
[0]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL