僕、もう昨日のことは考えるな………。
奏の言葉が悟っているように聞こえるのは僕が敏感になりすぎてるからだ。
落ち着け…落ち着け…………。
“恭！行こう、行こう！”
奏が下へ降りようと僕を誘う。
凪さんは先に下に降りてしまったから、僕たちは遅れて階下へ降りた。

“じゃあ、ありがとうございました”
僕と奏は、朝ご飯を食べてすぐに出ることになった。
凪さんが荷物を運ぶのを手伝ってくれる。
“恭君、まだ運ぶのいっぱいあるよ”
優しく僕に笑いかける凪さん。
奏は、一生懸命に貰い物なのを運び込んでいた。
奏は慎重だからな、この辺は任せたほうがいいかもな。まぁほとんど食べ物なんだけど……。
“ねぇ恭！これ、手伝って～”
奏が手を振ってきた。
うわぁ、凄い重そうなの置かれてる！
慌てて奏に駆け寄った。
“ごめん、ごめん！”
“もう！少しは役に立ってよ！”
ツンツンしながらも、嬉しそうに笑ってしまっている。
つくづく可愛いな。
“いいよ、いいよ。まったく、可愛いなお前は”
これは……嘘じゃなかった。
“………、な、…何よ…”
奏は恥ずかしそうにして僕を見つめた。嬉しかった。