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あの春の日、手に取った花 編集版

#34


私が久しぶりに、世に受けるような舞台に出る。それは大きなニュースになって、各地で私の特集ばかりにスポットが当てられた。
私は演技が上手いのだろうか。顔が良い、目が良いと言う人もいる。
私は自分が顔で売れてるなんて信じたくない。私は演技が好き。演技で皆に認められたい。だから…今回の舞台を逃がすわけにはいかない!

“こんにちはー”
役者仲間の琉桜ちゃんと目が合って、声をかけた。
“あら、凪じゃない。あなた、まだいたんだ”
意外そうに声をかけられた。
この舞台で子役時代に一緒に共演したことがあるのは琉桜ちゃんだけだ。
あの頃の私は完璧だった…らしい。今の私は完璧でないのかと問うと、
“なんだかぽーとしているときがある”
と言われた。
“何か考え事をしてるみたいな”
確かに最近誰かのことを考えていて、上手く台本を覚えられないし、立ち位置を忘れたりもする。そこはしっかり反省して直そうとしているのに、私の頭の中には…あの人のことばかりが…!
“ま、いいわ。頑張りましょ”
薄く微笑まれて、慌てて愛想笑いを作る。私は最近嘘の笑顔しか付いていないのか。
いや、つけないのだ。だって小さい頃愛情はもらえたけど、お母さんのだけで、ビジネス的な関係で…年上の男にもらわれていって、多分私は恋愛視されてない。でも最近、唯一私を本当に愛してくれたのが…恭君だったんだ。それはいけないことかもしれないけれど。あの人は、私に愛を注いでくれる。長年植えてた愛を。……でも…それなはあの人も同じなのかも………。

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2023/08/24 08:59

礼舞 ID:≫5pGdECtpkmy/Y
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