あの春の日、手に取った花 編集版
凪さんの体を抱き締め返す。その温もりを今でも覚えている。
あぁ…お母さんのにおいも温もりもこんな感じだったのかな、と。
“う、…ぐっ……ッ!うわぁぁぁん……ッ!”
いつの間にか僕は彼女の腕の中で泣いていた。なぜかは分からない。
でも僕は確かに……寂しかった。
僕は凪さんを母だと思い、この人と話すことで心の傷を癒していた。
はっとすると、もう6時半を過ぎていた。急がないと。奏が待っている。
お皿を洗い場において出る。洗ってくれる人なんかいないから、帰ったら干からびてるだろう。
待ち合わせ場所の駅前に奏はいた。スマホをいじっていた。ここに来るまでスマホを開かなかったけれど、奏からLINEが来ていたのだろうか。だとしたら申し訳ない。
“奏!ごめん”
僕は即座に謝る。奏は声に気づいて、“もう。しっかりしてよね!”
と怒っている。
“ホントごめん!行こう!”
“もーう!”
奏が先頭を走る。彼女はとてもリーダーシップがあり、社交的だ。でも……、僕の好きなタイプではなかった。
女性ってよく化粧をするけど、僕は厚塗りの化粧が嫌いだ。ナチュラルな、自分をごまかしていないメイクがよい。
奏は…厚塗りだ。おまけに趣味もあまり合わない。じゃあ、別れろと思うかもしれない。しかし、僕たちは会社で結構有名なカップルみたいになってて、ぜんぜん別れる隙がなかった。おまけに友達の山中は、
“美男美女でお似合いじゃんか!ぜっー対、奏ちゃん逃がすな!”
とのことだ。
もちろん一緒にいて楽しいときもある。例えば、ご飯を美味しそうに食べるところとか、一緒にいて心地がよい。
だから、付き合っててもいいかなって思ったんだ。
あぁ…お母さんのにおいも温もりもこんな感じだったのかな、と。
“う、…ぐっ……ッ!うわぁぁぁん……ッ!”
いつの間にか僕は彼女の腕の中で泣いていた。なぜかは分からない。
でも僕は確かに……寂しかった。
僕は凪さんを母だと思い、この人と話すことで心の傷を癒していた。
はっとすると、もう6時半を過ぎていた。急がないと。奏が待っている。
お皿を洗い場において出る。洗ってくれる人なんかいないから、帰ったら干からびてるだろう。
待ち合わせ場所の駅前に奏はいた。スマホをいじっていた。ここに来るまでスマホを開かなかったけれど、奏からLINEが来ていたのだろうか。だとしたら申し訳ない。
“奏!ごめん”
僕は即座に謝る。奏は声に気づいて、“もう。しっかりしてよね!”
と怒っている。
“ホントごめん!行こう!”
“もーう!”
奏が先頭を走る。彼女はとてもリーダーシップがあり、社交的だ。でも……、僕の好きなタイプではなかった。
女性ってよく化粧をするけど、僕は厚塗りの化粧が嫌いだ。ナチュラルな、自分をごまかしていないメイクがよい。
奏は…厚塗りだ。おまけに趣味もあまり合わない。じゃあ、別れろと思うかもしれない。しかし、僕たちは会社で結構有名なカップルみたいになってて、ぜんぜん別れる隙がなかった。おまけに友達の山中は、
“美男美女でお似合いじゃんか!ぜっー対、奏ちゃん逃がすな!”
とのことだ。
もちろん一緒にいて楽しいときもある。例えば、ご飯を美味しそうに食べるところとか、一緒にいて心地がよい。
だから、付き合っててもいいかなって思ったんだ。
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