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あの春の日、手に取った花 編集版

#12


公演が終了して、もう色々な感情に押しつぶされてめちゃくちゃだった。
奏のあとをついていって会場を出た。
“はぁ、外暑いね”
奏が服をパタパタさせる。なんだか奏の顔はメイクが崩れてめちゃくちゃだった。泣いたからだろうか。
僕はメイクが崩れてることを言わなかった。彼女は真剣に見てたのだから、泣いたのを疑ってるのと同じだ。
“トイレ行こう”
彼女からトイレに誘ったから、これで顔に気付くだろう。
“うん、いいよ。”

やっぱり僕の方が先だ。奏は10分後に出てきた。お化粧直しに時間かかった、と苦笑いだった。
“今日は、なんか食べてく?”
“恭が言うなら、そうしよっか。”
僕たちは、駅前へ行った。
すると、丁度駅に向かっている役者の集団がいた。こっちは迷いやすい出口だから、返送する必要のないこちらの口へ来たのだろう。
“お母さん、いるんじゃない?”
と奏が少し距離を置いてくれたのが分かった。駆け寄って、話しに行けということだろうか。
僕があたふたしていると、役者達はトイレのため立ち止まっていた。
凪さんだけトイレに行かず、立ち止まっていたーー。

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2023/07/27 19:36

礼舞 ID:≫5pGdECtpkmy/Y
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