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あの春の日、手に取った花 編集版

#10

凪の実力⑤

舞台がはじまった。一気に場が静まる。
音楽が流れ始めると、奏が身を乗り出したのが分かった。
これから演じられるのはあの有名な、竹取物語だった。主人公のかぐや姫を演じるのは、小鳥遊凪だ。そういえば源氏物語の時もヒロインの藤壺だったよな。藤壺より若紫の方が有名でヒロイン的だが、抜擢されなかったのは年齢の問題だろう。
“竹取物語”
という役者全員の声が聞こえて、暗闇から役者全員が出てきた。真ん中が凪さんだ。
“恭のお母さんは?”
奏が小声で聞いてくる。
“真ん中”
と小声で返す。オッケーサインが帰ってきた。
やっぱり大女優だし、凪さんを見て生で圧倒されてみたいよな。奏は特に、こういうのには熱いから。

“都に行かないとだめなの?”
凪さんの黒い美しい瞳が訴えるのにとても惹かれた。
あぁ…、なんて熱意のある演技なんだろう。やっぱり、僕はこの人のこういうところが好きだ。どんなことにも情熱的で真面目なところ。憧れてしまう。
奏なんて、凪さんの熱意に、僕よりも心惹かれていることだろう。隣の奏の心情を空気で察する。

“わたくしは…どなたとも結婚したくありませぬ”
強い意志を訴える目。
あの人はいつも穏やかで、守ってあげたくなるような儚さがあったが、芯の強い目をしていた。
だからこの演技は、彼女の美しい目が役立つときだった。
もう彼女の情熱に吸い込まれそうだ。
もう…どうしようもなく…、彼女が好きだ。

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2023/07/27 18:59

礼舞 ID:≫5pGdECtpkmy/Y
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