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君の選択

#16

12話 忘

「お兄…ちゃん…?」
言葉を失うちよめをお兄ちゃんはぎゅっと抱きしめた。
溢れんばかりの涙を目に浮かべてお兄ちゃんは
「良かったね。」
と涙声を口にする。
だが、この再会の場だろうとトラウマはへばり付いてくる。
自分が暴走して、仲間を殺してしまったこと。
頭痛が酷い。
泣き笑いのような顔から笑みが消えた。
「どうしたんだい?」
不安げにお兄ちゃんが尋ねる。
「だ…大丈…夫」
その質問に、ちよめは無理をしたように言う。
明らかに大丈夫な声では無い。
「まあそこでじっとしててね。腕の骨、折れてるから。」
衝撃の告白にちよめは驚いた。
何故なら、痛みを感じなかったからである。
だが、そんな不思議を、ちよめは気にかけなかった。
ここに来てから、殆ど休むことができなかった。
そんなこともあってか、ちよめは寝てしまったのだ。
目が覚めた時、お兄ちゃんはお粥を運んでいた。
スプーン1杯のお粥をすくってお兄ちゃんが、
「はい、あーん」
と、してくる。

お湯の量を間違えた、薄い味がする。
なんだか懐かしい。
そうだ。
3年前の、あの風邪を引いた日。
お兄ちゃんは同じようにお粥を作ってくれた。
その時のお粥みたいな、なんだかうっかり屋さんなお兄ちゃんみたいな味。
ああ、そっか。懐かしい嬉しさってこれか。
忘れてた。


10日後…
すっかり骨が元通りになった(気がする)。
残った課題は2つ。
1.どう地上に出るか
2.お姉ちゃんを発見する

お姉ちゃんを探さなければ。
それは、とても困難な旅路の始まりだろう。
だが、2人が生きて帰えるには自分は犠牲になったっていい。
その想いをお兄ちゃんに伝えた…

お兄ちゃんは受け入れてくれそうだった。
だが、強さを証明しないとその旅には出さないと言った。

[中央寄せ]お兄ちゃんが立ちはだかった![/中央寄せ]
[中央寄せ] *殴る *説得 *殴るフリ *ナイフ[/中央寄せ]

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2024/05/25 23:34

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