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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#46

ep46 学歴警備員

[中央寄せ]時刻:8月18日10時50分
場所:くろめだか 1F 鮮魚コーナー [/中央寄せ]

京斗は鮮魚コーナーの角でビクついていた。また火の玉に出会ったらどうしようか。しかし、ビクついていては何もできない。ガタガタな決心を無理やり積み上げる。

「よし……怖いけど、行くか……!」

勇気を振り絞って立ち上がった。そこで真っ先に目に入ったのは、自分に向けられた[太字]懐中電灯[/太字]。なんと人がいたのだ。

藍色の警備服を着用しており、おそらく[太字]このスーパーの警備員[/太字]だろう。京斗は足早に立ち去ろうとするも、その男に呼び止められてしまった。

「ん?……待て!! [太字]テメエ何モンだァ!![/太字]」

耳を塞ぎたくなるような凄まじい声、反射的に思わず京斗は逃走してしまった。そんな事がありながらも、警備員の男は、休み時間の小学生のように楽しそうな表情をしていた。

「へぇ〜追いかけっこかァ!? そんなら、オレ[太字]たち[/太字]がサイキョーだぜぇぇ!!」

懐中電灯を振り回しながら、野性味あふれる走り方で突っ走る。
一方、京斗は荒い息を撒き散らしながら、逃げ彷徨っていた。

「……やっぱりだッ! やっぱり人がいたッ!!……ということは、[下線]あの火の玉はアイツが[/下線]……?」

驚愕の連鎖にもう心が持たない京斗も、一筋の予想を的中させたことでちょっぴり余裕が生まれてきた。

「……あれもただの能力の産物と考えてみれば、なんだか……怖くなくなってきたな……」

(……そもそもなんで怖がってるんだ?)

京斗はふと考え出した。

今も含めて、全ては[太字]兄を探すために始めた冒険[/太字]だ。その途中で見つけた『禁断の果実』という存在、人間のようで人間ではない敵。これだけ不思議な体験をしたというのに、今更この程度で怯えていては、誰も守れない。

(……そうだよな。僕はなんて意気地なしだったんだ……)

いつの間にか京斗の眼差しには、山から汲み取った真水のように透き通った光が生まれていた。

(すでに殺し合いが始まっているというのに……ボクに足らないのは心の強さだ。[太字]『足らず』を『足りる』に替えてやる……!![/太字])


逃げ足が完全に止まった。今からは駆け足のみ。握りしめた拳にあざとい光沢が纏わりついた。

警備員の男もすぐに追いつく。懐中電灯を指先でグルグルと操りながら、目の前の勇気のある侵入者に、ハッハッと口を開けて笑ってみせる。

「オレさまに勝てるとでも思ってんのかァ〜? ドナスヤローォァァ!!」

すると、男は懐中電灯を天井に向けた。その時、懐中電灯の光に[太字]火の玉が浮かび上がる[/太字]。あの時の火の玉だ。

「[太字]『ステレオフェニックス』[/太字]!! ドナスヤローをコゲドナスヤローに変えてやれッ!」

懐中電灯を前に振りかざした、その光を追ってくかのように火の玉が前へと飛び進む。

「……もうさっきまでのボクとは違うんだ……!!」

京斗は腕を振り抜く、俊足の水弾が火の玉に激突する。しかし、一瞬のうちに水は蒸発してしまった。この火の玉、かなりの高温を秘めている。

まだまだ勢いの止まらない火の玉、京斗は攻撃を身構える。だが、防御なんて無意味でしかなかった。火の玉は激速で京斗の体を通り抜けた。

すぐに痛みは感じず、それは遅れてやってくる。

通った痕から、身の焼き焦げるような苦痛が襲った。神経から来る痛みに耐えるなんて、どんな人間にも出来ない。

それは、火の玉の恐ろしさを伝えるには十分すぎた。もう抗ってはこないだろうと思ったのか、警備員の男はこちらへ歩み寄ってくる。

「どうしたァァ〜? さっきまで[下線]アレ[/下線]切ってただろォ? ……[太字]タンク[/太字]……じゃなくて、[太字]バンク[/太字]……でもなくて……」


「……[太字]タンカ[/太字]、じゃないのか?」

苦痛を抑えながら、京斗は答える。その瞬間、男は狂ったように怒りだした。



「[太字]ウッルセェェんだよォォ!![/太字] オレさまがショウソツなことをバカにしてんだろォォ!? さてはダイソツだなテメェ!!」

どうやら男の地雷を踏み抜いてしまったらしい、プライドを傷つけられた男は怒り狂っている。

「オレだって行けるなら行ってたんだよォ!! 今は、大学メザしてんだけどォ、[下線]上のヤツらが金を落とさねェんだ![/下線] 来年に、来年に、とか言われて延ばされたけどヨォ……ゼンゼン行ける気配がしねェ……」

「[太字]だから……[/太字]」


男は、懐中電灯を振り回しながら言った。


「[太字]オメェみてぇな侵入者をカエリウチにしてやれば、オレが大学に行けるカクリツが上がるって……思ってる[/太字]」


それはまさしく魂の叫びだった。自分の夢を語る姿に、ただ京斗は圧倒されていた。

「そうなのか……。だったら、お互い夢があるってことだな。夢は勝った方に訪れる」

お互いの夢の為、戦いは更に佳境を迎えることとなる。

作者メッセージ

人物紹介
名前:奥三界 白痴(おくさんがい はくち)年齢不詳
詳細:『くろめだか』の警備員。学歴にコンプレックスがある。
能力:『ステレオフェニックス』
   近くに光があるとき『火の玉』を生み出すことができる。この『火の玉』は、『何か』を感知して追跡する。命令は出来ない。
もしカジノに行ったら?:何も考えてない熟考で全て外していくタイプ

2025/02/10 19:11

ドレミファ・ソラティド ID:≫ 0.TrYh4UVMu/A
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