果実戦争
[中央寄せ]時刻:8月18日10時30分
場所:くろめだか付近[/中央寄せ]
「あそこか、例の闇ありまくりのスーパーは…」
「…な…なんかドキドキしてきた……」
京斗と巻機は、公園で敵から脅し聞いた情報を頼りに、一つのスーパーにたどり着いた。
スーパーの内装を見る限り、明かりは一個もついていない。今日は休業日らしい。しかし、そんなことは買い物目的ではない二人には関係なかった。
もしかしたら中に誰かがいるかもしれない、がらんどうに広い駐車場を物音立てずに歩いていく。砂利を踏んだ音さえも鳴らさないように、音を殺しながら壁へと近寄った。
外壁の白いコンクリートに背を付けると、二人は自然に止めてしまった息を激しく吐きだす。
そんなとき、吐息を打ち消すように、男の声がざわざわと壁を這って伝わってきた。若い声で、[下線]誰かと電話している様子[/下線]だった。
二人は角に身を隠し、電話の内容を盗み聞きする。
「____もしもーし?……[太字]『フルーツ』[/太字]の状況はどぉ?」
「……まあ、売れる分はあるかな…」
「オッケー!…………確か、[太字]一個盗られたんでしたっけ?[/太字]」
「……別に、気にしなくていいよ。もう終わったことだからね」
「は〜い……それじゃ用事が終わったら、ボクが回収向かいますねぇ〜」
「頼んだよ。…………そういえば、キミの組織は、今どんな感じなの?」
「あ〜……もうウチは崩壊寸前でぇ〜!…チョー大変なんですよぉ〜!」
[太字]『フルーツ』[/太字]
この言葉の裏を二人は知っている。それはそうだが、さらに京斗は[太字]『盗られた』[/太字]という事についても聞き覚えがあった。
[下線]自分の事を兄と勘違いしていた者たちが、話してきた内容と同じ内容だったのだ。[/下線]
「…………時間はあんまり無いみたいですね。あんなヤツに回収されるぐらいなら、ボクたちが先に見つけてやりましょうよ」
底しれぬ决意が京斗の心を奮い立てる。さっきの様子とは打って変わって心強さを感じる。
「…さっきまでドキドキしてる〜、とか言ってたくせに……まるで人が変わったみたいだぜ……ま、賛成だけどな」
そして、二人はスーパーの入口までたどり着いた。電気が通っていない自動ドアを無理やりこじ開ける。中はかなり広いし、結構暗い。
「……こりゃ広いな……」
二人は一歩踏み出した。黒いマットを踏みしめて、早速目に止まったのは野菜売り場。
もしかしたら、もしかすると普通の野菜に混じって置いてあるかも、とか考えていると…。
「……ん?」
京斗のスマホに[太字]一つの着信[/太字]が届いた。うるさい着信音を鳴らさないように服に押さえつけながら、電話に出る。
その相手は高校の同級生の[太字]『弘夢』[/太字]からだった。会うのは五ヶ月ぶり、彼とは友達だ。
「もしもし…弘夢? 久しぶりだけど、なにかあった?」
「……いや、別に何かあったわけでもないけど、久しぶりに声が聞きたくなって」
「……ちょっとゴメンけど、いまマジ忙しいんだ……後でかけ直して…」
「…………そうなんだ。じゃ、一旦切るね」
「…うん、バイバイ…」
何気ない電話を申し訳なく切った。
「じゃ、行きま…………」
そこに巻機の姿はなかった。よく子供から目を離すなとは言ったものだが、彼もそういうタイプなのか。
「……もう!! 何で先に行くかな……!?」
京斗は静かにふくれながら、真っ暗なスーパーに入り込んでいった。
その足取りは、ガクガクしていた。
場所:くろめだか付近[/中央寄せ]
「あそこか、例の闇ありまくりのスーパーは…」
「…な…なんかドキドキしてきた……」
京斗と巻機は、公園で敵から脅し聞いた情報を頼りに、一つのスーパーにたどり着いた。
スーパーの内装を見る限り、明かりは一個もついていない。今日は休業日らしい。しかし、そんなことは買い物目的ではない二人には関係なかった。
もしかしたら中に誰かがいるかもしれない、がらんどうに広い駐車場を物音立てずに歩いていく。砂利を踏んだ音さえも鳴らさないように、音を殺しながら壁へと近寄った。
外壁の白いコンクリートに背を付けると、二人は自然に止めてしまった息を激しく吐きだす。
そんなとき、吐息を打ち消すように、男の声がざわざわと壁を這って伝わってきた。若い声で、[下線]誰かと電話している様子[/下線]だった。
二人は角に身を隠し、電話の内容を盗み聞きする。
「____もしもーし?……[太字]『フルーツ』[/太字]の状況はどぉ?」
「……まあ、売れる分はあるかな…」
「オッケー!…………確か、[太字]一個盗られたんでしたっけ?[/太字]」
「……別に、気にしなくていいよ。もう終わったことだからね」
「は〜い……それじゃ用事が終わったら、ボクが回収向かいますねぇ〜」
「頼んだよ。…………そういえば、キミの組織は、今どんな感じなの?」
「あ〜……もうウチは崩壊寸前でぇ〜!…チョー大変なんですよぉ〜!」
[太字]『フルーツ』[/太字]
この言葉の裏を二人は知っている。それはそうだが、さらに京斗は[太字]『盗られた』[/太字]という事についても聞き覚えがあった。
[下線]自分の事を兄と勘違いしていた者たちが、話してきた内容と同じ内容だったのだ。[/下線]
「…………時間はあんまり無いみたいですね。あんなヤツに回収されるぐらいなら、ボクたちが先に見つけてやりましょうよ」
底しれぬ决意が京斗の心を奮い立てる。さっきの様子とは打って変わって心強さを感じる。
「…さっきまでドキドキしてる〜、とか言ってたくせに……まるで人が変わったみたいだぜ……ま、賛成だけどな」
そして、二人はスーパーの入口までたどり着いた。電気が通っていない自動ドアを無理やりこじ開ける。中はかなり広いし、結構暗い。
「……こりゃ広いな……」
二人は一歩踏み出した。黒いマットを踏みしめて、早速目に止まったのは野菜売り場。
もしかしたら、もしかすると普通の野菜に混じって置いてあるかも、とか考えていると…。
「……ん?」
京斗のスマホに[太字]一つの着信[/太字]が届いた。うるさい着信音を鳴らさないように服に押さえつけながら、電話に出る。
その相手は高校の同級生の[太字]『弘夢』[/太字]からだった。会うのは五ヶ月ぶり、彼とは友達だ。
「もしもし…弘夢? 久しぶりだけど、なにかあった?」
「……いや、別に何かあったわけでもないけど、久しぶりに声が聞きたくなって」
「……ちょっとゴメンけど、いまマジ忙しいんだ……後でかけ直して…」
「…………そうなんだ。じゃ、一旦切るね」
「…うん、バイバイ…」
何気ない電話を申し訳なく切った。
「じゃ、行きま…………」
そこに巻機の姿はなかった。よく子供から目を離すなとは言ったものだが、彼もそういうタイプなのか。
「……もう!! 何で先に行くかな……!?」
京斗は静かにふくれながら、真っ暗なスーパーに入り込んでいった。
その足取りは、ガクガクしていた。