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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#39

ep39 盗賊、『正す』

[中央寄せ]時刻:8月18日11時15分
場所:?????[/中央寄せ]


突然、真っ暗な場所に飛ばされた匡斌。
そこには黒い人影がいた。ヘルメットをかぶっている。


「…ここは?」

真っ黒な風景を前に、思わず疑問が口に出る。
さっきまで駐車場にいたはずだ。

何も理解できずに戸惑っていると、目の前から声が聞こえてきた。


[太字]「…ようやく、お前と話せるぜ」[/太字]


頼りがいが感じられる声、それは黒い人影からだった。



「あ……あなたは?」



「そうだな……今は[太字]『ゾク』[/太字]とでも呼んでくれ。ま、適当な呼び名だけどよ」


その人影はゾクと名乗る。
ゾクは、被っていた黒いヘルメットを脱いだ。

「えっと……ゾクさん……ここは一体、どこなんですか?」


心配交じりの問い。
ゾクは答える。


「落ち着いて聞いてほしい…………ここは、お前の[太字]【心の中】[/太字]だ」


「心…? ということは…じゃ、僕はどうなったんですか!?」


見慣れない光景、混乱が止まらない匡斌。


「大丈夫だ。お前はまだ死んじゃいない。ただし……死ぬ直前ではある」


「じゃあダメじゃないですか!」


「だから落ち着くんだッ!! まだお前には助かる運命がある。それに、[下線]うまくいけば、お前の仲間も助けることができるッ![/下線]」


ゾクの必死な言葉に、匡斌も少し状況を理解する。


「……まずは昔を思い出してみろ。何かに[太字]気づけるはず[/太字]だ」


そう言われた匡斌は、頭にしまわれていた記憶を掘り起こした。
それは、盗賊団を組むよりも前のことだ。


[水平線]


……あの時の僕は高校生だった。

やりたくもない勉強ばかりの苦痛な生活を繰り返していたときに、一個上の先輩の羽柴さんに出会った。


誰も持ってないようなカリスマ性を持っている羽柴さんは、僕にとっての光だった。


だけど、僕には自分でも嫌気がさすような短所がある。
それは[太字]自信が無いこと[/太字]。

今までも、それでいろんなチャンスを逃してきた。


やがて高校を卒業した後、僕たちは[太字]『叩鬼盗賊団』[/太字]を結成した。


盗賊団……正直言ってダサいと思った。
それもそのはず、この名前を考えたのは、現在進行形問題児こと嬴吉だ。


嬴吉とは違うクラスの同級生だったが、違うクラスの僕でさえもその存在を知っていた。


光のカリスマの羽柴さん、現在進行形問題児の嬴吉……。


……じゃあ[下線]、僕は一体何なんだ?[/下線]


カリスマ性なんて持ってないし、問題児になるような性格でもないし……[下線]僕はどういう人間なんだ?
[/下線]

何も思いつかない……


やっぱり、僕はこれっぽっちの人間なんだ……。




[水平線]


「…本当にそう思ってるのかよ?」


ゾクが口を開く。

匡斌は何も喋っていないのにも関わらず、まるで頭の中を見透かされたようだ。


「じゃあ何があるっていうんですか…!? [太字]僕の気持ちは他人に分かられるほど簡単じゃないんですよッ!![/太字]」


思わず怒りが爆発してしまい、言葉をぶつけてしまった。
涙が一滴だけ、こぼれ落ちた。


それでも、ゾクは動じずに話を続ける。


「それは俺だって分かってるさ。この場所を作り上げたのも、俺という存在を作ったのも……そう、お前なんだからな」


ゾクは、持っていた黒いヘルメットを黒い頭にかぶると、匡斌の胸を打ち付けるように言った。




「仲間と決めたんだろ。[太字]この馬鹿みたいな世界で生きていくって[/太字]」








[大文字]『盗賊』見せつけな[/大文字]



[水平線]


周りの世界が元に戻った。
銃を向けられている匡斌の目に、[太字]弱気[/太字]はなかった。


目の前のゲス野郎に必死に食らいこうとする、強い眼差し。


そこには[下線]常軌を逸脱している[/下線][太字]『狂気』[/太字]というより、この[下線]馬鹿みたいな世界を正す[/下線][太字]『匡気』[/太字]が秘められていた。


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作者メッセージ

外伝の更新が止まってるって?
本編終わってから更新しますのでお許しを!

2024/11/30 14:24

ドレミファ・ソラティド ID:≫3p6uB4x4cRRX.
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