果実戦争
[中央寄せ]時刻:8月18日11時15分
場所:?????[/中央寄せ]
突然、真っ暗な場所に飛ばされた匡斌。
そこには黒い人影がいた。ヘルメットをかぶっている。
「…ここは?」
真っ黒な風景を前に、思わず疑問が口に出る。
さっきまで駐車場にいたはずだ。
何も理解できずに戸惑っていると、目の前から声が聞こえてきた。
[太字]「…ようやく、お前と話せるぜ」[/太字]
頼りがいが感じられる声、それは黒い人影からだった。
「あ……あなたは?」
「そうだな……今は[太字]『ゾク』[/太字]とでも呼んでくれ。ま、適当な呼び名だけどよ」
その人影はゾクと名乗る。
ゾクは、被っていた黒いヘルメットを脱いだ。
「えっと……ゾクさん……ここは一体、どこなんですか?」
心配交じりの問い。
ゾクは答える。
「落ち着いて聞いてほしい…………ここは、お前の[太字]【心の中】[/太字]だ」
「心…? ということは…じゃ、僕はどうなったんですか!?」
見慣れない光景、混乱が止まらない匡斌。
「大丈夫だ。お前はまだ死んじゃいない。ただし……死ぬ直前ではある」
「じゃあダメじゃないですか!」
「だから落ち着くんだッ!! まだお前には助かる運命がある。それに、[下線]うまくいけば、お前の仲間も助けることができるッ![/下線]」
ゾクの必死な言葉に、匡斌も少し状況を理解する。
「……まずは昔を思い出してみろ。何かに[太字]気づけるはず[/太字]だ」
そう言われた匡斌は、頭にしまわれていた記憶を掘り起こした。
それは、盗賊団を組むよりも前のことだ。
[水平線]
……あの時の僕は高校生だった。
やりたくもない勉強ばかりの苦痛な生活を繰り返していたときに、一個上の先輩の羽柴さんに出会った。
誰も持ってないようなカリスマ性を持っている羽柴さんは、僕にとっての光だった。
だけど、僕には自分でも嫌気がさすような短所がある。
それは[太字]自信が無いこと[/太字]。
今までも、それでいろんなチャンスを逃してきた。
やがて高校を卒業した後、僕たちは[太字]『叩鬼盗賊団』[/太字]を結成した。
盗賊団……正直言ってダサいと思った。
それもそのはず、この名前を考えたのは、現在進行形問題児こと嬴吉だ。
嬴吉とは違うクラスの同級生だったが、違うクラスの僕でさえもその存在を知っていた。
光のカリスマの羽柴さん、現在進行形問題児の嬴吉……。
……じゃあ[下線]、僕は一体何なんだ?[/下線]
カリスマ性なんて持ってないし、問題児になるような性格でもないし……[下線]僕はどういう人間なんだ?
[/下線]
何も思いつかない……
やっぱり、僕はこれっぽっちの人間なんだ……。
[水平線]
「…本当にそう思ってるのかよ?」
ゾクが口を開く。
匡斌は何も喋っていないのにも関わらず、まるで頭の中を見透かされたようだ。
「じゃあ何があるっていうんですか…!? [太字]僕の気持ちは他人に分かられるほど簡単じゃないんですよッ!![/太字]」
思わず怒りが爆発してしまい、言葉をぶつけてしまった。
涙が一滴だけ、こぼれ落ちた。
それでも、ゾクは動じずに話を続ける。
「それは俺だって分かってるさ。この場所を作り上げたのも、俺という存在を作ったのも……そう、お前なんだからな」
ゾクは、持っていた黒いヘルメットを黒い頭にかぶると、匡斌の胸を打ち付けるように言った。
「仲間と決めたんだろ。[太字]この馬鹿みたいな世界で生きていくって[/太字]」
[大文字]『盗賊』見せつけな[/大文字]
[水平線]
周りの世界が元に戻った。
銃を向けられている匡斌の目に、[太字]弱気[/太字]はなかった。
目の前のゲス野郎に必死に食らいこうとする、強い眼差し。
そこには[下線]常軌を逸脱している[/下線][太字]『狂気』[/太字]というより、この[下線]馬鹿みたいな世界を正す[/下線][太字]『匡気』[/太字]が秘められていた。
場所:?????[/中央寄せ]
突然、真っ暗な場所に飛ばされた匡斌。
そこには黒い人影がいた。ヘルメットをかぶっている。
「…ここは?」
真っ黒な風景を前に、思わず疑問が口に出る。
さっきまで駐車場にいたはずだ。
何も理解できずに戸惑っていると、目の前から声が聞こえてきた。
[太字]「…ようやく、お前と話せるぜ」[/太字]
頼りがいが感じられる声、それは黒い人影からだった。
「あ……あなたは?」
「そうだな……今は[太字]『ゾク』[/太字]とでも呼んでくれ。ま、適当な呼び名だけどよ」
その人影はゾクと名乗る。
ゾクは、被っていた黒いヘルメットを脱いだ。
「えっと……ゾクさん……ここは一体、どこなんですか?」
心配交じりの問い。
ゾクは答える。
「落ち着いて聞いてほしい…………ここは、お前の[太字]【心の中】[/太字]だ」
「心…? ということは…じゃ、僕はどうなったんですか!?」
見慣れない光景、混乱が止まらない匡斌。
「大丈夫だ。お前はまだ死んじゃいない。ただし……死ぬ直前ではある」
「じゃあダメじゃないですか!」
「だから落ち着くんだッ!! まだお前には助かる運命がある。それに、[下線]うまくいけば、お前の仲間も助けることができるッ![/下線]」
ゾクの必死な言葉に、匡斌も少し状況を理解する。
「……まずは昔を思い出してみろ。何かに[太字]気づけるはず[/太字]だ」
そう言われた匡斌は、頭にしまわれていた記憶を掘り起こした。
それは、盗賊団を組むよりも前のことだ。
[水平線]
……あの時の僕は高校生だった。
やりたくもない勉強ばかりの苦痛な生活を繰り返していたときに、一個上の先輩の羽柴さんに出会った。
誰も持ってないようなカリスマ性を持っている羽柴さんは、僕にとっての光だった。
だけど、僕には自分でも嫌気がさすような短所がある。
それは[太字]自信が無いこと[/太字]。
今までも、それでいろんなチャンスを逃してきた。
やがて高校を卒業した後、僕たちは[太字]『叩鬼盗賊団』[/太字]を結成した。
盗賊団……正直言ってダサいと思った。
それもそのはず、この名前を考えたのは、現在進行形問題児こと嬴吉だ。
嬴吉とは違うクラスの同級生だったが、違うクラスの僕でさえもその存在を知っていた。
光のカリスマの羽柴さん、現在進行形問題児の嬴吉……。
……じゃあ[下線]、僕は一体何なんだ?[/下線]
カリスマ性なんて持ってないし、問題児になるような性格でもないし……[下線]僕はどういう人間なんだ?
[/下線]
何も思いつかない……
やっぱり、僕はこれっぽっちの人間なんだ……。
[水平線]
「…本当にそう思ってるのかよ?」
ゾクが口を開く。
匡斌は何も喋っていないのにも関わらず、まるで頭の中を見透かされたようだ。
「じゃあ何があるっていうんですか…!? [太字]僕の気持ちは他人に分かられるほど簡単じゃないんですよッ!![/太字]」
思わず怒りが爆発してしまい、言葉をぶつけてしまった。
涙が一滴だけ、こぼれ落ちた。
それでも、ゾクは動じずに話を続ける。
「それは俺だって分かってるさ。この場所を作り上げたのも、俺という存在を作ったのも……そう、お前なんだからな」
ゾクは、持っていた黒いヘルメットを黒い頭にかぶると、匡斌の胸を打ち付けるように言った。
「仲間と決めたんだろ。[太字]この馬鹿みたいな世界で生きていくって[/太字]」
[大文字]『盗賊』見せつけな[/大文字]
[水平線]
周りの世界が元に戻った。
銃を向けられている匡斌の目に、[太字]弱気[/太字]はなかった。
目の前のゲス野郎に必死に食らいこうとする、強い眼差し。
そこには[下線]常軌を逸脱している[/下線][太字]『狂気』[/太字]というより、この[下線]馬鹿みたいな世界を正す[/下線][太字]『匡気』[/太字]が秘められていた。
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