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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#38

ep38 盗賊、『来る』

[中央寄せ]時刻:8月18日11時12分
場所:スーパーマーケット『くろめだか』駐車場[/中央寄せ]


それは一瞬の出来事だった。

風船に触れた贏吉が、抵抗も出来ないまま、青い風船の中に吸い込まれてしまった。
おそらく、この方法で行方不明の子供たちを拐っていったのだろう。

男は、血だらけでボコボコの顔をハンカチで拭った。

「痛いじゃないか……まったく。だけど…[太字]ここで終わりだよ[/太字]」

贏吉が閉じ込められた青い風船に、黒光りする拳銃が向けられた。


[中央寄せ]「……君の敗因は、感情的なところだよ」[/中央寄せ]

口だけを動かすような声、それに平坦な声だ。
指にかけられた引き金が、ゆっくりと締められていく。

銃弾が飛び出す一歩手前……。




[太字][大文字]「や、やめろッ…!」[/大文字][/太字]

草むらから、情けない声と共に人影が飛び出した。
匡斌だった。

匡斌は、草陰から二人の戦いを見つめていた。
男がやったこと、男の能力が分かっている。

贏吉がいなくなった今、目の前の下劣な男を倒すのは彼しかいない。


「誰だい? 君ぃ…?」


男が睨みつける。
まるで獲物を見つけた蛇の目だ。

一瞬、その威圧に飲み込まれそうになる匡斌。
呼吸が荒くなる。足が震えるのを必死に抑える。


(……ここまで出てきたのはいいけど、どうすればいいんだ?…)

仲間の危機でとっさに体が動いてしまったからなのか、[下線]その後[/下線]を考えていなかったのだ。


「[太字]だからぁ![/太字]……誰ぇ?」

男の声が昂ぶる。


「……僕は…」

声が煙のように喉元で消えていった。
呼吸が少なくなってくるにつれて、声が潰れていく。


(……ああもう! [大文字]どうすりゃいいんだよ!![/大文字])

心臓が異常なくらい波打ってくる。
心の中の苛立ちが、さらに鼓動を加速させていた。

とにかく頭を振り絞って、最善の方法を考える。
しかし、考えれば考えるほど、何も思いつかない。



「……何も言わないなら……死んどきな」

男が拳銃を向けた。
向けられた黒い穴に目線が集中する。


(やっぱり僕は、何も出来ないのか…)

自分の無力さに嘆き、全てを諦めようとしたその時……。




[中央寄せ]突如体の動きが止まり、視界が闇に包まれた。[/中央寄せ]

「……え?」

何が起きたのか理解できない匡斌。
そこは真っ黒の空間だった。

周りには黒、黒、黒。
黒以外には例えようのない色。

何が起きているのか。
匡斌が戸惑っていると、目の前に[太字]黒い人影[/太字]が現れた。

その人影は後ろを向いており、[下線]ヘルメットのようなもの[/下線]を被っている。

匡斌は近づいてみようとしたが、しかし、体は動かせない。
目から見える光景のみで、この状況を判断するしかない。


冷や汗が服の中で乾き始める時、どこからか、声が聞こえた。


[中央寄せ][太字]「…ようやく、お前と話せるぜ」[/太字][/中央寄せ]


それは、声だけでも頼りがいが感じられるような声だった。

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作者メッセージ

時間空いてすまない!

2024/11/20 18:20

ドレミファ・ソラティド ID:≫6pzALMcComrtY
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