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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#37

ep37 盗賊、『キレる』

[中央寄せ]時刻:8月18日11時10分
場所:くろめだか駐車場
[/中央寄せ]

それはあまりにも衝撃的な告白だった。

「……その子に、ケガはないだろうな?」

恐る恐る聞く。

「それは分からない…。もしかしたら…[下線]手遅れ[/下線]かもね」

返ってきたのは、心が痛くなる答えだった。


「……ふざけるな…!」

贏吉は、右拳を手のひらに打ちつけた。
内臓が震えるほどの、激しい怒りが湧き上がってくるのを感じる。


果たして、何人の子供がこの男の食い物にされたのだろうか。
考えただけで虫唾が走る。


いつもより酸っぱい口で、親指に噛みついた。
激しいエネルギーが全身を巡る。

「ハァ……! [太字]10秒だッ![/太字]」


そう宣言したのち、贏吉は駆け出した。

まるで[太字]迅雷[/太字]のような速度、ブッ飛ぶ拳が男の顔面を捉えた。

[大文字]「ロォァッ!」[/大文字]

男の体が大きく傾いた。しかし完全には倒れない。
なんと膝を曲げて、リンボーダンスのような態勢を取って耐えて見せたのだ。


[中央寄せ]残り9秒[/中央寄せ]

贏吉はあまりに速度を上げすぎたせいか、地面を横滑りする。
殴った感覚はあったが、手応えはなかった。

男は膝を伸ばし元の態勢に戻る。

こちらを向いてポケットに左手を突っ込んだ。
取り出したのは、[太字]拳銃[/太字]だった。


[中央寄せ]残り8秒[/中央寄せ]


贏吉が拳銃を見たのは初めてではない。
ある山で出会った男との戦いで、嫌と言うほど銃弾の苦痛を味わった。

少しは慣れた、といっても痛みを思い出して体が思いまどう。

体が悩む…………だが、[太字]頭は悩めなかった。[/太字]

覚悟を決めた贏吉は、その場にしゃがむ。

そして、地面の砂利を手に塗りたくる。
灰色にまみれた両手を構えた。


[中央寄せ]残り6秒[/中央寄せ]


二人の距離は十分に離れている。
拳銃が有利、というわけではなさそうだ。

少しの静寂、一呼吸、贏吉の体が再び動き出した。
その速度、まるで[太字]疾風[/太字]。

男も拳銃を構え、その引き金を押しまくる。
いい加減な乱射、白い閃光が撒き散らされた。


[中央寄せ]残り4秒[/中央寄せ]

迫ってくる銃弾の雨を前に、頭をフル回転させる贏吉。

(こうなったら……[太字]イチかバチか…![/太字])

贏吉の取った行動は……。



銃弾の雨に向かって、まるで[下線]そこが水面かのように[/下線]飛び込んだ!
体を垂直に伸ばし、最低限の被弾を回避する。

何発かの銃弾が体を掠めたが、その勢いは止まらない。
贏吉は滑り込み、男に近づく。

そして、男の拳銃を蹴っ飛ばす。

殴る準備は整った。

「[太字]死んどきな…![/太字]」

[中央寄せ]残り3秒[/中央寄せ]

贏吉の怒る拳が、男の顔に乱打をかます。
顔の形が変わるのではないかと、何回も、何回も、すさまじい殴りよう。


[中央寄せ]0秒[/中央寄せ]

制限時間が来てしまった。
贏吉の動きが止まるように遅くなる。

「……メンドクセェな……[太字]時間[/太字]ってのはよォ……」

しかし、そんなのお構いなしに、もう一回拳を振る。


その時だった。

贏吉の拳が男に触れる直前、男の腕が動く。
さっきの青い風船を、殴られるであろう場所に構えた。

風船ごと男を殴ろうとした贏吉だが、それは[太字]叶わなかった。[/太字]

なんと贏吉の拳が、[太字]風船に飲み込まれ始めたのだ[/太字]。

「……な……なんだ…?」

やがて、青い風船は贏吉をずるずると引きずり込む。

「……まさか…これが……!」

能力を使い切った贏吉は、抵抗もできないまま、またたく間に全身を吸い込まれた。

一瞬の出来事、静けさがその場に残る。

ボコボコに腫れ上がって、血にまみれた顔を拭う。


[漢字]青い風船[/漢字][ふりがな]エイキチ[/ふりがな]を眺めながら、男は煽るように呟いた。

「……結末も予想できないアホは、ここらで人生リタイアさ」

男は、蹴っ飛ばされた拳銃を拾い上げ、青い風船に突きつける。


「最期の一発ぅ、[太字]君[/太字]にあげるよ……」


このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

超ピンチ!!
助けることができるのは『彼』しかいない……!

2024/11/09 20:18

ドレミファ・ソラティド ID:≫8pWlEEZGGLUVA
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