果実戦争
[中央寄せ]時刻:8月18日11時00分
場所:スーパーくろめだかの駐車場[/中央寄せ]
「僕の邪魔をしないでくれよ……その薄っぺらい正義感でさぁ……」
男の周りに緊張感が張り詰める。
「…あーだこーだ言ってる暇あんなら、[太字]オメェから来いよ![/太字]」
嬴吉は拳を構える。
その戦闘態勢を見るや否や、男は指で[太字]丸[/太字]を作った。
そして、右の頬にその[太字]丸[/太字]を当てた。
すると、なんと[下線]右の頬が風船のように膨らみ始めていく[/下線]。
膨らんだ頬は[下線]青く[/下線]変色した。
やがて人の頭ぐらいの大きさになると、膨らんだ頬を鷲掴みにし、[太字]『ボンッ』[/太字]と音を立て、風船みたいな頬を剥ぎ取って見せた。
男が右頬を剥ぎ取ったあと、膨らんでいた頬は空気が抜けたかのようにしぼむ。
頬から生まれた[太字]真っ青な風船[/太字]、その青さは花のように毒々しく、この世ならない美しさ。
この一連の行動が、おそらく男の能力だろう。
[大文字]頬から風船を作る[/大文字]
「ほぉ~……思ったよりヘンテコな能力だな。もしかして、[下線]能力は性格を表すってか?[/下線]」
自分の能力と比べてみたら、そんな感想が出てくる贏吉。
「そーゆー君は、よほーどお熱い能力をお持ちなんだろうねぇ〜!」
馬鹿にするような口ぶりの男。
「……いちいち鼻につく喋り方すんじゃねェ……」
この男と話すだけで、三分の一ぐらい体力が持っていかれたように感じる。
手短に終わらせようと、贏吉は指を口元に持っていく。
能力を発動させようとしたが、それは男によって止められた。
男は突然、[太字]自分の過去を語り出した。[/太字]
「突然だが……僕は、三年前から[下線]あること[/下線]を行っている。それは僕の[太字]趣味[/太字]でもあり、一つの[太字]快感[/太字]となっていた」
贏吉はもちろん無視。
ただ、妙な寒気が立ち込めていた。
「僕の趣味……それは、[太字]一目惚れした女の子を、この風船に閉じ込めることさ[/太字]」
それはあまりにも突然で衝撃的な告白、贏吉は言葉を失った。
「……どういうことだ? 風船に閉じ込める……?」
「僕は職業柄、世界各地を巡っていてね……。そこで出会った女の子を、こいつに閉じ込めるんだ」
男は、[太字]赤い風船[/太字]を指さす。
「そしてこの子が、記念すべき一人目の日本人……たしか名前は……[太字]『ナギサ』[/太字]ちゃんだっけ」
「……オマエ……[大文字]今なんつった!?[/大文字]」
嬴吉は、この名前を確かに憶えている。
[漢字]『春峰 渚』[/漢字][ふりがな]ハルミネ ナギサ[/ふりがな]
行方不明のチラシに載っていた名前、そのものだ。
場所:スーパーくろめだかの駐車場[/中央寄せ]
「僕の邪魔をしないでくれよ……その薄っぺらい正義感でさぁ……」
男の周りに緊張感が張り詰める。
「…あーだこーだ言ってる暇あんなら、[太字]オメェから来いよ![/太字]」
嬴吉は拳を構える。
その戦闘態勢を見るや否や、男は指で[太字]丸[/太字]を作った。
そして、右の頬にその[太字]丸[/太字]を当てた。
すると、なんと[下線]右の頬が風船のように膨らみ始めていく[/下線]。
膨らんだ頬は[下線]青く[/下線]変色した。
やがて人の頭ぐらいの大きさになると、膨らんだ頬を鷲掴みにし、[太字]『ボンッ』[/太字]と音を立て、風船みたいな頬を剥ぎ取って見せた。
男が右頬を剥ぎ取ったあと、膨らんでいた頬は空気が抜けたかのようにしぼむ。
頬から生まれた[太字]真っ青な風船[/太字]、その青さは花のように毒々しく、この世ならない美しさ。
この一連の行動が、おそらく男の能力だろう。
[大文字]頬から風船を作る[/大文字]
「ほぉ~……思ったよりヘンテコな能力だな。もしかして、[下線]能力は性格を表すってか?[/下線]」
自分の能力と比べてみたら、そんな感想が出てくる贏吉。
「そーゆー君は、よほーどお熱い能力をお持ちなんだろうねぇ〜!」
馬鹿にするような口ぶりの男。
「……いちいち鼻につく喋り方すんじゃねェ……」
この男と話すだけで、三分の一ぐらい体力が持っていかれたように感じる。
手短に終わらせようと、贏吉は指を口元に持っていく。
能力を発動させようとしたが、それは男によって止められた。
男は突然、[太字]自分の過去を語り出した。[/太字]
「突然だが……僕は、三年前から[下線]あること[/下線]を行っている。それは僕の[太字]趣味[/太字]でもあり、一つの[太字]快感[/太字]となっていた」
贏吉はもちろん無視。
ただ、妙な寒気が立ち込めていた。
「僕の趣味……それは、[太字]一目惚れした女の子を、この風船に閉じ込めることさ[/太字]」
それはあまりにも突然で衝撃的な告白、贏吉は言葉を失った。
「……どういうことだ? 風船に閉じ込める……?」
「僕は職業柄、世界各地を巡っていてね……。そこで出会った女の子を、こいつに閉じ込めるんだ」
男は、[太字]赤い風船[/太字]を指さす。
「そしてこの子が、記念すべき一人目の日本人……たしか名前は……[太字]『ナギサ』[/太字]ちゃんだっけ」
「……オマエ……[大文字]今なんつった!?[/大文字]」
嬴吉は、この名前を確かに憶えている。
[漢字]『春峰 渚』[/漢字][ふりがな]ハルミネ ナギサ[/ふりがな]
行方不明のチラシに載っていた名前、そのものだ。
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