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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#34

ep34 意識意識無意識意識無意識

[中央寄せ]時刻:8月18日 11時40分
場所:交差点近くの歩道[/中央寄せ]

([下線]攻撃するという意識が、邪魔につながる[/下線]ってなら…そ[下線]の意識がなければどうなるんだ[/下線]……?)

唐突に思い浮かぶ疑問。

ガムシャラにやっていては、男に触れることさえままならない。
これが解決法になっていたらいいのだが…。

まずは実践だ。


無意識に男に触れるにはどうしたらいいのか。
石狩は、考えた。考えに考えた。

(……オレ自身があの男に触れようとしたら、意識を持っていることになる……意識を持たずにヤツに触れるためには、[下線]意識を持たない何かがオレの体を操る[/下線]以外に方法がない……)


思いついた方法は一つだけあった。

(……[太字]風だ!![/太字] 風には当然意識がない!……だけど、人を動かす風をいきなり吹かせるなんて出来るのか?……)


結局ダメな考えになると思っていた矢先のこと。

(……そういや、羽柴くんの能力……[下線]なんでも手榴弾にする能力[/下線]だったよな……ちょっと待て……手榴弾は爆発する……爆発するときには……)










バリバリと稲妻のような考えが閃いた!

(……[下線]爆発のときには、爆風が起きる![/下線]……デカい爆発だったら、それなりにブッ飛ぶはずだ!!)

思いついたら即行動。

「なあ、羽柴くん! 手榴弾を投げてくれないか? 爆発寸前のヤツだ!」

当然、何も伝えていない羽柴は唐突すぎて状況が飲み込めない。

「……本気か?……お前に投げて何の意味があるんだ!?」

[太字]「いいから何も考えるな!! オレはただブッ飛びたいだけだ! それ以外に意味なんて無ェ!」[/太字]


あまりにも慌ただしかったので、言う通りにすることにした羽柴。
それなりに大きい石を選ぶと、それを手榴弾に変化させる。

手榴弾となった石には、どういう原理なのか不明だがピンが付いていた。
羽柴は力を込めてピンを抜く。

未だに状況が掴めないが、何かしら意味はあるのだろう。
羽柴はそう信じて、手榴弾を投げた。


爆発を待つ石狩は、無意識になるため目を瞑っていた。
いつ来るのか、いつ爆発するのか、そんなことを考えず、ただ頭を真っ白にしている。

投げられた手榴弾は放物線を描く。
そして、石狩までおよそ数センチの所で手榴弾は爆発した。

石狩の予想通り、爆風はかなりの威力。
背中を火傷したが、後ろから来た爆風に、まるで操られたかのように吹っ飛んだ。

石狩の狙い通り、男の元へ体が向かっている。



邪魔は来ない。




何も起きない。


何かが風を切って向かってくる音に気づき、男は振り向いた。
しかし、[太字]遅かった。[/太字]

投げられた石ころのように落下してきた石狩の体が、男に直撃した。

男は衝撃に耐えきれず、前から倒れる。
無意識を保っている石狩も、男を下敷きにして同じように倒れている。

こうなってしまっては、男も動くことができない。
もう大丈夫だろうと、石狩は意識を取り戻し立ち上がる。

「……こんな状態じゃ、アンタのそのトンデモ能力も使えないだろう……早く話しやがれ……」

しかし男が、質問に答えることはない。
その代わりなのか、地面に突っ伏しながら男は口を開いた


「……初めてだよ……ここまで追い詰められたのは……だが、その努力もすぐ無駄になる……[太字]君はよくやったほうだ[/太字]」

敗北を知らないような口調。
石狩を認めているとも感じ取れる。


嫌な予感が、石狩の背中を冷やす。


[太字]次の瞬間だった。[/太字]


交差点の方から、[下線]タイヤが擦れる音[/下線]が聞こえた。
何だ何だと、石狩が交差点の方向を向く。



嫌な予感は的中してしまった。


[太字]白いトラックがこちらの方へ向かって来ている[/太字]のだ。
これも男の能力なのか。もはやどっちでもいい。


トラックを避けることしか頭にない石狩は、横に飛び込もうとした。
しかし足に違和感がある。

なんと、[下線]男が足首を掴んでいる。[/下線]
石狩は払いのけようと、足を振り回す。

だが離れない。
石狩は無理やりにでも動こうと足に力を入れた。

しかし、足が思い通りに動かず、前から転んでしまった。
呼吸が荒くなる。地面で体をのたうち回らせる。

「クソッ…! [太字]離せ![/太字]」

非情にも、トラックは止まらない。

「……こんなところで……[太字]こんなところでェェ!![/太字]」



石狩の命の危機に、隠れてはいられないと羽柴が動く。

まずはアクセルを止めなくては。

羽柴は手榴弾に変化させた石ころを持ち、運転席の空いた窓ガラスの隙間に投げこもうと狙う。


しかし突然、[太字]黒い大群[/太字]が羽柴の周りを覆った。
なんと、さっきの[太字]カラス[/太字]だった。

「マズい……!」

それは普通のカラスとは違う。
くちばしはキキツキのように尖っており、それに長い。

羽柴は腕でそれらを振り払った。

だが、飛ぶように軽々と避けられると、細長いくちばしが体中に突き立てられた。少しでも動いたら、全身を穴だらけにするぞと言わんばかりだ。

(……こんなカラスごときに……すまない…!)

持っていた手榴弾も一匹のカラスが遠くに持っていってしまう。


脱線トラックは止まらない。

[大文字][太字]「やめろォォォォ!!」[/太字][/大文字]

石狩の絶叫が東京に響いた。


このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

どうなったかは……次のお話で。
あと、次から新しい章に入ります

2024/10/15 17:43

ドレミファ・ソラティド ID:≫8pU9voJWdS.Ik
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