果実戦争
[中央寄せ]時刻:8月18日 11時20分
場所:交差点近くの歩道手前[/中央寄せ]
さっきまでカンカンに晴れていた天気も、何かを察したのか黒い雲に覆われた。
そんな中でも、赤黒い帽子の男は、まるで最初から何もなかったかのように背を向けて歩き出している。
[太字]何かイヤな予感[/太字]、と大木に身を隠す羽柴が感じ取る。
その手には、能力で手榴弾に変換した石ころが握られていた。
鼠の石狩は、鋭い爪を伸ばし、獣のような目つきで男の背中を睨みつける。
今にも襲い掛かりそうだ。
(……さすがに……少し痛い目を見せてやりゃ、何かしら吐くだろう……)
中々の乱暴的な発想だが、絶好のチャンスを逃がしたくない石狩の気持ちもそこにはあった。
まるでストーカーのように、少しづつ男に近寄る石狩。
腕が届く距離にまで近づいた。
そして、背中を鋭い爪で切り裂こうとした…
その時だった。
[太字]地面が揺れたのだ[/太字]。地響きが轟々と鳴る。
石狩は思わずその腕を止めた。
明らかな異常を感じ、横を見る。
……目を疑うような光景だった。
「…ウ……ウソだろッ!?」
なんと、[太字]大木がこちらに向かって倒れてきている![/太字]
大木は驚くほど太く、分厚かった。
潰されたらひとたまりもない…。
反射的に、勢いのあるバク転で避ける石狩。
舞い散った砂が全身を汚す。
一体、何が起きたのか?
[下線]木の根が腐っていた[/下線]というわけではなさそうだ。
大木の近くにいた羽柴も、そのような様子は確認できなかった。
「……何が起きてんだよ?」
あまりにも突然なことに、理解が追い付いてない石狩。
目の前に横たわる大木は、まるで男と石狩の境界線のようだ。
まさか、これが男の能力なのか……詳細は分からない。
確かなことは、そんな中でも、男はただゆっくりと歩いていることだけだ。
「……アイツを止めなくてはッ!」
居ても立っても居られない!
石狩は大木の枝を引きちぎる。
そして、槍投げのようにぶん投げたのだ。
男の背中まであと少し……。
しかし、それが男の元に届くことはなかった。
いきなり現れた[太字]黒い影の大群[/太字]が、飛んできた枝を受け止める。
それは、[太字]カラス[/太字]だった。
大量の黒い羽に包まれた枝は、勢いを失い、地面に落下する。
明らかにおかしい。
[下線]見えない何か[/下線]が邪魔をしているみたいだ。
何もかもが思い通りにいかない様子に、若干の苛立ちを覚える石狩。
「……そこを……どけよ……!」
怒りを両足に込めて踏ん張る。
そして前方へ、バネのように飛び上がった。
大木を飛び越え、カラスの群れを押し退けて、男の背中に飛び込む。
その途中のこと…。
[太字]強烈すぎる風[/太字]が前から吹き荒れた。
飛び込みの勢いが消え、台風の日の看板のように後ろに飛ばされてしまった
石狩は、浮かび上がったのち、膝をこすりつけて着地する。
服が砂に塗れていた。
「……やっぱり、なんかあるよな……」
石狩もその異常さに気づく。
男を攻撃しようとしたら、何かしらに邪魔される。
大木が倒れ、カラスの大群が攻撃を防ぎ、強風が吹き荒れたりと。
[下線]自然、または生き物が男を護っている。[/下線]
果たして、それは何が[漢字]引き金[/漢字][ふりがな]トリガー[/ふりがな]になるのだろうか?
それが分かれば、どうにかなるかも…。
石狩が頭を捻らせると、ある一つの疑問が思い浮かぶ。
([太字]攻撃するという意識[/太字]が……邪魔につながるってなら、その[下線]意識がなければどうなるんだ[/下線]…?)
場所:交差点近くの歩道手前[/中央寄せ]
さっきまでカンカンに晴れていた天気も、何かを察したのか黒い雲に覆われた。
そんな中でも、赤黒い帽子の男は、まるで最初から何もなかったかのように背を向けて歩き出している。
[太字]何かイヤな予感[/太字]、と大木に身を隠す羽柴が感じ取る。
その手には、能力で手榴弾に変換した石ころが握られていた。
鼠の石狩は、鋭い爪を伸ばし、獣のような目つきで男の背中を睨みつける。
今にも襲い掛かりそうだ。
(……さすがに……少し痛い目を見せてやりゃ、何かしら吐くだろう……)
中々の乱暴的な発想だが、絶好のチャンスを逃がしたくない石狩の気持ちもそこにはあった。
まるでストーカーのように、少しづつ男に近寄る石狩。
腕が届く距離にまで近づいた。
そして、背中を鋭い爪で切り裂こうとした…
その時だった。
[太字]地面が揺れたのだ[/太字]。地響きが轟々と鳴る。
石狩は思わずその腕を止めた。
明らかな異常を感じ、横を見る。
……目を疑うような光景だった。
「…ウ……ウソだろッ!?」
なんと、[太字]大木がこちらに向かって倒れてきている![/太字]
大木は驚くほど太く、分厚かった。
潰されたらひとたまりもない…。
反射的に、勢いのあるバク転で避ける石狩。
舞い散った砂が全身を汚す。
一体、何が起きたのか?
[下線]木の根が腐っていた[/下線]というわけではなさそうだ。
大木の近くにいた羽柴も、そのような様子は確認できなかった。
「……何が起きてんだよ?」
あまりにも突然なことに、理解が追い付いてない石狩。
目の前に横たわる大木は、まるで男と石狩の境界線のようだ。
まさか、これが男の能力なのか……詳細は分からない。
確かなことは、そんな中でも、男はただゆっくりと歩いていることだけだ。
「……アイツを止めなくてはッ!」
居ても立っても居られない!
石狩は大木の枝を引きちぎる。
そして、槍投げのようにぶん投げたのだ。
男の背中まであと少し……。
しかし、それが男の元に届くことはなかった。
いきなり現れた[太字]黒い影の大群[/太字]が、飛んできた枝を受け止める。
それは、[太字]カラス[/太字]だった。
大量の黒い羽に包まれた枝は、勢いを失い、地面に落下する。
明らかにおかしい。
[下線]見えない何か[/下線]が邪魔をしているみたいだ。
何もかもが思い通りにいかない様子に、若干の苛立ちを覚える石狩。
「……そこを……どけよ……!」
怒りを両足に込めて踏ん張る。
そして前方へ、バネのように飛び上がった。
大木を飛び越え、カラスの群れを押し退けて、男の背中に飛び込む。
その途中のこと…。
[太字]強烈すぎる風[/太字]が前から吹き荒れた。
飛び込みの勢いが消え、台風の日の看板のように後ろに飛ばされてしまった
石狩は、浮かび上がったのち、膝をこすりつけて着地する。
服が砂に塗れていた。
「……やっぱり、なんかあるよな……」
石狩もその異常さに気づく。
男を攻撃しようとしたら、何かしらに邪魔される。
大木が倒れ、カラスの大群が攻撃を防ぎ、強風が吹き荒れたりと。
[下線]自然、または生き物が男を護っている。[/下線]
果たして、それは何が[漢字]引き金[/漢字][ふりがな]トリガー[/ふりがな]になるのだろうか?
それが分かれば、どうにかなるかも…。
石狩が頭を捻らせると、ある一つの疑問が思い浮かぶ。
([太字]攻撃するという意識[/太字]が……邪魔につながるってなら、その[下線]意識がなければどうなるんだ[/下線]…?)
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