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登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

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果実戦争

#32

ep32 尋問

[中央寄せ]時刻:8月18日 11時00分
場所:ベンチ[/中央寄せ]

単身でベンチに座る男に近づいた石狩。

「すいませぇ~ン! ちょっといいですか?」

いきなり切り出した。
出来るだけ怪しまれないように、慣れないながらも下手に出る。


「……どうしたんだい?」

落ち着いた声、それに優しさも感じ取れるような[漢字]声色[/漢字][ふりがな]こわいろ[/ふりがな]。
影に隠れた顔を、少しだけ起き上がらせた。


「…[太字]『果実』[/太字]について、何か知っていることはありませんか? 知らないのなら結構ですが……」


男は少し頭を傾け、キョトンとしている。

「……何のことだい? [太字]『果実』[/太字]というのは、リンゴとかミカンのことを言ってるのかい?」


ただの勘違いか?
(……いや、まだ分からない……なら、[下線]一発仕掛けてみるか[/下線]…)

石狩が何かを企てている。

「……何も知らないならいいんです……わざわざありがとうございます……それじゃ、僕は[太字]『くろめだか』[/太字]に!」


(…………この釣り針に、男が引っかかれば……疑いは確信に変わる……[太字]『果実』[/太字]そして[太字]『くろめだか』[/太字]……[下線]意味が分かるヤツは関係者しかいない[/下線])


石狩は後ろを振り向き、手をポケットに突っ込んで、膝を伸ばし、わざとらしく元気に歩く。

後ろ耳を立てながら、返答を待った。







沈黙が続いた。







その時だった。





[太字]「待て……」[/太字]

さっきの会話からは、予想がつかないほどに力強い声が、石狩を呼び止める。


「…………何故、知っているんだ?……[太字]『果実』[/太字]の場所を……!」

石狩は振り向いた。
その顔には、生き生きした嬉しさがにじみ出るように現れていた。

「……お前、[太字]オレの針に引っかかったなッ![/太字] さあ、知っていることを全て白状しやがれ!」

海老で鯛を釣るとは、この事を指すのかもしれない。


しかし、そんな叫びに目もくれず、座っていた男はゆっくりと立ち上がった。

男は、紺色のスーツを着用している。
その首には青いスカーフが巻かれていた。
顔は、その表情は、黒い影によって未だに確認できない。

だが、男の目にはしっかりと[太字]光[/太字]が見える。


[太字]「……これ以上、平和を崩すような真似はしないほうがいい……」[/太字]

警告を思わせる言葉、何を言っているのかと石狩は顔をしかめる。


「どういうことだ?……ハッタリなら止めといたほうがいいぜ……それでも白状できねーんだったら、力づくだ!!……[太字]『T-NEX』[/太字]」


[太字]『T-NEX』[/太字]それは石狩の能力の名前だ。

名前を言ったその直後、石狩の腕は灰色の毛に覆われる。
肌色だった耳は、ピンク色に変色し、薄っぺらくなった耳は空に向かって直立する。

爪は鋭く尖り、肉を裂くのもお安い御用。
それはまるで[太字][漢字]『鼠』[/漢字][ふりがな]ネズミ[/ふりがな][/太字]を思わせるような姿だ。


「……動くんじゃあねぇぞ! 少しでも動いたら、アンタとそのシャレた服がキズ物になっちまうぜ!」


爪を立て、ギーギーと唸るような鳴き声で男を威嚇する。
普通の人なら、ここまでされたら耐えきれずに白状してしまうだろう。

しかし、この男は違った。


「……[太字]平和は常に実行される[/太字]……キミも早く帰りたまえ……少なくとも、この私に傷を付けようなんて考えない方がいい……」

男は、告げるように言った。
そして、歩道に向かって歩き出したのだ。

まるで最初から何もなかったように……。
さすがの石狩も、これには目を疑った。

(あいつから、全く恐怖心が見えなかった……ホントに人間なのかよ……?)

傍からみたら、鼠に変身した石狩もおおよそ人のことは言えないが、それぐらいトンデモナイということだ。

木の陰から見守っていた羽柴も、おもわず言葉を漏らす。

「……あの男が、くろめだかの関係者だということは分かったが……石狩……お前、やはり人間じゃなかったのか……」


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作者メッセージ

キャラ紹介
石狩 仁鼠(イシカリ ジンネ)23歳
詳細:突然ビルの屋上から飛び降りてきた男。何故か四足歩行で走る。
能力:『T-NEX』
   ネズミに変身できる能力。その身体能力は人間を超える。
もしカジノに行ったら?:一世一代の大イカサマで馬鹿稼ぎするタイプ

2024/09/30 19:11

ドレミファ・ソラティド ID:≫4pS.9xylxaXHs
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