ついに戦いが幕を閉じた。
男は二発の岩を頭に受けて、動かなくなった。

男が倒れ込んでいた木には、[下線]土の山[/下線]ができていた。
エイキチは目の前の土の山を見つめたが、突然その場に倒れ込んだ。

能力で体に絶大な負担をかけたせいなのか、銃弾を4発も受け止めたせいか。
理由は色々と浮かび上がってくるが、その意識は暗闇に飲み込まれていった。

[水平線]

エイキチが次に目を覚ました場所は、見慣れた薄暗いガレージ。自分たちのアジトだった。
「…ってことは生きてたのか…オレ」

エイキチは絶対に死んだと思っていたが、なんとか生きているようで胸を撫で下ろす。
しかし、誰がエイキチをアジトまで運んだのか？

そんなとき、男が近づいてきた。
「やっと目が覚めたか…どんだけ寝てるんだよ」

なんと、その男はキョウビンだった。
キョウビンは敵の男に撃たれて倒れていたはず。

一体何が起きてるのか、エイキチには理解が追いつかなかった。
「おい…ちょっと待ってくれ……オレをここまで運んできたのは誰なんだ？　」

その答えはエイキチにとって意外な答えだった。
「ボクが運んだよ……仕方なくね」

質問したはずが、さらに疑問が増えていくエイキチ。
「え〜っと、一旦整理するぞ…まずお前が先に倒れた…そして俺も倒れた……で、そのあとお前が俺を運んだってことか？」

「まあ、そうだな。いつの間にか撃たれた傷も治ってたから、仕方なく運んできたって感じさ」

キョウビンの言ってることにも少しだけ疑問が生まれたエイキチだったが、それを遮るように[太字]リーダーの男[/太字]が二人の元に近寄ってくる。

彼の名前は、『[漢字]羽柴　汪生[/漢字][ふりがな]ハシバ　オウセイ[/ふりがな]』

「エイキチ…起きたのか。良かった…」
エイキチが生きているのを見て安堵の表情を見せた。

「「おはようございます！ハシバさん！」」
２人は揃いに揃えて挨拶する。

「…別に今は挨拶なんてしなくていい……それより…コインを拾わなかったか？」
ハシバは、ポケットから金色に光るコインを取り出すと、手に置いて2人に見せた。
そのコインは2人にとって見覚えがあるものだ。

「これ……俺たちも持ってます」

「やはりか……」
少し悩んでるような表情を見せるハシバ。
「……わたしも能力というものを得てしまった」

すると、突然ハシバがポケットから石を取り出した。
「よく見ておけ…これがわたしの能力だ」

持っていた石を上に向けて投げつけた。
2人も石から目を離さない。

そのとき…。

[太字][大文字]ドカァアン[/大文字][/太字]

空中に滞在していた石がいきなり爆発したのである。
そう、これがハシバの能力。

「触れた物を[太字]『手榴弾』[/太字]にすることができる……」